
新型レヴォーグに搭載されたエンジンは、1800cc水平対向直噴ターボ「CB18DIT型」。
なんと新型エンジンです。
従来型レヴォーグは、1600cc水平対向直噴ターボ「FB16DIT型」と2000cc水平対向直噴ターボ「FA20DIT型」の」2種でした。
「FB16型」2010年に、「FA20DIT型」は2012年に登場しています。
古いエンジンじゃないんです。
とはいえ環境性能が叫ばれる昨今、新型エンジンが必要になったんでしょう。
さらに燃費も向上させなきゃいけませんし。
では、「CB18DIT型」はどのようなエンジンなのでしょうか。
「FB16型」はロングストローク化と小さい燃焼室をコンセプトにした環境対策エンジンとして登場しました。
比較しますと…
FB16DIT型
排気量1599cc
ボア×ストローク 78.8mm×82.0mm
ストローク/ボア比 1.04
最高出力 170ps/4800-5600rpm
最大トルク 250Nm/1800-4800rpm
クランク長 350.5mm
ボアピッチ 113.0mm
CB18DIT型
排気量1795cc
ボア×ストローク 80.6mm×88.0mm
ストローク/ボア比 1.092
最高出力 177ps/5200-5600rpm
最大トルク 300Nm/1600-3600rpm
クランク長 315.9mm
ボアピッチ 98.6mm
200ccアップしたのに、「CB18DIT型」は出力が+7psだけ。
トルクはより低速から発生しています。
より低速寄りのセッティングにしたということですね。
クランク長 はエンジンの長さに直結。
クランク長はボアピッチと関係があります。
ボアピッチは「隣り合うシリンダーの中心間の距離」です。
「FB16DIT型」のボアピッチは113.0mm。
ちょっと広めです。
これは「FB型」エンジンが2500ccの「FB25型」をラインアップするからなんです。
水平対向エンジンの排気量アップは、ストロークがほぼ変えられませんので「ボアの拡大」で対処します。
「FB16DIT型」のボアピッチは113.0mmは、94.0mmという「FB25型」のボアに合わせたもの。
「FB16DIT型」にはオーバーサイズだったんですね。
「CB18DIT型」はボアピッチ98.6mm。
排気量1795ccにドンピシャで合わせているように見えます。
これ以上の排気量アップはなさそうです。
そのかわり、「CB18DIT型」にマッチしたボアピッチで作りこんでます。
結果的に「CB18DIT型」は「FB16DIT型」よりクランク長さが短くなりました。
これは水平対向エンジンのコンパクト化に繋がりました。
ストローク/ボア比は「FB16DIT型」1.04、「CB18DIT型」1.092。
数値が大きいほうがロングストロークエンジンです。
昨今の各社の新型エンジンは軒並みロングストローク化してます。
「CB18DIT型」はロングストロークになってました。
「CB18DIT型」の最大のトピックスは「リーン燃焼」です。
通常の燃焼は「ストイキ燃焼」です。
「ストイキ燃焼」の混合比は『燃料1gに対し空気14.7g』(「14.7:1」なんて言われます)。
この混合比をあらゆる状況で目指すために、各社エンジンを改良し続けているわけです。
「リーン燃焼」は『燃料1gに対し空気量を14.7の数倍に増やして燃やす』ことです。
空気を増やして燃料が薄くなる燃焼をさせるんです。
「CB18DIT型」は「ストイキ燃焼」の2倍の空気で燃焼させる「リーン燃焼」です。
つまり『燃料1gに対し空気29.4g』。
これで燃費が良くなることを狙っているんですね。
ただ「リーン燃焼」は燃料が少なくて燃えにくいんです。
そこで、直噴インジェクターの位置を変更しています。
さらにシリンダーに空気を送り込むときに渦巻き化(タンブル流)することを、「FB16DIT型」より強化。
「リーン燃焼」の最大の欠点は、「ストイキ燃焼」に切り替えるときの段差です。
燃焼が変わるので体感できる差が生まれます。
さらにPMやNOxが出てしまうんです。
スバルはここをしっかり対策したとか。
ターボ車で「リーン燃焼」と「ストイキ燃焼」を段差無く切り替えるって、技術的にはすごいことです。
FB型が登場したとき「Future Boxer」の意味が込められていました。
CB型は「Concentration Boxer(Concentration=集中、濃厚)」の頭文字。
想いと技術の詰まった新型水平対向エンジンでした。
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クルマ | 日記
Posted at
2020/08/22 18:05:48