マツダの新しい車載インフォテイメントシステム、マツダコネクト。
まだまだ始まったばかりのシステムですが、現状でどの程度使えるのか、簡単に紹介してみたいと思います。
この手の車載情報機器、インフォテイメントシステムとして国内で有名なのは、G-BOOK、CarWings、インターナビ....
ああ、皆様の顔が曇ってきました。
そう。全く使い物にならない、または、見事に無視されてきたシステムたち...
そんな中切り込んできた、マツダコネクト。
自動車メーカー各社が挑戦して失敗してきたこの分野に、どんなシステムを送り込んできたのか。
まず、マツダコネクトとはなんなのか。
マツダコネクトのホーム画面
マツダコネクトとは、今後のマツダ車に標準搭載となるであろう、車両情報と音楽などのエンターテイメント系システムを統合した、車載型のインフォテインメントシステムのことです。
今までは、予め規格化された2DINサイズのナビをディーラーオプションなどで購入し、車両に取り付けるのが主流でした。
よく言うカーナビというやつです。
それをメーカーや車両に合わせて独自化し、より多彩な機能を使いやすくしようというのがこのシステムです。
つまり、ディスプレイと操作系は車両についてくるので、あとからナビを買う必要はありません。
といっても、マツダコネクトの場合、カーナビゲーションとして使用するには別売のSDカードを購入しなければなりません。
このようなシステムを取り付けることのメリットは、例えば車両に搭載されたたくさんの安全装備の設定をまとめてコントロールできたり、インテリアの見た目がよかったり、運転中でも簡単な操作ができるように専用の操作系をもたせたりできる点でしょうか。
しかし、ユーザーインターフェースや機能の詳細はすべてメーカーで決められてしまっており、好みに合わせて選択することはできません。
痒いところに手が届かなかったり、万人受けするように簡素に作らていたりと、使う側にとって不満の種になっていたりするのも事実です。
今回はマツダ CX-5のマツダコネクトを例に、少し紹介してみます。
少し触ってみた感じでは、ナビゲーション機能はシステムの見た目からして少し残念、オーディオは全く使い物にならない、電話機能はとても優秀、と言った感じです。
マツダコネクトは、独自のコマンダーコントロールという操作系により、運転中でも直感的に簡単な操作は行えるようになっています。
こちらがCX-5のコマンダーコントロール。
中央の大きなダイヤルは、ひねる(左右回転)、押しこむ、倒す(上下左右)の操作ができ、その回りに、お気に入り、エンターテイメント、ホーム、ナビ、戻るのボタンが配置されています。
左側の小さなノブは、ボリュームダイヤルです。押しこむことでミュートになります。
それではマツダコネクトの中身を見て行きましょう。
まずは車両設定の画面。
マツダのCX-5の場合、このように車両の各種装置を設定変更できます。
マツダの安全技術の総合システムである、i-ACTIVESENSEの各種機能の設定がメインで、この画面ですべて設定することができます。
こういうことができるのも、車両専用のインフォテインメントシステムの強みです。
続いてはオーディオ。
コレが全く使えない。
最近は、多くの方がスマートフォンを持っていて、カーナビの機能も進化してきたため、Bluetoothで車と接続して音楽を聞くという方も多いのではないでしょうか。
マツダコネクトで問題なのがそのBluetoothオーディオまわり。
まずはこちらの動画を御覧ください。
冒頭からいきなり音飛びしまくっていますね。
接続しているのはiPhone6で、他の車でもBluetoothオーディオを使っていますが、ほとんど音飛びしません。
ですがマツダコネクトではこう。
どう考えてもマツダコネクト側に問題がありそうです。
バッファが足りていない感じ。
ちなみに操作はコマンダーコントロールで行っています。
最後の方いきなり曲が変わるところはハンドルについている曲送りボタンを押しています。
また、更に輪をかけて悪いのが、その操作系。
動画内でプレイリストを選択しているところがありますが、基本的に、曲送り戻しボタン以外だと、Bluetooth機器を選択するところから初めなくてはなりません。
せっかくプレイリストを選択しているのに、一発でプレイリストの一覧が出ないのは問題です。
それ以前にどう考えてもこんなぶつぶつで速度もめちゃめちゃな音楽を聞いていたら、気が狂ってしまいます。
ラジオはどうでしょうか。
なんと最近ではほとんどあたり前になっている、放送局名が表示されません。
頑張って周波数と放送局を頭のなかでリンクさせましょう。
その他のソースとして、ahaやSticherに対応していますが、そうじゃない路線ド直球です...
