先ほどの「TOYOAT MIARIに乗ったよ」の続きであります。
この「かながわサイエンスサマー」は予約なしでも、催物に参加できますが、くじ運の強い次男君は「『真空』って何だろう??&電子回路工作」に当選しましたので、こちらについてご紹介します。
こちらが出かけた先の神奈川県産業技術センターです。
ここは、私の母方の叔父が勤務していた所でもあります。
この叔父は典型的な技術屋でありまして、私にいろいろなことを教えてくれました。
また、私が質問すると、とても丁寧に説明してくれました。
(親父みたいに「てめえで考えろ!バカ!!」とは決して言わない人でした)
そんな叔父を子供のころから尊敬しておりまして、叔父と同じ大学に入学及び卒業したことをとても誇らしく思っております。
叔父は80歳を過ぎておりますが、まだまだ元気でおります。
では本題。
まずは「真空ってなんだろう?」から。
この装置を使って、色々実験をします。
ガラスの部分が真空にするところで、2台の真空ポンプが接続されています。
内、1台のポンプは大まかに空気を吸いだすポンプ、もう1台はオイルを使ったちょっと特殊なポンプで、更に真空度を上げる為のポンプであります(名前を聞くのを忘れた・・・)。
最初に「このガラスの容器に、空気の分子が何個入っているか判りますか?」と質問。
容積が20Lでありますので、大体600000000000000000000000個(6×10^23)だと暗算できましたが、あまり自信が無いので、私も周囲も無言。でも答えは合っていました。
まずはこの実験。
「横浜ベイスターズ」のマスコット、ホッシーの風船みたいなヤツ。
これ、浮輪と同じで空気を入れて膨らませるのが正しい使い方なのですが、わざと空気を抜いてぺしゃんこにしてある。
これを真空状態にするとどうなるか。
膨らみます。
この時、担当の人が「現在のDeNAベイスターズのマスコット『スターマン』は、ホッシーのペットでありまして、ホッシーは宇宙へ帰っていった」と説明。
つまり、スターマンは「野良」なんであります。
神奈川県の職員の方が、こうおっしゃっているので、これが神奈川県の公式見解なのでしょう。
つぎにこれ。
真空の中で、金属のクリップと紙を同時に落としたらどうなるかであります。
落とす仕掛けはこちら。
こんな風に、電磁石とクリップの間に紙を挟み、真空状態の時、電磁石の電流を切れば、両方が同時に落ちるという仕組みになっています。
実験すると、空気抵抗が無くなるので、クリップも紙も同時に落ちます。
また、空気という、音を伝える媒体が無いので、クリップが落ちる音もごくわずかになります(下の金属部分からの音は微かに聞こえる状態であります。
この辺までは、参加している小学生や親御さんでも、結果が予想できる実験でありますので、担当の方が「どうなるかな?」と質問すれば、子供達から正解が得られます。
次はこれ。
真空の中に水を入れるとどうなるか・・であります。
流石に「どうなるか判りますか?」と聞かれても、シーンとしている。
私は知っているので、「ああなって、こうなるんじゃあないですか」と言ったら、「そうなるか実験してみましょう」といって、容器内の空気を抜きます。
そうすると、
常温で沸騰します(小さいビーカーから水がこぼれていますね)。
この状態で放置すると、中の水は氷ります。
つまり「沸騰しながら、氷る」が、私が答えた「ああなって、こうなるんじゃあないですか」であります。
でも実際は、一度沸騰が終わってから氷り始めるので、担当の方から「沸騰しながら・・は間違いですね」と言われてしまいました。
水が氷る理由は以下の通りであります。。
①気圧が低い状態に水が置かれると沸点が下がり、常温でも沸騰してしまう。
②沸騰すると、気化熱で水の温度がどんどん低下する。
③温度がどんどん低下すると、0℃以下になってしまい、水が氷る。
インスタント食品でフリーズドライというのがありますが、あれも食品を真空状態に置くと、水分が抜けて、氷る・・・と言う原理を応用しています。
油で揚げたり、加熱しないので、風味を損なわない処理方法であります。
ここまでの実験は、大まかに真空にするポンプだけを使用しています。
次はこれ。
下に置いたプラスチックの板に、アルミを蒸着させる実験であります。
コイル状になったニクロム線にアルミの糸を置いているところです。
準備が終わり、これから真空にするところです。
ポンプも2個目の特殊なポンプを使用します
蒸着は真空度を上げないと、
①金属が蒸発しない(気圧が低いので、金属も蒸発する)
②酸素が残っていると、アルミが酸化する
の不具合が発生しますので、真空計を使い真空度を確認します。
測定器は真空機器で有名な「ULVAC製」です。
十万分の1気圧まで下げるそうですが、それでもガラス容器の中には1000000000000000000(1×10^18)個の空気の分子が存在しています。
ニクロム線に電流を流し、アルミを蒸発させているところです。
蒸着の終わり掛け。容器の中全体が金属調になっています。
蒸着終了。焼け跡みたいになっていますね。
次男君の作品がこちら。
丸いプラスチック板に、四角い穴が開いた板を乗せてこうなりました。
本当は星形とかの複雑な形状でやりたかったそうですが、人気が高かったので四角にしたそうです。
私は学生時代に電子顕微鏡を使っていましたので、この蒸着作業はしょっちゅう行っていました(電子顕微鏡は、測定物の表面に金属を蒸着させて、電子を反射させる仕組みになっています)。
しかも蒸着させていたのは「純金」であります。
ニクロム線に流す電流の加減が難しく、少ないと融けないし、流しすぎるとニクロム線が切れる・・という失敗を繰り返しました。
当時は何故純金を使うの理解できませんでしたが、酸化を防ぐためだったんでしょうね。
違う理由があるのかもしれませんが・・・・
つづく