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堅雪かんこのブログ一覧

2009年09月30日 イイね!

930ターボの想い出

930ターボの想い出  学生の頃の話である。市内で唯一ポルシェを扱っている店が盛岡市郊外にあった。○○モータースという名の小さな店で、もちろんMIZWAの正規代理店なんかではない。クルマ好きの友達とよく眺めにいっていた。

 当時は作業服を着たなんか怪しいオヤジが店主をやっていた。学生だから名刺もなにもないのに、顔見知りになると、ぽんと中古の911の鍵を貸してくれて「どこでも乗ってきていいよ」とかいうおおらかさがあった。

 そんなある日、メタリック・ブラウンの930ターボが置いてあったのである。この頃の911は非常に近寄りがたいオーラを放っていた。面の張りに緊張感があり質感があった。964ボディあたりから、大きなプラモデルみたいなちょっと安っぽい雰囲気になったと思う。

 その中でもターボモデルの存在感は別格だった。聞けば隣町の競輪選手の持ち物だという。しばらく見とれていたら、オヤジが「乗ってみる?」と言うではないか。もちろん運転させてくれるわけではなく、私ら二人は狭い後部座席に身をかがめて乗り込み、オヤジがハンドルを握った。

 クルマ屋の前の500mほどの直線道路だったが、そこに930ターボをジェット機の離陸前の滑走路への進入のように進ませ、オヤジがアクセルを踏み込んだ。クルマは最初ゆっくり発進したかと思った次の瞬間、シュパ~ンと周りの景色があっという間に後方へ流れた。思わず二人同時に「わ~~~!!」と叫んでしまった。クルマに乗って驚愕して叫んだのは後にも先にもこの時だけである。


  あれから30年以上経った。そのクルマ屋はもうないが、実はその道は何の因果か今の自宅の近くにあり、通勤路となっている。
 中国映画に「初恋のきた道」というのがあるが、こうして振り返ってみると911との浅からぬ因縁を感じてしまう。

  で、今日は9月30日。それで想い出した。
 

  
Posted at 2009/09/30 22:47:48 | コメント(10) | トラックバック(0) | クルマ
2009年09月29日 イイね!

不感症 治らず

不感症 治らず  先週の土曜日、用事のついでにブルーノート東京にライブを聴きに行った。本格的なライブは久しぶりである。ここは初めて行ったのだが、地下にある会場はジャズとしてはかなり広いスペースだった。この日の演奏者はエディ・パルミエリというピアニストを中心としたラテン・ジャズのグループ。

 演奏が始まる。壁際のボックス席だったが音響はよくない。基準となるピアノの音も汚く聴こえてくる。
肝心の演奏はどれも同じような曲で退屈だった。でも会場は盛り上がっていて体育会系のノリだった。この光景をみながら私は昔もあった同じような“悪夢”を思い出していた。

 Jazzというのは、聴いていると勝手に心が反応して「イェ~イ!」とか思わず普段なら言わないような言葉が口から出てくることがある。Jazzファンは、音が心の琴線にびんびん触れてくる瞬間がたまらなくてはまっていくのである。だから心の中から感動が湧いてこなければ反応する必要はない。

 カウント・ベイシー楽団が何度か岩手に来た時、最後の方は主のベイシーが逝去して代役を立てて演奏していた。そしてかつての演奏ではなくなっていた。ところが最前列に陣取った聴衆は、演奏が終了すると全員スタンディングオベーションを行った。それは演奏でがっかりした私には奇妙な光景に映った。本当に感動するのと、感動をする振りをするのは違う。
 もうここは正直な場所ではない。そう思いこんだ私はライブに足を運ぶのをやめてしまった。


 今回のブルーノート東京での演奏も好き嫌いは別にしても、一万円も払って聴くような内容ではなかった。そしてくだらない演奏に歓喜する聴衆にも呆れた。そう思うのも自分が不感症になって久しいからだろうか?


  そんな鬱々とした気分の中、キース・ジャレットのCDを部屋で流していたら、最後のアンコールの拍手の後でキースが「Old Country」を弾き始めた。この人は曲の出だしを最も美しく演奏できるピアニストだ。
 水晶のような澄み切った音でのテーマの後、ベースソロがあり、再びキースのソロがビートに乗せて始まる。この最初のフレーズ、これにはやられてしまう。こういう時に「イェ~イ」と唸りが出るのである。もしブルーノート東京での演奏がこのようなものであったら、私は目を潤ませて会場を後にしただろう。


Posted at 2009/09/29 13:39:39 | コメント(5) | トラックバック(0) | 音楽/映画/テレビ
2009年09月28日 イイね!

