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MORSCHEのブログ一覧

2021年07月11日 イイね!

987ケイマンSの事:その17

987ケイマンSの事:その17既にネオクラッシックの領域に入った987ケイマンS。

「最新は最良」と言うPORSCHEの言葉が有りますが、確かに「速さ」や「高級感」、「安全性」、「環境性能」など、最新になればなる程良くなっている事も事実です。

「最新は最良」は全てにおいて正しいと言えるのでしょうか?






「最新は最良」
先日、Type991のGT2RSの純正の「マンタイパフォーマンスキット」装着車両がニュルブルクリンク北コースのレコードを更新しました。

恐らくType992のGT2RSが出たら、またレコードを更新するでしょう。







Type992もGTSが480PSに達し、Type997のターボモデルと同じ出力になりました。

0-100km/h加速は3.4秒と、もはやそのパフォーマンスはスーパースポーツの領域です。







Type997は、まだRRらしい挙動を示すクルマでしたが、ターボは4WDなのでかなり安定した挙動だったと記憶しています。

480PSのパワーは異次元の加速で、その当時はR35GT-Rと並び、世界最高峰の1台でした。







Type991ではフロントのトレッド拡大によるCFの大幅な向上に加え、ホイールベースを延長する事でRRの挙動がマイルドになり、MRに近い挙動になりました。

スポーツカーとしての完成度が格段に上がった一台です。





この様に、「最新が最良」である事は、ことにPORSCHE911に於いては疑いようの無い事実です。

パワー的には1980年台のレーシングカーは既に600PSを超えていましたが、現代の911はそのパワーを上回り、快適な乗り心地やエアコンと共に、PDKによるAT化で誰でも乗れる様になりました。

更に昔のPORSCHEでは余り重要視されていなかった「高級感」もこの10年の間に格段に向上し、FerrariやLamborghiniほどでは無いものの、997世代とは隔世の感が有ります。

安全性能的にもACC(アダプティブクルーズコントロール)やAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)などのADAS(先進安全運転支援システム)が搭載され、飛躍的に向上しました。







②.オールドポルシェのピュアさ
PORSCHEの最新のクルマはスーパースポーツの領域に入り、もはやプロドライバーでもなければその能力を100%使って走る事は不可能です。

昨年8月には湾岸線でGT2RSが乗用車に衝突し、2人が死亡する痛ましい事故が有りました。

RRの2駆で700PSを制御するのは、如何に電子制御で守られていても非常に困難です。

GT2RSでなくても、450PSを超える現行のType992のCarrera S以上のモデルの場合、もはや素人が制御出来る領域を超えています。

個人的にはシロウトがなんとかできるのは400PS位までだと思っています。
450PSを超えたらもう制御出来る限界を超えています。

そこまでの性能が必要かどうかはさておき、もはや現代の911は行き着く所まで行っている様な気がします。







オールドポルシェは速さこそ現代のクルマに敵いませんが、その「味」に関してはむしろ濃いと感じます。

「味」と言うのは、言わばPORSCHEのクルマに対する「純度」の様なものでしょうか?

現代の自動車は様々な要素を考慮する必要が有り、特に量産車のメーカーであればあるほど、制約条件が多くなります。

準量産メーカーで有るPORSCHEも例外では無く、環境問題や安全性も無視出来ない要素です。

加えて、高額なPORSCHE車に対して「高級感」を求めるユーザーが多いのも紛れもない事実だと思います。

それでも、準量産メーカーで有りながらPORSCHEは頑なにスポーツカーにコダワリ、レースやニュルブルクリンクのラップタイムに情熱を燃やしてきたメーカーです。







量産メーカーである日産自動車でも、世界一を目指して速さに拘ったモデルがR35 GT-Rです。

第二世代GT-RまでのSkylineの呪縛から逃れ、レーシングカーの開発手法を用いて、これ程までに速さに拘ったピュアなクルマを、量産車メーカーの日産自動車が作った事に驚きました。

カタチは兎も角、その速さは世界レベルで、特に0−100km/hの加速が3秒以下と言うのは発売から14年経った現在でも世界第一級の性能です。







同じく量産車メーカーのトヨタが作ったLF-Aもまた、速さに拘ったピュアな一台です。

傘下のYAMAHA製4.8リッターV10はNAながら最高出力560PSで、「LFAニュルブルクリンクパッケージ」は当時のニュルブルクリンク市販車最速タイムを叩き出しました。

