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イイね!
2012年10月21日

SLとLSに乗る

SLとLSに乗る   ジョン・F・ケネディが、ダラスでオープンカーに乗っていて被弾した時はこんな感じだったのだろうか?いきなり頭に軽い衝撃と共に赤いものが飛び散った。服にも小さな赤い“肉片”が飛び散っている。新型SLの屋根を開けて走り始め5分もしない間の出来事だった。



 まさか、弾丸が飛んでくるはずもないので鳥の爆撃かと思ったら、そういう不純物は混じっていなかった。色は赤でも紫に近い赤だったので自分の血ではないことはすぐにわかった。風が強かったので、ナナカマドの実かなんかが飛んできて私の頭にぶつかり飛び散ったようだ。隣の営業マンは「こんなことは初めてです」と恐縮していたが、私も初めてだ。笑うしかない。ディーラーに引き返し、トイレの鏡で自分の顔を見たら、交通事故に遭って血を流しているように額から顔にかけて汁がこびりついていた。


 洗顔して再び戻ると、試乗車も大分被弾の後遺症があったようで、あちこちを濡れタオルで拭いていた。気を取り直して再び出発する。乗ったのはSL350。岩手では初の試乗車だ。本来なら、その高級感に圧倒されるメルセデスのはずだったが、実はその前にあるものに乗ってきた。それはマイナーチェンジされたレクサスLS600hだった。まずはそちらの方から語ろう。



  昨日の納車式の前に、ショールームに置いてある新型レクサスLSを見た。乗り込んでみると実に細部に渡ってきちんと作りこんである。センターコンソールも新しくなっている。デザインも従来以上にがっちりした力強いデザインで好感がもてる。
 後部座席に至っては、かつてのドイツ車の世界だ。凄みさえ感じる。後ろから見るBピラの厚いこと。ついに日本車もここまで来たのかとちょっと感動してしまった。




  シンプルにまとまっているセンターコンソール。シグザグゲートはメルセデスの遺産。




  極太のBピラ。ここの太さ加減でクルマ造りの“良心”がわかる。

  しかし、そうは言っても所詮上級トヨタ車、走ってみればそうでもないだろうという気持ちと、最高のものを目指す努力を惜しまないレクサス、進歩がみられるかという期待と半々で今日の試乗に臨んだ。走り出すと、やはり前期型とは違っていた。前期型は走っている感覚がトヨタ車に共通した希薄さがあったが、何故かこれはしっとりという手ごたえ感がある。エンジン音も程よく耳に入り、なかなかいい。隣に乗っているゼネラルマネージャーのOさんに聞いたら、やはり前期型で無音に近いエンジン音について客からの不満があって改善したそうだ。今のレクサスはそういう改善点が見つかると半年くらいで対応できるという。




  後部座席からの眺め。ダッシュボードのデザインも秀逸。



 このレクサスLSは今やアラブの金持ちから世界の要人も使用するので、テスト走行も世界中でやるが、日本ではこの岩手県の岩泉街道も使用するという。試しに試乗コースをちょっとはずれて地元ではアップルロードと呼ばれる、丘の中腹を走るアップダウンとコーナーが続く道にLSを乗り入れてみる。大型セダンながらよろけることなく、ある程度のスピードで走れることがわかった。



 外観はもう一段洗練さが必要だ。スピンドルグリルはLSクラスだと露悪的でいいと思う。


  セダンとしての走りはかなりよかったレクサスだが、あのメルセデスの奥深い走りをもう一度味わうべく今度はヤナセに向かった。そして冒頭のハプニングになったわけである。
 そこで驚いたことがあった。SLとLSは走行フィールがほとんど同じだったことだ。気味が悪いくらいに。私としてはなんだかんだ言ってもメルセデスは別格だと思っていたが、これはメルセデスのトヨタ化とレクサスのメルセデス化が交差して、ほとんど同じものになったと言うべきであろう。



 さらに、レクサスの内装を見た後では、SLの内装はちっとも豪華に感じなくなっていた。むしろチープに見える。もしかしてあのSクラスではどうかと思い、追加の試乗をお願いした。
 Sクラスは私の好きなクルマであり、昔からの憧れだった。現行のSもなかなかいいデザインだと思う。試乗したのはS350だった。再びSLと同じコースを走り出す。メルセデスらしい鷹揚な乗り心地はSLよりも残っている。しかし今や特に秀でた走りでもない平凡さを感じた。


 そしてここでも唖然としたのが内装のチープさである。一回りしてディーラーに着くころには、LSとSだったらLSを選ぶという気持ちにまでなっていた。嘘だと思うなら私と同じことをしてみるとよい。最初に新型LSに試乗して次にSクラスに乗ると、もうSは中身では負けていると分かるはずだ。もっともSは来年にも新型が日本に入ってくるけど。




 各パーツがLSを見た後では安物とすぐわかってしまう。それだけLSは力が入っていた。



  というわけでラグジュアリーなクルマに続けて乗った一日だったが、やはり贅沢のポイントが自分の望むものとは違うので、今はこれらは欲しいとは思わない。それは走行フィールが人工的であり、ダイレクト感が奪われているからだ。例えれば養殖魚の味であって天然魚の味ではない。ヤナセの営業マンは自分もボクスターを所有していたこともあり、そこはよくわかっていて「ポルシェとは違いますが・・・」ということを何度も強調していたが最後に「メルセデスもいいクルマだと思います」と言葉を結んだ。もちろん、それには異論がない。



