購入した
富士通の電子ペーパー FMV-DPP02 の製品レビュー 3回目です。
今回はPCとの連携機能について紹介します。
FMV-DPP02には microUSB 端子が搭載されていますが、USBケーブルを使ってPCと接続しても、外部ストレージとして認識されません。
FMV-DPP02にて作成したドキュメント(PDF・ノート)を取り出したり、新しいドキュメントを追加したい時には、富士通にて配布されているPC アプリ「
Digital Paper PC App」を使う必要があります。
Digital Paper PC Appで初めてFMV-DPP02を使う場合には、機器登録をする必要があります。
FMV-DPP02には外部インタフェースとして、USB/Wi-Fi/Bluetoothの3つが搭載されていますが、機器登録をする場合にはUSBケーブルでの接続が必須です。
一度機器登録をしてしまえば、Digital Paper PC AppからWi-Fi/Bluetoothの設定を行うことで、全てのインタフェースでの接続が可能になります。
こちらがDigital Paper PC Appのメインウィンドウ。
FMV-DPP02内部をフォルダ構成とドキュメント一覧で表示をするかの選択があり、対応した内容が下部に表示されます。
フォルダの下に + が付いたボタンは同期フォルダを作成するボタン。
同期フォルダを作成し、PC内の特定のフォルダと同期をさせることが可能になります。
「電子ペーパーに入れる」を選択すると、ファイルダイアログが表示され、選んだPDFファイルをFMV-DPP02にコピーすることが可能です。
データシートなどのPDFは、この選択から本体に渡します。
「スクリーンキャプチャー」はFMV-DPP02の現在画面を取得します。
これはホームメニュー内の設定の画面をキャプチャしたものです。
Digital Paper PC Appの「設定」を選択すると、選択ダイアログが表示されます。
ここではBluetoothでペアリング済みの電子ペーパーの情報やBluetoothとWi-Fiの設定のほか、ノートのテンプレートの登録や削除を行います。
現在登録されているテンプレートが一覧で確認できるほか、選択して削除や追加、名前変更が可能です。
少し気を付けないといけないのが、「電子ペーパーに入れる」でノートのテンプレートとなるPDFを転送してしまうと、PDFドキュメントとして扱われる点です。
ノートのテンプレートとして使用するファイルもPDFなのですが、「電子ペーパーに入れる」で転送したPDFは、PDFドキュメントとして扱われます。
スタイラスで記入は可能ですが、ページを増やすことができないうえに、FMV-DPP02内部でそれを元に新しいファイルを作成することができません。
ノートのテンプレートとして登録したPDFは、ホームメニュー内の「ノートの作成」でリストアップされ、新しいノートとして作成が可能です。
当然ながらスタイラスでの記入が可能なうえ、最初は1ページですが、画面上でスワイプをすることで、同じ内容で後続ページが次々と作成されます。
ちなみに、テンプレートの登録で複数ページのPDFを登録してしまうとどうなるか…1ページ目の内容がテンプレートとして登録されます。
自作したPDFでもテンプレート登録は可能ですので、例えばエクセルやワードでオリジナル形式の罫線や枠の文書を作ってPDF化すれば、それをテンプレートとしたノートが実現可能です。
EVの一日の運用状況(走行距離、区間電費、充電時間・量、地点名、バッテリ残量など)をオリジナルのフォーマットで印刷してメモしている人や、独自フォーマットで日記を付けてる人など、このような方達向けの製品と言えます。
作成したノートはPDF形式で本体に記録されますので、PCに取り出して簡単に印刷することが可能です。
と、Digital Paper PC Appを使うことで、FMV-DPP02の活用の場が広がります。
基本的に本アプリはSONYのデジタルペーパーで提供されている
Digital Paper Appと同じものです。
さてここから辛口レビュー。
SONYのDigital Paper Appは対象Windowsが7~10ですが、富士通のDigital Paper PC AppはWindows10のみの対象です。
未だWindows10に移行できていない環境では本アプリを使うことができません。
Windows7にインストールすることは可能ですが、USBのデバイスドライバがWindows7環境ではFMV-DPP02を認識してくれません。
まぁ、未だにWindows7を使ってる方が悪いといえば悪いのですが、企業の中では未だ10に移行できていないところもあるので、ちょっとこれはなかろうと思うのですが…
あと、これはSONYのDigital Paper Appも同様と思われますが、
FMV-DPP02は1台のPCにしか登録できません。
それが証拠に登録を行ったFMV-DPP02のホームメニューからはPC Appのセットアップのアイコンが消えます。
つまり…FMV-DPP02に
ドキュメントを送ったり受け取ったりできるPCは1台のみ、ということになります。
例えば家のPCにDigital Paper PC AppをインストールしてFMV-DPP02を登録すると、会社など家のPC以外ではFMV-DPP02を接続することができません。
これ、使い勝手的には持ち運ぶという電子ペーパーの機動力を削ぐ仕様です。
SONYでは、Digital Paper Appの他に「
Digital Paper App for mobile」というモバイルアプリをリリースしています。
このモバイルアプリを使うことで、出先等でスマートフォンとデジタルペーパー間で簡単にPDFファイルを出し入れすることが可能になり機動性があがります。
例えばこんなケース
・打ち合わせのアジェンダがメールでPDF添付で届いた
・客先設計の回路図等の資料をメールで送ってもらえるようになった
・用意していたデバイスデータシートが古いことに気が付いて出先で新しいものを入手した
・FMV-DPP02でメモした内容ごとPDFで即渡したい
こういった対応が今の富士通のシステムでは、全く手がでません。
出先で急遽この回路をチェックしてくださいとレビューの依頼と回路図をもらったりした際にササっと確認して必要事項をメモ書きして即渡す、なんてできたらスマートですよね。
唯一、Digital Paper PC AppをノートPCにインストールしてFMV-DPP02と一緒に持ち歩けば問題ないのですが、これって意味ないですよね。
せめてSONYのようにスマートフォンと連携ができれば、スマートフォンでメールの送受信もできますし、クラウドストレージにアクセスすることもできるので、FMV-DPP02の機動性を損なうことがありません。
FMV-DPP02でSONYの各アプリが使えればいいのですが、それはやはり不可能でした。(^^;
すでにSONYでこのような構成が提供されているという事実があるので、富士通にだってこの必要性は判ると思うのですが…
最悪USBストレージ機能を搭載すれば…いやいや、出先の会社でUSB接続を許してくれる所なんて皆無なので、やはりスマホ連携が一番スマートですね。
はっきり言って今の
富士通のシステムではFMV-DPP02を十分に活かしてはいません。
とりあえず現状で電子ペーパーの利点を見出しましたので、モバイルアプリを出さないのであれば、早々に売り払ってSONYに乗り換えてもいいかなと考えています。
次回アクセサリ編にて、終了となります。 → 「
電子ペーパー FMV-DPP02 ~アクセサリ編~」