
GT-R Magazine増刊のNISMO BOOKⅡに
興味深い記事がありましたので、紹介です。
前のブログで日経の記事を紹介しましたが、
R35 GTRの開発責任者は水野和敏さんですね。
水野さんは市販車も、もちろん数多く担当されましたが
レーシングカーも担当していたのは有名な話ですね。
R33GTR LMもそうですし、3つ前のブログで描いたVRH35エンジンを搭載した、
R89CからR92CPの一連のNISSAN Gr.Cのプロトタイプも、水野さんのレーシングカーです。
海外のデザイナーだと、ゴードンマーレイ、エイドリアンニューウェイという名前が出ますが、
日本のモノ造り的に、自動車に関しては合議制で進める面からも、リーダーの名前って
あまり前面に出て来ない事が多いので、珍しい例かなと思います。
そんな、基礎知識を頭に入れてから、こちらの本の紹介です!
表紙はGTRマニアの松田次男選手です。
テレビ東京のSUPER GT+を見ていても、愛車紹介で出てくる次男さんの変態っぷりw
まあ、今回それは置いといてw
ページをめくっていくと、GT3マシンの作り方という記事が出てきます。
この記事で、私が一番驚いた事。それはこれです。
見出しの『高剛性な生産ボディをそのまま使用し・・・』という部分です。
スポット増しの定番、ドア枠周りも、工場出荷状態のままですって。
ココも定番のサイドシル周辺。写真はボディを裏返して、底面が上を向いた状態。
よく、中古車購入する際には、ココを見ろ!という、サイドシルのフランジですね。ここも、そのまま。
GTRのボディと言えば、組み立てが終わった段階で全数、加振機にかけて剛性測定して
合格したボディのみ、次工程の塗装へと送られるそうです。
そんなボディ構成は、こんな感じです。こちらの2枚はモーターファンの特集記事から。
こちらにも、レーシングカーのようなスチールモノコックとありますし、日経の記事にも、
溶接ピッチを詰めたり、パネル間のギャップを詰めたり、組み立て剛性アップのノウハウを
詰め込んだという部分があったと思います。

シルバーがスチール
パープルがアルミ
ブラックがカーボン
そんなマルチマテリアルなボディなんですね。R35のボディ。
しかし、まさかGT3のレーシングカーが、工場ストック状態、普通に売ってる、
私の所に届いたGTRと同じボディが使われているというのは驚きです。
もっとも、レーシングカーと市販車が近いポルシェでさえ、911のレーシングカーの
いちばん入門クラスのCUPカーでさえ、ボディは市販状態ではなく、スポット溶接を
追加しているという記事があるので、ポルシェも市販車のままでは使っていないんです。
そんな所からも、水野さんがGTRという車を、どんな車にしたかったのか見えてきますね。
その徹底してシャシーを磨き上げるという部分で、土台になるボディは市販車であっても
レーシングカーにそのまま使えてしまうようなボディを作ったという事なんでしょうね。
それが出来たのも、レーシングカーデザインの経験があったからこそだと思います。
でも、それって、どうせGTRだけでしょ?ってなりますが、もちろんこのようなフラッグシップを
開発する事で、その技術は程度の差はあれ、他の市販車にも使われていきます。
V36ではスポット溶接から、レーザー溶接が使われるようになりましたが、そんなのも一例かと。
そんなGTRですが、MY14のNISMOでニュルのタイムアタックで量産車最速になりましたが、
それ以降で、ニュルのコース改修でタイムが出やすくなったり、アヴェンタドール SVJみたいな
とんでもない量産車が登場して、7分08秒だったGTRに対して6分44秒というタイムまでw
GTRがタイムを争っていたポルシェやAMG GTはウェイトレシオが2.8 kg/PS台でした。
しかしながら、アヴェンタドールのウェイトレシオは1.98kg/psという・・・
GTRのマーケティングのうまさは、R35が2010年当時にタイムアタックした際は、
ニュルで車を鍛えるというストーリーはあっても、絶対値として〇〇秒だぜ!最速!!!
そんなアピールはあまりしていなかったんですよね。だから、ユーザーの心に響いた。
ただ、日産がそれをやったことで、周りのメーカーも火が付いてしまいw
結果、アヴェンタドールの量産車最速タイムという、とんでもない事になってしまったw
もはや、物理的にウェイトレシオを1.98kg/psにするというのは、現実的じゃない。
もうむしろアヴェンタ相手なら、価格的にもGT3でも良いんじゃなかろうかw
というわけで、R35の発売当時のように、どんなアピールを提案するか。という事ですね。
例えば、ウェイトレシオでクラス分け、4座席選手権にする。とかねw
でも、それはそれで負け犬、しっぽを巻いて逃げたって言われそう・・・w
難しいですけど、ユーザーが納得するような提案を現開発陣にも頑張ってもらいたいです♪
だって・・・
こんなレーシングカーと、うちの駐車場に止まってるのが、同じボディなんてシビレマス♪
R35 GTRという車。発売から10年経っても、技術的に陳腐化したとは全然思いません。
というわけで、GT-R Magazine増刊のNISMO BOOKⅡおすすめです!
また機会があれば、この本、GT3の作り方という部分でも、ココは、こう読め!という感じで、
もっとGT3化で紹介したい部分もありますが、とりあえず今日のブログでは
レーシングカー=市販車ボディという部分にフォーカスして、水野さんの作品という部分で
留めておこうと思いますw
途中で使ったモーターファンのページは↓↓の関連情報からどうぞ!