LFAは速さだけで無く、管楽器の様なハイトーンの排気音にも拘り、内装の豪華さも含めて、日本のスーパースポーツの頂点として君臨する一台です。







現代のPORSCHEも速さに対するコダワリは一流です。
事実レースやニュルブルクリンクのラップタイムでは疑い様も無く第1級の性能を持っています。

しかし市販車の911やケイマン・ボクスターは高性能化・高級化する一方で「ピュア」さが薄まっているのも事実では無いかと思います。







オールドポルシェは質実剛健で、「高級車」と言う響きとはある種無縁のクルマではなかったかと思います。

「高級車」と言うよりスパルタンなクルマと言うイメージでした。

ドアを閉めた時の「ガキン!」と言う音も独特で、「金庫の様な」と言う表現がピッタリでした。







964ターボではカラーの本革シートやバックスキンを使った内装もあり、幾分高級感が増しました。

とは言え、PORSCHEらしさは健在で、空冷水平対向6気筒の不等長のエキマニ特有の「バラバラバラバラ」と言う音と共に、オイルの匂いのする排気ガスも含めて、PORSCHEらしさが濃いクルマでした。







水冷化以降のPORSCHEは、それでもType997位まではRR特有の挙動と共に、チープな内装でPORSCHEらしい(笑)感じでした。

この辺りまでが、古のPORSCHEらしさを残した最後のモデルでは無いかと思います。







Type991以降はボディディメンジョンも大きく変わり、フロントのトレッド拡大に加えホイールベースも延長され、コックピットも乗用車っぽかったコンソール周りがスポーツカーっぽくなり、内装の質感も大きく向上、電動格納式ドアミラーや電動パワステ、良く効くエアコンなど、快適性も大きく向上しました。

Type991以降のPORSCHEは、速さと共に環境性能や安全性能、高級感と言う感性の領域までも高いレベルでまとめ上げられたクルマになっています。

しかし、PORSCHEが全てにおいて高いレベルになって優等生的になれば成る程、オールドポルシェの持っていた「味」が失われていっている様な気がするのは私だけでしょうか?







以前、ツインリンクもてぎで行われたPORSCHE車のイベントで友人の911S/2.4と遭遇した事が有りました。

911S/2.4は最高出力190PSで車重1075kg。
パワーウェイトレシオは5.66kg/ps。

987ケイマンSは最高出力295PSで車重1380kg。
パワーウェイトレシオは4.67kg/ps。

数字上はパワーウェイトレシオ4.67kg/psの987ケイマンSの方が速い筈です。
しかしツインリンクもてぎのバックストレート手前のストレートでは、911S/2.4を抜く事が出来ませんでした。

なんとか抜く事が出来たのはバックストレートに入ってからで、しかも譲ってくれたから。
911S/2.4の速さに目がテンになりました。

小さく、車幅も狭く、足回りはストラット&トレーリングリンク式でバネはなんとトーションバーと言う911S/2.4が、これ程までに速く走る事が出来る事に驚愕しました。

初代911であるType901はOシリーズから始まって、A〜Iシリーズ、Kシリーズ、最終のLシリーズまで12のリビジョンが存在します。

911S/2.4はFシリーズでしたが、2007年製の987ケイマンSより30年以上も前に作られた911S/2.4の速さには、一発で魅了されました。

そのスタイリングや簡素な内装、今となっては貴重な空冷水平対向6気筒エンジンやトーションバースプリングも、理屈では無く実際に速さに繋がっている訳ですから、当時のPORSCHEの速さへの飽く無き探究心が偲ばれます。

当時のスポーツカーはレーシングカーの技術をフィードバックして速さを追求していて、速さへのコダワリは現代よりもピュアであっただろうと推測されます。







③.自分にとっての「最良」とは?
「最新が最良」と言うPORSCHEの言葉は、速さや今の時代が求める環境性能や安全性能を考えれば「正しい」と思います。

しかし、少なくとも「自分にとって『最良』とは何か?」と言う問いに対しては、「最新ではない」と言う答えになります。

450PS以上にも及ぶパワーは自分には不要です。
仮に電子制御で守られているのだとしても、タイヤの持つ摩擦力を上回れば、それを制御する事は出来ません。

速さを求めるなら今やMTなどお笑い草で、DCTもしくは進化したATの方がよっぽど速いでしょう。

手動式のサイドブレーキにしても、今や絶滅危惧種です。

しかしクルマは「道具」であり、それ以上でも以下でも無いと思っています。
その「道具」を機械で制御するのでは無く、人間が制御するから面白いのだと、個人的には思っています。

ことスポーツカーに於いては、ACC(アダプティブクルーズコントロール)やAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)などのADAS(先進安全運転支援システム)がどんなに進化しても、最終的にクルマを制御するのは人間で有るべきだと思います。

無論、コミューターとしての自動運転を否定する気は毛頭有りませんが、少なくともスポーツカーは只の移動手段では有りません。

「スポーツカー」が「スポーツカーで有る」為には、人がそれを制御する事が必須で有ると思います。

それ故に、自分としては「最新は最良では無い」と思っています。
手が掛かる事も、クルマを愛する者にとっては一つの楽しみです。
Posted at 2021/07/11 01:24:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記
2021年07月08日 イイね!

