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堅雪かんこのブログ一覧

2014年12月07日 イイね!

太郎物語

太郎物語  「小林彰太郎名作選」を買ってみた。既読のものも多いのでためらっていたが、先日ブログで触れたソアラ2800GTに関してはどう書かれていたか興味があり、発注したらすぐに届いた。彼の自動車評論は群を抜く教養の深さと物腰が柔らかいが言うべきところは言うという「辛口」批評が相まって、皆一目おいて読んだものだった。文体も独特で、雑誌の若いライターは真似をするものも多かった。





 さて、ソアラ2800GTであるが、結局ヘナチョコなのだが、そこを上手な言い方で指摘していた。例えば足に関しては「もう少しフラットな、スポーツカー的な味つけが欲しい気がする」。ステアリングは「高速域ではもう少し確実な手ごたえがある方が、筆者は個人的に好きである」。それでも我慢しきれなくなったのか慎太朗節、もとい彰太郎節がさく裂し「現状では、日本の旦那衆の好みには合うだろうが、ヨーロッパのこのクラスの購買層には、あまりに普通の乗用車に近すぎると批判されるだろう」と。試乗記にはハイデルベルグに宿泊して夜に旧市街を散策した話も出てくるが、例えメーカー持ちの海外試乗であってもこれとそれは別というスタンスをとる。





 ところで、手元に届いたこの本はあまりにシンプルな装丁で中身も学術書みたいなそっけないレイアウトだった。過去に二玄社から時々出していた別冊CGなんかは非常にしゃれていて、中は実際のCGの記事をそのまま縮小したものを使用していた。不採算部門に転落したCGはNAVIと共に二玄社から放出されてしまい今は株式会社カーグラフィックとなったが、版権の問題なのか少し淋しい感じがする。この本の中でも加藤哲也が書いているが、80年代のCGは売上数も最高で、広告収入も今日では考えられないくらいあったという。






  クルマのカラーに合わせた色を表紙に使用したりと、二玄社のセンスが出ていたCG選集と、本として何の工夫もない「小林彰太郎名作選」。60年代の出版物みたい。





  CG選集に再掲された小林彰太郎のメルセデス・ベンツ190Eの記事。スペインで行われた国際試乗会だった。




 しかし、この「広告収入」が両刃の剣で、雑誌はメーカーに気を遣い本音がなかなか書けないというジレンマに陥る。単なる分厚いメーカーのカタログ集になるか、消費者の利益のためにジャーナリスト魂を貫いた記事を書くか。まさに鉄人28号のドライバー、金田正太郎の「敵に渡すな大事なリモコン」なのである。(知らない人のために解説しておくと、鉄人28号というロボットは、ラジコンで操縦するので、そのラジコンを持った人の言いなりになる。このフレーズはその主題歌の一節)だからこそ、小林彰太郎の評論に皆期待して読んだ。ありきたりの提灯記事ではなかったから。





 あと大事な点は、彼はその人柄からは想像できない飛ばし屋だったことだ。日本の法定速度内でのインプレッションなど、クルマの本当の性能を見るにはほとんど無意味。そこから先ではクルマはどういう動きをするのか。その領域でメルセデスやポルシェはしっかり作られおり、トヨタを始め国産メーカーは長らくお茶を濁していた。この問題は今でもあり、乗り心地重視か操縦安定性を煮詰めるかは収益を優先するメーカーにとって悩ましい問題だ。それはメーカーの良心というより、道路環境やユーザーの乗り方の影響も大きい。





  飛ばしちゃいけない環境で、実際飛ばしちゃいけないクルマを評価する。これが昔から語り継がれてきた太郎物語の内容である。それを言い切るには勇気が必要ということだ。












IMG_1986






 





 
Posted at 2014/12/07 13:16:05 | コメント(5) | トラックバック(0) | クルマ
2014年12月04日 イイね!

人は誰でも何かのジャンキー

人は誰でも何かのジャンキー   クルマでも人との出会いでも、クスリやお酒、買い物その他もろもろの楽しみ、あるいは仕事ですら人は一時夢中になり、やがてさらなる刺激を求めてやめられなくなる。それは人生を楽しむ目的や手段でもあるのだが、「依存症」と紙一重でもある。
  あなたにとってのナゲットは何かな?






