ドイツ人とイタリア人が思っているポルシェのブランドイメージ

　今日は装丁が替わった「ル・ボラン」５月号を買ってきた。「ENGINE」と同じような背表紙もついてより高級感が出た。
　その中の記事で、ドイツのAMS誌が恒例でやっている読者アンケート調査が載っていた。ブランドイメージに関する１３項目のポイント数を競うもので、特にドイツとイタリアは実際のユーザーから集計したものだという。一覧表になっていて各メーカーのエンブレムで表示されているから一目瞭然である。ドイツでの結果の一部を示すと

　●仕上げ品質　　①アウディ　②レクサス　③BMW ④ポルシェ　⑤メルセデス
　●信頼性　　　　①レクサス　②ホンダ　③トヨタ　④アウディ　⑤ポルシェ
　●安全性　　　　①メルセデス　②ボルボ　③アウディ　④BMW　⑤レクサス
　●先進性　　　　①BMW ②アウディ　③レクサス　④メルセデス　⑤ポルシェ
　●再販価格　　　①ポルシェ　②メルセデス　③アウディ　④BMW ⑤ミニ
　●デザイン/スタイリング　①アルファ②アウディ③ポルシェ④BMW　⑤ジャガー
　●スポーティ　　①ポルシェ　②BMW ③アルファ④アウディ⑤ホンダ
　●モータースポーツ　①アウディ②ポルシェ③メルセデス④BMW ⑤スバル
　●ブランド好感度　①ポルシェ②アルファ③アウディ④BMW⑤ジャガー


　イタリアでもポルシェのイメージはほぼ同じ位置にある。（モータースポーツでは１位になっているが）
　ここで驚いたのが先進性の項目がドイツでもイタリアでも５位になっていながらブランド好感度、再販価格が両国で１位ということだ。
　要するにポルシェというのは、多少の欠点はあっても愛される存在ということになる。
　躍進著しいのはなんと言ってもアウディで、昔YANASEで売られていた頃は、“ベンツ”を買うついでに奥方や娘にアウディを買い与えるといった陰の薄い存在だった。
　逆に凋落著しいのはメルセデスで「我が社の車以外で車と呼べるものはない」と豪語していた頃が嘘の様だ。１位を取ったのは安全性のみである。
　BMWは先進性のみ１位であるが、各項目まんべんなく上位にありバランスのよさでは圧倒的である。

　また話をポルシェに戻すと、ドイツ人もイタリア人もそして日本人もポルシェ、特に911には好感をもっている。
　しかし、一方では速さ、その動質において新しい風が吹き荒れ、追っ手がついに911をオーバーテイクしつつあることは認めたくはないが事実としてある。
　だから、ポール・フレールも辞世の言葉として911にエールを送ったのである。

　だが、この表をよく見てみると、フェラーリやアストン、ランボルギーニは一つも出てこない。ここにポルシェの偉大さがある。サーキットではスーパーカーと戦いながら、街ではこういった優れた乗用車とも競い合う。この「ル・ボラン」の特集もフェラーリVSポルシェVSアストン・マーチンだが、それぞれの存在価値は認めながらも結局その乗り易さでポルシェ911が優れているという内容で書かれてあった。

　ここで911の人気の秘密が明らかとなる。つまりその立ち位置が唯一無二なのである。それは驚くべきニッチであり、そこには誰も入ってこれない。
　そして男どもは照れくさくてあまり言わないが、その“かわいらしさ”はGT-RやR8にはない魅力だ。
　だから、将来どう頑張ってもGT-RやR8に速さで勝てなくなっても、ミニやフィアット500のような愛嬌で生き残る道は残されている。

この911というブランドを今後ポルシェがどのように保持し、さらに発展させていくかはまったく予想がつかない。私としては、愛嬌はあってもやはり911のトップモデルでもう一度GT-Rに負けない走りを実現して欲しいと思う。

　　会社としては儲かっているのだから、今が跳躍のチャンス！