増車!? LA300S 「軽マンe:S」

増車!? LA300S 「軽マンe:S」最近、BMW X1 xLine xDrive 18dを毎日奥様が通勤に使っていて、朝早くから夜遅くまで帰って来ないので、やむを得ず足クルマを迎える事にしました。














(写真は納車時のものです)

987ケイマンSが有るのですが、高齢の父の送り迎えの際に、着座位置が低過ぎて立ち上がれないと言う問題が有って普段使い出来ないので、やむを得ず導入する事にしました。







LA300Sダイハツの「MIRA e:S」です。

と言ってもずっと乗る訳では無いので、妹の家にずっと置かれたままの姪のクルマを借りる事にしました。

姪は不動産会社に就職した際に、住宅展示場に配属になった為、車通勤が必須且つ社用でも使う必要が有ったので、使っていたクルマです。

その後姪が転職してクルマを使う必要が無くなった為、妹の家にずっと置かれたままになっていました。







乗ってみてビックリしたのが、兎に角ブレーキが効かない事。
最初壊れているのかと思いましたが、どうやらそうでは無い様です。

考えてみたらウチのクルマは987ケイマンSは元々Brenboブレーキの上、スポーツパッドなので効きますし、BMW X1もブレーキはかなり効く方で、前車のB30ラフェスタもかなり初期制動が強いタイプでした。

軽自動車は滅多に乗らないので、こんなにブレーキが効かないとは知りませんでした。

次にビックリしたのが、ガソリンタンクの容量。
1/4位になったので給油した所、なんと17リットルしか入りませんでした。
調べたらガソリンタンク容量は30リットルだそうで、メーターが1/4でも12.5リットル程残っている様で、17.5リットル位しか入らない様です。
恐るべき低燃費です。

そして更に驚いたのが恐ろしく曲がらない事でした。
56,000kmを超えているので、ショックがヘタっている事も有るのでしょうが、ロールが凄くてロールアンダーになってしまい、兎に角曲がりません。
ブレーキでフロント荷重を載せていってもアンダー、アクセルオンで更にアンダーとアンダー祭りです。







結婚した年に、奥様がL880Kコペンを買ったのですが、コペンはブレーキも効いて、固められたサスペンションはホンダのインテグラDC2もかくやと思う程攻めた足回りでした。

このクルマはノーマルでもフロント荷重を載せてステアリングを切り込むと、リアが巻き込んで来る様なセッティングでした。

面白がってクルクル回っていたらメチャメチャ奥様に怒られました😓

で、このクルマはターボだったせいか燃費はそれ程良くなくて、良い所11.0km/l位だったと思います。







ところがLA300S「Mira e:S」は特に気を使わなくても軽く20km/lは超えて来ます。
これにはビックリしました。

ただ燃費重視のお陰か、アイドリングストップ機構も有って、渋滞で頻繁に停止する様なシチュエーションだとエアコンが全然効きません。

あまりに暑くて、思わずアイドリングストップを切ってしまいました。







それでも、軽量なせいか案外アクセルに対するレスポンスは悪くなくて、ATですがドンクサイ感じではありません。

ブレーキと足回りさえ何とかすれば、結構イケそうです。
一時的に借りたものなので、手を入れる気は有りませんが…

ブレーキが弱いのと、曲がらないのと、ぶつかったら死にそうだと言う以外はそこそこ使えます。

奥様の会社のドタバタが片付いたら、元の状態に戻ると思うので、それまでは当面「軽マンe:S」が相棒になりそうです。
Posted at 2021/07/08 18:09:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ関係 | 日記
2021年07月06日 イイね!