   


    https://www.youtube.com/watch?v=HUngLgGRJpo



















Posted at 2014/12/04 12:41:45 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ
2014年12月02日 イイね!

栄光のトヨタ・ソアラ

栄光のトヨタ・ソアラ  1981年、トヨタ・ソアラ2800GTが新聞紙上に載った時の衝撃は今でも覚えている。当時は昨今の燃費重視エンジンが主流のように、排ガス規制の低公害エンジンが国産でも主流となり、100馬力前後のクルマがほとんどだった。私の初めてのクルマのコロナ1800GLが90馬力で、憧れのコロナ2000GTが130馬力。ディーラーの担当者に「免許を取ったばかりで2000GTは危険ですよ」と真面目に言われる時代だった。そこに2800GT 直6DOHC エンジン 170馬力で登場したソアラは夢のクルマに思えた。




  雑誌でも盛んに特集され、ついにはドイツのニュルブルクリンクやアウトバーンを走らせ、ドイツのライバルに追いついたか!?とか大胆な記事が紙面を踊った。最高速度が200km/hを超える国産車はソアラが初めてではなかったかと思う。現地を走っているソアラの写真を見た時は大いに期待を持たせるものだった。
 しかしながら、この時点でメルセデスやBMWにはまだまだ及ばないことは明らかだった。もちろん海外市場では売らずに国内のみだったが。





 そして、このクルマをなんと私の父親が購入したのである。父親はそれ以来ソアラがモデルチェンジするたびに買い替え3代目まで乗り継いだ。
 だから私は初代から3代目まで、時々借りて乗ったのだが正直言ってあまり感銘を受けなかった。前に書いた通り、自分のクルマはコロナだけどVWゴルフやBMWに触れていたので、みかけの豪華さよりもその走りの不自然さが馴染まなかった。





 特に1991年に出た3代目ソアラは、4.0Lエンジンとアクティブサスペンションを搭載し、それまでのデザインをガラッと変更し、丸みを帯びた形になり価格も700万円を超える力作だった。この年は私がBMW525iを購入した年で、このクルマは足回り、ステアリングフィール、エンジン、デザインのすべてに快感を感じる傑作車だった。その感覚で父親のこのソアラに試乗した。見た目の高級感はあったがやはり無感動、特にステアリングが重く人工的だった。あまり悪口を言うと失礼と思って、父親には「いいクルマだけどハンドルがちょっと重いかな」ぐらいに言ったが、彼は不満そうな顔をしていた。





  今見ても綺麗なデザイン。しかし何かが足りない。







  後ろなんか、今のメルセデスAMG GTに似ている。



  

 その3代目ソアラに関して、偶然古い「ベストモータリング」で取り上げられているのをYouTubeで見つけた。ここでも黒沢元治と徳大寺有恒は堂々と歯に衣着せぬ意見を述べ、それは約20年前に言っているのに今でも通じる内容を保っている。
 黒沢はアクティブサスペンションの欠点を指摘し、姿勢保持に固執しタイヤと路面の接地性を考慮していないと。



  徳大寺は、ソアラはハイテク満載で楽器で言えばシンセサイザーみたいなもの、一方古典的なGT、例えばポルシェ911などはアコースティックな楽器の味だと。いったい皆さんはどっちを選択するのか。GTカーは快適な要素は非常に重要だが、その快適が人間と機械のインターフェイスをないものにする。無感覚にする。自分はそれにあまり賛成じゃない。このことが今後のソアラの育成にとって大切になるだろうと。




  このお二人が20年前にソアラに乗って危惧したことが、今や最新のドイツ車にもそっくりあてはまる。乱暴に言うと、メルセデスも、アウディもそしてポルシェもソアラ化、トヨタ化したのである。元々芯のあるクルマを作ってきたメーカーだから、詰めの部分やデザインではまだ格差があるものの、アウディS3セダンに乗っての正直な感想を言えば「ある領域ではちゃんと走ってくれるはずの国産車」というイメージである。そしてその軽さや快適さは今は嫌ではない。あまり考えないでクルマを走らすというのは一つの選択なのである。





