2023年09月22日
秘密のハンカチの話・写真は撮らないで・・
「てうてう1お願いがあるの」
そう言って来たのは元・カノ○○美さん
「どうした?何か困っているのか?」
話がしたいから逢えないか?という、ココ暫くは忙しくて自分の時間が中々持てない
「じゃあ いつがいい?」と、てうてう1
「出来るなら早い方がいい」と、○○美
では今度の週末とか?それで了解を得た。
迎えた週末、夕方近くになっている。
「久しぶりだな」
「うん・・そうね」
他愛の無い挨拶
「何処行く?」と、てうてう1
「うん・・何処でもいい」という曖昧な答え
何だか元気が無い、そんな○○美を気遣い
「どこか調子が悪いのか?」
「ううん・・大丈夫」
シゲゾウの助手席に座る○○美
淡い色のブラウスに今日はロングのスカート
ショートカットのブラウンの髪は夕日に照らされてキラキラしていた。
「ねぇ・・てうてう1の一番好きな場所は何処?」
「え?・・オレは時々夕日を眺める場所がある、そこへ行くと気分が落ち着く」

「遠いの?ここから・・」
「いや、そんなに遠くない30分も走れば着く」
どうしたんだろう?何かあったのか?
「じゃあそこへ行きたい!私を連れて行って!」
「いいよ」
そこは海を見下ろす高台にある、遥か下の海から晩夏の風が吹き
身体に纏わり付く
少し潮の香りを運んでくる風、熱風ではなく少しだけ秋の装いを纏った風
「あぁ・・ここなのね」
「・・・・オレはココに来るとリフレッシュ出来る気がする」
写真を撮ろうと提案する。
「いいの!写真はいいの!撮らなくて」
暫くの沈黙
「なぁ・・○○美・・どうした?」
「・・・何でもないよ・・てうてう1と海を見たかった」
どれくらい時間が経過しただろう、夕日は沈んでいた。
「てうてう1!私を力一杯抱いて!」
「えっ?」
「お願いだからっ!私が飛ばされないように!しっかりと抱きしめて!」
言葉の理解が出来ないまま強くそして優しく抱擁する

「ありがとう!てうてう1」
「あぁ・・どうした?」
「ねぇ、私達が再会した時の事覚えてる?」
「オレが釣りに行ってた時、後から聞き覚えのある声がした」
「釣れますか?」と、○○美
「釣れますか・・」同じようにてうてう1
友達と旅行に来ている、そして朝の散歩で波止場を歩いていた
栗色の長い髪が潮風に揺れていた。
別れてから2人の間には長い長い時間が流れていたが、声も佇まいも色褪せてはいないように感じられた。

「私も釣竿持ってくればよかった」
「おまえは釣りをしないだろう」
あの時の会話が思い出される。人はいい思い出はよく覚えているものだ。
そして脳内で美化していく生き物である。
「てうてう1ありがとう・・今日は帰る」
「そうか・・何かあれば遠慮なく言えよ」
「うん・・てうてう1・・ありがと・・」
そして送って行った。
シゲゾウのドアを閉める時 ○○美は「さよなら・・さよなら」
いつもなら「じゃあね!」なのに「さよなら」を2度繰り返した。
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秘密のハンカチの話 | 日記
Posted at
2023/09/22 19:18:17
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