BMW X1(F48)のスマートオープン/クローズの動作確認と雨対策

BMW X1(F48)のスマートオープン/クローズの動作確認と雨対策先日スマートオープン/クローズの不具合対応から戻って来たBMW X1 xLine Xdrive18dですが、あれから神様が毎日通勤に使っていて、朝早くから夜遅くまで帰って来ないので、動作確認するのがすっかり遅くなってしまいました。









この通り、キチンと反応する様になりました。

なんせ納車された日に既に動かなかったので…😭







無論初期不良故の無償修理です。

でも、偶に有るそうで、何故か同じ青い色の車に多いとか…😱







スマートオープン/クローズのセンサーユニットは、リアバンパーのほぼ中央部のバンパー裏に有ります。

リアのマフラーのタイコが有るので、バンパー側ギリギリに設置されている様です。







裏から見るとこんな感じです。

アルミのレインフォースのすぐ下に取り付けられています。
このセンサーの不具合は良く有る事の様です。







この後、納車時にされている筈のガラスコーティングがされていない事が分かり、面倒なので日産ディーラーに頼んでしまいました。

ただ、日産車ならコーティングに合わせてワイパーブレードのゴムを対応品に交換するのですが、BMW社のクルマのワイパーゴムが無いので、止むを得ず市販のビビリ止めを塗布しました。

雨が降った日に、実際にワイパーを使ってみましたが、問題無く使用出来ました。

後はダストが酷い&初期制動が強過ぎて扱い難いブレーキパッド交換ですが、神様が毎日乗って行っているので、いつ持って行くか要調整です。
Posted at 2021/07/06 21:31:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ関係 | 日記
2021年07月04日 イイね!

987ケイマンSの事:その16

987ケイマンSの事:その16987ケイマンSはPORSCHEのミッドシップスポーツのBoxsterから派生したクルマなので、ミッドシップです。

PORSCHEのアイコンでRRの「911」の呪縛から逃れた記念すべきミッドシップスポーツの986Boxsterの次の世代の987世代で、ハードトップのケイマンが登場しました。

今回はミッドシップ・リア駆動としての987ケイマンSについて書いてみたいと思います。



①PORSCHEのミッドシップカー
PORSCHEのミッドシップの歴史は古く、1954年に356のエンジンをベースに4カム化したエンジンを搭載した550スパイダーが有ります。

ジェームスディーンの愛車としても有名です。







1957年、ポルシェ・550を全般的に大きく改良して製作された718RSKが登場し、1960年にスイングアクスルからセミトレーリングアームに変更したRS60が出ました。

この718は、水平対向4気筒エンジンだったため、現在の982Boxsterは4気筒エンジンにちなみ「718Boxster」となりました。







サーキットの狼世代に刺さる、PORSCHE914−6。

「ワーゲン・ポルシェ」と呼ばれたノーマル914の水平対向4気筒に対し、2リッターの水平対向6気筒を積むモデルで、言わばBoxster/Caymanのご先祖様と言った感じです。







911に依存して経営に苦しんでいたPORSCHEを救った救世主とも言える、986Boxster。

MAZDAロードスターに触発されて、ライトウェイトスポーツとして生まれたBoxster。
986Boxsterは2.5リッター水平対向6気筒エンジンを搭載し、俊敏さが身上です。

その後2.7リッターへと排気量を拡大し、Boxster Sで3.2リッターまで拡大されました。







そして987Boxsterが登場。

写真は718RS60をモチーフにした限定モデルですが、この987Boxsterをベースに生まれたのがクローズドボディの987ケイマンSです。







987Boxsterをベースに、クローズドボディ化したのが987Cayman。

言わば「屋根付のBoxster」なのですが、これが意外に屋根が付いただけでは有りませんでした。

Boxster比2倍と言われるボディ剛性は、思ったより様々な部分でアドバンテージになっていました。

ボディ剛性の向上は、そのままサスペンション剛性にも繋がり、不整路面や大入力が入った状態のサスペンションの動きは明らかに違います。

思ったより重量が軽くなっていないのは、裏を返せばボディ剛性の向上に繋がっています。

Boxsterも並のオープンスポーツを大きく凌駕するシャシー性能を持っていますが、ケイマンのそれは911に迫る位です。

981系になってホイールベースが伸びたにも関わらず、更にボディ剛性が向上し、よりスタビリティが向上しましたが、その代わり987系までの俊敏さは無くなってしまいました。









②.ミッドシップ・リア駆動の長所
RRの911程のトラクションでは無いものの、ミッドの低い位置にエンジンを搭載している987ケイマンSは、やはりトラクションに優れています。