  ソアラは3代目になった時、レクサスブランドに飲み込まれ途中からその名前はレクサス SCと変更され消滅した。しかし、このように振り返ってみると徳大寺が予言したように、近未来のGT像のかかえる矛盾がすでにソアラによって体現されていたように思う。そしてそれはその後グローバルな影響を与えた。
 レクサスショールームでRC350を見て、懐かしさでいっぱいになったのは、クルマに夢を託した思いと、依然として不細工さを隠せない日本車のデザイン。あの頃と同じ思いが蘇った。




 錦織圭が世界一になる可能性があるように、今後トヨタが今の時代に合わせて世界一のクルマを作る可能性は充分あると思う。 あのTopGearのおふざけ3人男も、自国の自動車産業の凋落に関しては自然に涙目になって憂いてしまう。産業革命を起こし、その後数々の名車を作ってきた英国の自動車産業がなぜあんなことになってしまったのかは謎だが、ビートルズ以上の創造性があの国には失われたのだろう。
 残るはドイツ車だ。最新のCクラスと言えどもエンジンや足の評価はまだ定まっていない。燃費に拘りエンジンもフィールでは退歩しているし、アクティブサスの問題はまだ充分に解決されていないのだ。





      名前は消えたが、ソアラの栄光は今も生き続けている。






      https://www.youtube.com/watch?v=nJqBMhRbbwI








Posted at 2014/12/03 01:51:36 | コメント(5) | トラックバック(0) | クルマ
2014年12月01日 イイね!

海   ある日少年は、押入れから古いロボット犬を発見する。少年は早くに母親を病気で亡くし、それは本人が生まれる前、母親が“飼って”いたものだった。名前をラッキーといい、飼い主のメモリーを保存する機能を持っており母親のこともたくさん入っていた。会話は犬の顔に五文字だけ表示される液晶画面で行われる。そのメモリーを頼りに、自分が生まれる前の在りし日に父親と母親とロボット犬が行った海を訪ねたりと、母親の面影を感じながら生活を共にする。




 ところが、そのロボット犬はあまりに旧型のため交換用のバッテリーが入手できず、バッテリーの寿命と共に機能しなくなる運命にあった。少年はつらい二度の喪失体験の後、介護士になり父親は再婚する。物語の最後はこういう言葉で締めくくられる。




   永遠じゃない。

   家族のかたちは変わっていくことを

   僕は知っている。

   それを悲しいと・・・・・・・

   耐えがたいと思っていた頃、

   ラッキーと出会った。







  村上かつら 『ラッキー Are you LUCKY?』より




  ちょうど先日、WOWOWで放映されたアイルランド/イギリス映画『海に帰る日』も、妻に先立たれた初老期の男が少年時代のある夏の日々に過ごした海岸を訪れ、記憶を交錯させる物語だった。高倉健主演の『あなたへ』とも少しかぶるが、映像美とストーリーの大人度は向こうが上手。



 楽しかった過去の思い出が、輝いていれば輝いているほど、それを思い出すと苦痛に感じる時が人には必ず訪れる。それは時の流れが一方通行であり、二度とその時には戻れないからだ。喪失体験は人生で不可避である。(若い頃は獲得体験で忙しかったのに)



 でも、そういう思い出があったということをラッキーと思うことが、とても大切なのである。














Posted at 2014/12/01 21:32:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | 音楽/映画/テレビ
2014年11月30日 イイね!

同志、イヴォーク!

同志、イヴォーク!  中国の自動車メーカーが、イヴォークそっくりのクルマを発表した。LandWing X7という名前からして怪しい。今までもBMW X5などのコピーと思われるクルマもあったが、今回の似せ加減は凄い。しかも価格はイヴォークの3分の1の270万円である。これにはさすがにジャガー・ランドローバー社も中国当局に異議申し立ての準備をしていると報じられている。



















  どちらが本物かわかりますか?





日本でも80年代は部分的にパクリはあった。

















     「NAVI」より





Posted at 2014/11/30 14:38:30 | コメント(4) | トラックバック(0) | クルマ

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「@terry997 人のクルマにのせられる時それを少し意識します。自分の運転の時はしないけど。(^_^;)」
何シテル?   05/02 14:49
  2007年型カレラ4に乗っています。オールシーズン、日常の足として使用し、すでに10万キロを越えました。  カレラ4の乗り味は、ゆっくり走ればメルセデス、...
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