クルマに乗ると落ち着く理由

クルマに乗ると落ち着く理由   駅の本屋で偶然見つけた本田宗一郎の「やりたいことをやれ」という本を買った。1ページに一話という形式に編集されてあり読みやすい。本田宗一郎は御存じのようにHONDAの創業者だ。その中に次のような話があった。


    製品には嘘がない

 製品というものは、正直なものだ。製品にメーカーの思想も、そのまま表現されている。
  製品は絶対に嘘はいわない。いい訳もしない。
  メーカーにとっては、製品の一つがそのメーカーのすべてである。それによって世の評価を受けなければならない。誇大な宣伝も、言い訳めいたものも、そのためにはなんの助けにもならない。なぜかといえば、言葉や文章には嘘があっても、製品には嘘がないからである。





  彼はそのため言葉や文章を仕事にしている人間を100%信用できないと他のところで言いきっている。彼の両手は左右の大きさが違う。道具を振り回す右手は左手より一回り大きく、左手はその道具を受ける方なので傷だらけになっている。左手の人さし指や親指はカッターで削り取られて、右より1cmも短いというから、物造りにかけた執念の凄まじさが伝わってくる。一方その右手でものを触ると1ミクロンあるいはそれ以下の誤差がわかるらしい。




  クルマに限らず、いい製品というのはそういう「誠実さ」が伝わり人の気持ちを和ませるのかも知れない。言葉は便利だがそれによって人は騙されやすい。
 会合の帰り、あるいは飲み屋の帰り(私は飲めないのでウーロン茶)、駐車場に置いてあるクルマに乗り込んだ時の安堵感はそういう理由もあったのだと今さらながら思った。


 
Posted at 2009/09/28 09:06:30 | コメント(7) | トラックバック(0) | クルマ
2009年09月25日 イイね!

ありそうでなかった997の本が出るよ!!

ありそうでなかった997の本が出るよ!!  今月の29日(火)にAUTOCAR JAPAN を出版しているネコ・パブリッシングから997だけの記事でまとめた「ポルシェ911 タイプ997」が出る。もちろんAUTOCARで掲載された997関連のものを再編集してある。997はAUTOCAR JAPAN創刊後1年にデヴューし、それ以来記事の中心を占めてきた。

 当時はまさか買えるとは思わず、記事をむさぼるように読んだ。そして憧れた。2004年のデヴューからすでに5年経過し、来年2010年には次期911がより明らかになるだろう。

 この997は長い911の歴史の中で後世からどのような評価を受けるのだろうか?
Posted at 2009/09/25 19:16:38 | コメント(7) | トラックバック(0) | クルマ
2009年09月24日 イイね!

賢治の毒に破壊された映画

賢治の毒に破壊された映画 連休最後の日にWOWOWで録画しておいた大林宣彦監督の「その日のまえに」を観た。妻が乳がんで亡くなるという“余命もの”だ。大林監督らしい夢現の不思議な世界を演出するのだが、煮詰めが足りない。邦画は「作品の精度を高める」と「制作仲間と和合する」では農耕民族の悲しい性で後者が優先されてしまう。だから身内ではよかったよかったと言いあっているが作品そのものは出来損ないが多い。そうならなかったのはあの黒澤映画など少数派の映画に限られる。

 中でもこの「その日のまえに」の一番いけないところは宮澤賢治の「永訣の朝」をかぶせたことである。死にゆく妹がみぞれ雪を兄である賢治に取ってきてと頼む有名な詩である。

   あめゆじゅ  とてちて けんじゃ

 賢治の作品は訥々とした言葉で、恐ろしい不気味な世界を垣間見せてくれる。その要は、この宇宙の中で物質が凝集しある形を成し、やがてそれが雲散霧消してまた宇宙へ還っていくという不思議。人間も例外でないという動かし難い真理だ。それを直観で感じとれるように言葉を放ってくる。常識人からすれば鳥肌レベルの異次元空間がそこにある。だから怖いのである。

 したがって、シャシーが弱いのに強力なエンジンを積んでしまったクルマのようにこの映画は軋んでしまった。大林という善人性の限界が見えた映画だった。映像もCGを露骨に使用し汚い。ライティングも意味不明だ。素材は部分的にいいものを用いているが、とにかく完成度の低い映画だった。


 実はこの日は、もう一本邦画を観た。「スウィングガールズ」という映画だったが、これもひどかった。一番よかったのは最後の彼女らの演奏とエンドロールのところで流れるナット・キング・コールの「LOVE」。


 本物のは、やはりよい。


















Posted at 2009/09/24 22:17:14 | コメント(2) | トラックバック(0) | 音楽/映画/テレビ

プロフィール

「@terry997 人のクルマにのせられる時それを少し意識します。自分の運転の時はしないけど。(^_^;)」
何シテル?   05/02 14:49
  2007年型カレラ4に乗っています。オールシーズン、日常の足として使用し、すでに10万キロを越えました。  カレラ4の乗り味は、ゆっくり走ればメルセデス、...
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2014年7月27日に退役しました。盛岡の冬もなんなく走り、非常に頼もしい家族車でした。
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