==========2015/03/13 追記==========
コメント欄で、iPod Touch(4th)なら問題なく再生できたとご指摘頂きました。
早速試してみたところ、問題なく再生できる状態が再現できました。
iPod TouchとiPhoneの違いといえば、電話機能があるかないかが一番大きなところです。
加えて、Bluetoothの初回接続時に、「連絡先を同期しました」との表示が出るので、以下の条件で試しました。
・SIMを抜く
・Bluetooth以外の通信機能をOFFにする
(フライトモードにしてBluetoothだけONにする)
・連絡先をすべて削除(0件)
こうしたところ、音飛びなく再生されたので、やはりこのあたりでなにか同期をとっていたり通信をしていたりして、通信量的に音楽再生の足を引っ張っているような印象を受けます。
どちらにせよ、「マツダコネクト」の名の通り、コミュニケーション機能を前提としたインフォテイメントシステムなのに、電話と音楽再生を同時に出来ないなど問題外です...
==========追記ここまで==========
うってかわって、マツダコネクトで個人的に感動したレベルですごいなと思ったのが、電話機能。
マツダコネクトと携帯電話(iPhone)を初めて接続した時に、電話帳が同期されます。
コレのおかげで、マツダコネクトから簡単に電話をかけることができます。
また、iPhoneの場合、着信音はiPhone側で設定されている音楽が車両のスピーカーからもしっかりと鳴ります。
こういう細かいところは大事です。
さらに、ハンドルに付いている電話をかけるボタンを押すと、最近の履歴が表示されます。
もちろん携帯電話に保存されているものです。
つまり、コールバックであれば、ハンドルの電話ボタンを押し、コマンダーコントロールを押しこむだけで履歴から簡単に電話をかけられます。
唯一残念なのが、最終的に発信する(確定)のにハンドルのボタンが使えないこと。
直感的な操作としては、これを押せば電話を発信するようにしてほしいですね。
そして驚いたのがその通話音質。
一度マツダコネクト経由の走行中の電話を受けたのですが、そこらのBluetoothヘッドセットで話しているよりもとても静かで、言われても車の中からとは判らないほどクリアでした。
さらにスピーカーホン状態になるにもかかわらず、こちらの声は一切返ってこず、快適な通話ができました。
さて、肝心のナビはどうでしょうか。
これはまぁまぁという感じです。
先述の通り、マツダコネクトにナビゲーション機能を追加するには、ディーラーオプションのナビゲーションSDカードを購入する必要があります。
要するにSDナビなので、地図もそんなに綺麗ではありませんし、ナビゲーションも今どきにしてはかなり簡素です。
ナビなんてたまに使う程度、であれば十分といった印象は受けますが。
だいたい5年ほど前のディーラーオプションナビという感覚で良いかと思います。
音声も聞き覚えがあるでしょう?
主な機能としては以上です。
その他にも設定メニューを見ていると、SMSなど現状使えない機能が見えていますが、おそらく今後対応していくのでしょう。
最初にG-BOOKなどといったインフォテイメントシステムを例に上げましたが、マツダコネクトはどちらかというとBMWのiDriveなど、輸入車によく見られる方面のインフォテインメントシステムに近い印象を受けます。
2DINインダッシュナビで成長してきた日本の市場にまだ馴染めていない感がどうしても拭えません。
この手のシステムは、アップデートありきのシステムなので、むしろこれから力を入れて取り組んでいただきたいところです。
今後のアップデート対応の如何によって、過去に埋もれていった先輩インフォテインメントシステムたちの後を追うか、成功を収めるか、決まってくると思います。
例にとるのにふさわしくないかもしれませんが、例えばiPhone。
最初は機能がかなり制限されていましたが、うまくアップデートされていき、徐々に使えるものになっていきました。
マツダコネクトもうまくアップデートされていけば、本当に使えるインフォテインメントシステムになり得るのでは無いでしょうか。
逆に言えば、放置されれば未来はないということですね。
簡単な説明でしたが、マツダコネクトの現状はこうです。
今挙げたiPhoneの例ではないですが、本当に使えるインフォテインメントシステムに成長するとしたら、あと1回りくらい必要な感じがします。
現段階では手をだすかどうか、悩みどころかもしれません。
といっても、車両についてきちゃうので、それいらない、従来のナビ付ける、では済まない世界なのですけど。
マツダコネクトの現状、お分かりいただければ幸いです。