
マーケティングの世界においてイノベーター理論というものがあります。
冒頭写真のグラフで解説される、1962年にアメリカのスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が提唱した、新商品の普及に関する理論です。
最近ではすっかり有名ですよね。
新商品を購入する人の層を5つに分類したもので
・イノベーター(Innovators)
最も革新的で、冒険心にあふれた人たち。新しいものに対して積極的に採用をする。
・アーリーアダプター(Early Adopters)
流行に関する感度が高く、情報収集を自ら行い、積極的に発信も行う。オピニオンリーダーとも呼ばれ、他の層への影響力が非常に大きい。
・アーリーマジョリティ(Early Majority)
アーリーアダプターに比べると慎重ではあるものの、新しいものへの関心は高い。ブリッジピープルとも呼ばれ、この層に取り入れられると一気に市場が拡大する。
・レイトマジョリティ(Late Majority)
新しいものに対しての積極性は高くなく、一般的に流行した後に取り入れる層。フォロワーズとも呼ばれる。
・ラガード(Laggards)
保守的な人。流行などには関心がなく、新しいものがある程度普及し一般化してからでないと取り入れることがない。
の各用語で定義されています。
スマートフォンなどは現在、レイトマジョリティ、いやすでにラガードの初期かもしれないです。
そして我らがEV、これも世の中から見れば新製品にあたる商品ですよね。(4輪車の極初期は電気自動車だったというのは置いておいて)
2019年12月現在のEVって、イノベーター理論でいうと、どの層に属するのでしょうか?
自分はZE1リーフがリリースされてEVの世界に足を踏み入れたのですが、アーリーアダプターかな、と考えています。
EVは一般向けには、2010年4月にi-MiEV、同年12月ZE0リーフが発売開始されました。この時にi-MiEVやリーフを買った方達は間違いなくイノベーターでしょう。
現在はもうイノベーターは過ぎてしまっているのではないか、ZE1リーフの発売開始された時(2017年9月)からアーリーアダプターに変わったのではないかと考えています。
実際の自動車保有台数で考えるとH31年の日本国内の保有乗用車台数が6177万台、うち電気自動車が10.7万台、EV比率は1.7%だそうです。
あれ?とするとまだ2.5%を越えていないので、イノベーターになります。
しかしながら年間の登録台数、さらに日産に限って2018年の登録台数で考えると、426,323台、うちリーフは27,357台、EV比率は6.4%です。
・
自動車販売台数速報 日本 2018年
※リーフの登録台数に関しては会員IDが必要です。
日産にしてみれば2018年の段階で、EVはアーリーアダプターと言えそうです。
さらに日産では2018年4月の中期計画で2022年度には国内販売に占めるEV比率は40%になる見込み(但しe-powerもEVにカウント)としています。
2022年にはアーリーマジョリティの後半に位置します。
とすると日産としては、アリアの発売される2020年にはアーリーマジョリティに移行すると考えているのではないでしょうか。
そう考えるとZESPの番号がイノベーター理論と一致してきます。
ZESP1=イノベーター
ZESP2=アーリーアダプター
ZESP3=アーリーマジョリティ
¥2,000で急速充電し放題という破格のEVオーナーへの優遇は、アーリーマジョリティでは、一気に市場が拡大するとされているので、肩代わりしている充電代金が負担として重くなり過ぎることからの変更とすれば、納得できます。(但しZESP3の内容そのものには諸手を上げて納得というわけではありません)
ここで一つ、イノベーター理論には一緒に語られるキャズム理論というものがあります。
普及において越えなければいけない最大の溝(キャズム)があることをキャズム理論と言ってアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズムがあるとされています。
キャズムが出来る理由としては、アーリーマジョリティー以降の層では商品に求めるものが違う事が挙げられます。
イノベーターとアーリーマジョリティの基準は、その品が「役に立つ」のは勿論のこと「革新的か?」ということを重要視しますが、アーリーマジョリティー以降での基準は「どれだけ役に立つか?」「どれだけ安定したパフォーマンスを発揮してくれるか?」という点を重要視するとされています。
より堅実にその品を本当に必要か吟味して購入するということですね。
単に新しそうだから買う人がいるけど、そんなに役立つものでもないと判った品ほどキャズムは大きくなります。
EVは新しさだけでなく、地球温暖化等の環境の面から移行するのは必須という側面はあるものの、運用面においてコストがHVやPHEVと大差ないとなると、キャズムが発生する可能性は十分にありえます。
正直ガソリン車、EV、PHEVを載り比べている私が「現状でのベストチョイスは?」と他人から相談を受ければ、迷わずプリウスPHVを推します。
とはいえEV好きの自分としては、今回のZESP2終了は必要なことで避けられないキャズムを産むとしても、ZESP3の内容でそのキャズムが大きくならないことを願ってやみません。
なんてことをZESP3の発表からもやもやと考えています。
ブログ一覧 |
EV関連の話題 | クルマ
Posted at
2019/12/08 00:02:03