流石にCP以降の立ち上がりでは911に勝てませんが、立ち上がりの911に対して、進入からCPまでの速さならGT3をも凌駕する素質を持っています。

そして987ケイマン/Boxster共に優れているのは、その限界特性だと思います。

MRのクルマは基本ピーキーで、限界を超えた時の挙動は非常にシビアです。
しかしケイマン/Boxsterの挙動は限界を超えてもいきなりすっ飛んで行く様な感じでは無いです。

以前、997型911で高速コーナーでオーバースピードで進入してしまい、アウトにはらんで咄嗟にアクセルを戻してしまった事が有りましたが、流石のマルチリンクのリアサスペンションでもRRに搭載されたエンジンが振り子の様に働き、それこそアっという間にスピンモードに入りました。

ギリギリアウトに逃しながら慎重にアクセルを踏んで、ギリギリの所でクリア出来ましたが、RRの怖さを改めて知りました。

ミッドシップでもFFユニットの流用の横置きエンジンの場合、重量バランス的に限り無くRRに近い挙動を示します。

その後991型911カレラSに試乗した時、400PSを全開にしても20〜30cm位ズレるだけでトラクションを取り戻すMR的な動きになっている事に驚いた記憶が有ります。
それは恐らくホイールベースが伸びた事で、重量配分がミッドシップに近い方向に是正されたからでは無いかと推測します。

ミッドシップ・リア駆動の最大の長所は、その重量バランスですが、PORSCHEが拘っているエンジン搭載位置が987ケイマン/Boxsterの最大の強みに繋がっていると思います。









③.ミッドシップ・リア駆動の短所
それではミッドシップ・リア駆動の短所とは何でしょうか?

1つにはエンジンが車室と被っている関係で、室内空間が狭くなるという事、もう一つは車体の真ん中に大穴が空いている為に、ボディ剛性面で不利になる事が挙げられます。

高剛性を誇るケイマンSをもってしても、RRの911のボディ剛性に及ばないのは、リアハッチの開口部以上にエンジンベイの空間が大きな理由です。

987ケイマンSは、仮に不正路面や大入力が有ってもボディが捩れる様な感じはしませんが、それでも明らかに911の巌の様なリアボディとは全然違う事は分かります。

911は不利なRRながら、驚異のボディ剛性とマルチリンクサスペンションによる精緻なタイヤの位置決めで、最大の武器で有るトラクションを最大限に引き出し、常にスポーツカーの頂点に君臨しています。









もう一つの弱点は、重量物を中心に集めているが故のピーキーさに有ると思います。

真ん中に重量物が有るという事は、言い換えればコマの様に回り易いという事です。

987ケイマン/BoxsterはフロントのCFを意図的に下げる事で、基本的に弱アンダー傾向に仕上げています。

ウチの987ケイマンSの様に、997GT3のロアアームを移植してフロントのCFを上げる事は可能ですが、そのトレードオフで逆に言えば「曲がり過ぎる」傾向になります。

速度が乗れば乗る程この傾向は強くなり、すぐにスピンモードに入ります。
無論、セッティングで有る程度抑える事はできますが、それに対応する運転も必要で、スイートスポットはノーマルに比べて狭くなります。









④.ミッドシップスポーツとしての987ケイマンS
987ケイマンSの運動性能の高さは誰もが知る所ですが、それでも様々な制約のお陰で、理想的なミッドシップスポーツとまでは行きません。

PORSCHEのヒエラルキーの呪縛のせいか、ケイマン/Boxster系のリアサスペンションにはマルチリンクサスペンションが採用されていません。







ケイマン/Boxster系のリアサスペンションのトランスバース付ストラットサスペンションは、アーム長が長くタイヤのストロークによる対地接地角度の変化を最小限に抑え、ストラットサスペンションとしては異例とも言えるトラクションを確保しています。

しかし厳密に言えば、タイヤのストロークする動線をより厳密に制御するマルチリンクを使用すれば、更なるトラクションの確保が可能な筈です。

また、利便性のための大きな開口部を持つリアハッチについても、ボディ剛性的には良いとは言えません。

しかし、それでも991GT3系から移植されたフロントサスペンションを持ち、ジオメトリを見直した981/982GT4は、997系のGT3を凌ぐ程のパフォーマンスを手に入れています。

987ケイマンSは、それらの「役モノ」程のパフォーマンスは有りません。
しかし、「ミッドシップ・リア駆動」として、かなり理想的なボディ剛性/重量バランスを持っている事は疑い無く、またミッドシップらしい俊敏性を味わうなら、ロータスエリーゼ/エクシージと並んでこのクルマの右に出るクルマは少ないのでは無いかと思います。
Posted at 2021/07/04 23:33:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記

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