 しかし、あの「セルシオ」がついにあの「Sクラス」を追い抜いたということは、メルセデスファンの私としては複雑な気持ちであった。カーグラフィックのロードテストにセルシオが登場したのは1990年の1月号。紙面のカラーページはほとんどメルセデスの特集に使い、セルシオの記事は中ほどの白黒ページという扱いだった。評価も「トヨタ流ふんわり 高級車の味は今一歩」と。あれから22年。高級車の醸成には当時予想された通り時間がかかったが、努力は報われつつある。



IMG_0553

  外観のまとまりはSクラスに分があるんだけど。
ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2012/10/21 19:34:26

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この記事へのコメント

2012年10月22日 0:35
LSの鳥居グリルを見てからだと、ベンツのグリル+星が地味に見えますね(w

LSのシフトゲート付近の画像を見て「シフトゲート安っぽい!」と思いましたが、Sクラスはそれ以上に・・?価格で言うと、ほとんど差がないですからねぇ・・・

価格比較をしようと思ってヤナセのサイトを開いてびっくり!メルセデスのラインナップの多さ!これもトヨタ化の一環!?
コメントへの返答
2012年10月22日 7:03
実際のクルマを見てみると、使っている部品や造りはレクサスの方が上という印象を持ちました。Sクラスのシフトチェンジは今やコラムシフトですからね。
こうなると次期Sクラスがどう変わるか興味があります。
2012年10月22日 8:11
顔面にですか?すごい稀な経験ですね。
お怪我がなくてよかったです。そしてシートが白でなくてよかった。
僕も土曜日にこのSL乗ってきました。寒かったけどやはりオープンで。
もうすぐヤナセにつくって頃に急に雨が降ってきてトップを閉めようとしたら、完全に停止していないと走行中は低速でも作動しませんでした。ポルシェは50km以下なら作動するので、オープン乗ってると結構、こういう場面が多いので不便だなと感じました。走りやフィーリングは・・・。むしろパドルシフトは弱点を露呈するのでない方がいいなと感じました(笑)価格帯もまずまず素のカレラに近い事を考えると、微妙でしたね。今度はAMGに乗ってみたいざんす。
コメントへの返答
2012年10月22日 8:53
 やはり乗ったのですね。
 SL350だと、悪くはないけどあまりアピールするものが、このクラスとしては物足りない。外観も内装も、走りも。
 メルセデスはAMGに本来のメルセデスの凄みを盛り込む意図があるように思えます。
その分、“平民”クラスのメルセデスには妥協点がたくさん感じてしまいますね。(^_^;)
2012年10月22日 12:36
レクサスがメルセデスを抜いたなんて!

こんな事実はなかなか自分だけではわかりません。

時々、償却期間を終えたメルセデスやらレクサスをお下がりにと言う話をいただきますが、維持費を考えて断り続けています。

新しいレクサスはどんなものでしょうか?
コメントへの返答
2012年10月22日 16:08
 大型セダンは好きなんですが、はたして自分が所有するとどうかなというところはありますね。まず運転していて飽きる。外部からの刺激が薄い。
 あと、仮に1000万円のセダンを買っても10年経つと100万円で売れるかどうか?
 故障した時の部品代も高いし・・・。

 でも最先端の実用化された自動車技術を体験するにはレクサスなんかはいいと思いますよ。
 
2012年10月22日 15:24
レクサスLSそんなに良いのですか!?

嬉しいような嬉しくないような複雑な気分です(^_^;)
コメントへの返答
2012年10月22日 16:14
 いつもは「おぇ、やっぱりトヨタ車だ」という結論に落ち着くのですが、走りに芯が出来つつあるというか、ほのかな手ごたえがあるのです。内装もこういうセダンの中では一番いいと思いました。逆にメルセデスの方はいつもは「やっぱりメルセデス、いいよな♪」となるはずだったのが「あれ?メルセデスってこんなんだっけ」みたいな失望感。ただし、グレード間の差は無視した印象なのでAMGなんかに乗ればまた別かも。
2012年10月22日 17:11
先生、こんにちは。

SLはアルミボディーのため、専用の工場まで作ったそうですね。

しかし、LSがそこまで秀逸とは…。また、静観過ぎるので見直ししたとは…。あの手の車は、静かなる事林の如くではなかったんですね。

以前、先生が日産シーマに乗られたら、あまりに静かで寝ちゃいそうだという記事を思い出しました。でもレクサスに比べると、シーマはまだまだですか?
コメントへの返答
2012年10月22日 20:51
  こんばんは!ん?4回目w

 そう、アルミボディになったことを強調していました、SL350だと140kg軽量化されているのですが、逆に走行フィールは路面に吸い付くような感じはなく、普通ぽかったですね。
 LS、本文にも書きましたが、最初に新型LSを味わって、次にSクラスを見に行って下さい。あら~~~(汗)だから。
 シーマも基本路線はLSと同じですが、あちらはEクラスがライバルだと思います。
 いい、いいと言っているけどね、こういうクルマは30分も運転するともういいやと思ってしまいますよ。実はLSの試乗の時は、途中から営業の人に運転してもらって後部座席に乗っていました。)^o^(
2012年10月25日 0:00
先生が試乗されたのはFスポーツですか?
コメントへの返答
2012年10月25日 0:32
そこまで意識していませんでしたが、写真とカタログを見比べると、少なくともFスポーツではないようです。(^-^;

プロフィール

「@terry997 人のクルマにのせられる時それを少し意識します。自分の運転の時はしないけど。(^_^;)」
何シテル?   05/02 14:49
  2007年型カレラ4に乗っています。オールシーズン、日常の足として使用し、すでに10万キロを越えました。  カレラ4の乗り味は、ゆっくり走ればメルセデス、...
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