
当初、簡単に出来そう、と思っていたE-TSloggerでしたが、実際モノを作るとなるとやはり時間がかかりますね・・・。
日夜、試作回路をブレッドボード上に組み立てては、実験環境でテスト、続いて実走テストし、徐々に改良を重ねてきました・・・。
しかし、そろそろ基盤のノイズなのか、回路のノイズなのか分からない状態になってきましたので、図面を描いて、プロトタイプ1号を組み立てることにしました。
・・・そして。ついに完成しました!
アテーサE-TSlogger Ver1.0.1です♪
「アテーサE-TSlogger Ver1.0.1」なんて名前を勝手につけてますが、物は単なる周波数カウンターで、当初の想定通り、部品点数自体は、かなり少ないです。
とは言っても、純正アテーサ&ABSユニットにフェール判定されないように、十分な大きさの入力インピーダンスを確保しつつ、背反条件であるノイズ対策もしっかり盛り込んでいます。
ですので、これまで実験含め、ただの一度もフェール判定されることはありませんでしたので、その気になれば(?)常時接続していても、全く問題ありません^-^
ユニットの構成としては、
ABSセンサー入力レベル調整→コンパレータ(A/D変換)→PICマイコン(パルス測定&演算&通信)→USBシリアル通信ユニット→PC
の順です。
そして、過去に製作した電圧ロガーを組み合わせ、
こんな感じになってます(固定方法は、まだ検討中^-^;)
このユニットで、4輪それぞれのホイール回転数、前後左右G、フロントトルク値、アクセル開度が同時に記録可能(8ch@70ms毎)です。
ちなみに、ホイール回転センサーの出力信号なんて、普通、「見る」ことなんてないので、「見た」たことが無い方がほとんどですよね。
・・興味ありませんか(笑)
実験段階のもので、手ぶれ等酷いですが、チラッと撮った動画を公開しますね♪
上側が後輪センサー出力、下側が前輪センサー出力です。波の間隔が狭くなるほど、ホイール回転数が高いことを示しています。そして、加速中に、下側の波形よりも上側の波形の方が先に波の間隔が狭くなっているのが判ると思います。
これこそ、BNR32が普段はFRで加速しているいい証拠ですね(リアタイヤが変形&滑っている)。ちなみに、加速は2速で、アテーサ&ABSはON、通常の走行状態です。
以上がこれまでの簡単な経過です(簡単すぎかなw)。
で、早速お山を走ってきましたログが、こちらです。
出し惜しみなんてしませんよ(爆)。日本全国、メーカー技術者の方、唯のクルマ好き、ネットで通りかかった人、私の様なプライベーターの方など、役に立つようでしたら、どんどん参考になさってください♪
まずはこちら(シーンA)。
まぁまぁな上り勾配の2速直線加速(阿讃サーキットの裏ストレート位、というかその辺り)のログです。
スケールは、左軸が電圧(0~6V)、右側が周波数(0~1,200Hz)です。
このログによれば、加速によりフロントトルク(太橙)が加速と共に大きく立ち上がっており、そのお蔭か前後ホイール回転差は、ほぼありません。
また、その加速により縦G(太青)も大きく変動しています。ちなみに、電圧変動の割合は、0.6G@1.0vだそうです。
続いて、こちら(シーンB)。
前方の赤丸区間では、コーナー立ち上がり時のドリフト(ていうか、正確にはパワースライド)により、後輪(黄、緑)の回転上昇が、前輪(赤、白)より先行しているのが判ります。
アテーサがフロントトルクを強める要因が、前後ホイール回転差だとすれば、ここで大きくフロントトルク値が大きくなるハズ・・・が、なっていないですね。
シーンAと比較して、横G(太黄)影響が大きく、縦G(太青)が小さいので、フロントトルク値はそれほど強くないです。
一方、後方の赤丸もドリフト(パワースライド)なのですが、最初は横G(太黄)が大きいものの、横Gの納まりと共に縦G(太青)が大きくなるにつれ、フロントトルクが大きくなっているのが判ります。
ホイール回転差、縦G、横Gは全て関連して変化するので、1パラメータだけを取り出して話ができるかどうかもわかりませんが、しかし縦Gが強くなっているときに、アテーサもフロントトルクが大きくなっているように見えます。その時は、横Gは少ないです。
そして3つ目(シーンC)。
区間1は先(シーンBの後半)と同様の傾向です。前後回転差+縦G増大で、フロントトルク大)
区間2は、区間1と似たタイトコーナーですが、しかし区間1ほど大きくフロントトルクは振れていません。区間1との違いは、前後回転差が小さいこと。縦Gは同じくらいですから、前後回転差が小さいことが、区間1よりフロントトルクが小さくなっている要因のようです。
区間3はちょっと複雑ですが、よくよく見ていくと、これまでの傾向どおり、縦G大且つ横G小、且つ前後ホイール回転差大⇒フロントトルク大となっています。
ログは他にも大量にありますが、今回分かった大きな所としては、大体こんなところです。
あと、他に気づいたこととしては、ドリフト中など前後タイヤ回転差が大きいところでフロントトルクを強めている場合でも、前後回転差は同等(ロック率でいうと50:50)まで行っていないこと。
アテーサがフルロック(50:50)まで駆動を固定すれば、(左右軸を合計した)前後回転数は同じになるハズです。
もし前後タイヤがしっかりグリップしている領域でこれをやってしまうと、前輪が転がらないのでプッシュアンダー感が凄いんだと思います。余計にグリップも食われますし>_<
しかし、後輪回転数が先行している領域では、50:50にすることで、前輪は少なくとも後輪と同じところまでは、加速できる・・・。
しかし、そのときの状況としては、かなりの横Gが残っている領域でもあるはずだし・・・。ここを強化すれば、フロントが「引っ張る」感じがでそうな気がする・・・。
というような感じで捕えましたが、これまで聞いていたアテーサの動きや、制御には前後回転差と縦横Gが影響していることを、聞いた話でなく、しっかり
「数字で」把握できました!
これが一番大切なことですね^-^b
これで、サードパーティーのアテコンなりオリジナルE-TSkaiユニットの製作なども、しっかり評価できる環境が整いました。
※同じ走りが再現出来るかどうかは別として(笑)
一方で、アテーサE-TSが万能でないということも、段々理解できてきたような気がします。
アテーサE-TSは、フロントタイヤへの伝達トルクを増すことはできても、リアタイヤよりも回転を上げることは、構造上絶対に無理だということです。
これは即ち、4輪グリップ領域でのトランスファーロックアップは、コーナーだと大きなロスが発生(フロントタイヤが転がらない、ブレーキがかかる感じ)ことであり、フロント回転数=<リア回転数となっている領域でこそ、その本領を発揮するモノ、ということです。
さて、こうして得た貴重なデータを基に、何をパラメータとしてどこを制御すれば、理想の動きとなるか・・・。
試行錯誤は続きますが、なんとかモノにしたいと思います*^-^*