運賃値上げ JR東日本社長「安全レベル サービスレベル高める」
2026年3月10日午後3時56分
(2026年3月10日午後6時30分更新)
鉄道
JR東日本は今週土曜日、3月14日に運賃を値上げします。喜勢陽一社長は10日の会見で、「負担をかける以上、安全レベル、サービスレベルを高めていく」と述べ、値上げへの理解を求めました。
目次
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注目【詳細】運賃改定 値上げ幅は
注目運賃区分「電車特定区間」と「山手線内」を廃止
JR東日本は今週土曜日、3月14日に消費税の導入や引き上げのタイミングを除き1987年の会社発足以来、初めてとなる運賃の全面的な値上げを実施します。
値上げ幅は平均7.1%で、このうち
▽普通運賃は平均7.8%
▽通勤定期は平均12%
▽通学定期は平均4.9%、引き上げます。
10日の定例会見で喜勢社長は「会社発足以来40年間、賃金や物価の上昇などは、経営努力で吸収してきたが、現在のインフレ状況では、安全な鉄道設備、品質の高いサービスをまかなう資金が十分に確保できなくなった」と理由を説明しました。
その上で「お客様にご負担をおかけする以上、安全レベル、サービスレベルを高めていく」と述べ、値上げへの理解を求めました。
また喜勢社長は、値上げ前の定期券の購入について「運賃改定直前の3月12日、13日が買い替えのピークになるのではないかと考えている。会社としてしっかりと対応していきたい」と述べました。
JR東日本では、値上げによる増収を880億円と見込み設備の更新や修繕にあてるとしていますが、ことしに入って大規模な輸送障害が相次ぐ中、安全輸送を確保できるかが課題となります。
注目
【詳細】運賃改定 値上げ幅は
今回の運賃改定はJR東日本のすべての区間が対象で、値上げ幅は平均で7.1%となります。
【普通運賃】
7.8%の値上げとなります。
具体的に見てみると、特定の距離まで移動できる最も安い基本料金である「初乗り運賃」は、紙のきっぷは10円値上がりして、いまの150円から160円になり、ICカードの場合は、8円から9円値上げして155円となります。
そのほかの区間を見るとICカードの場合、新宿と吉祥寺では、いまの230円から23円値上がりして253円に、品川と横浜では、いまの303円から38円値上がりして341円になります。
【定期券・通勤定期】
値上げ幅は平均で12%です。
たとえば、東京と横浜の6か月の通勤定期はいまの7万350円が今後は7万9650円になります。値上げ幅は9300円、率にして13%余りとなります。
【定期券・通学定期】
平均で4.9%の値上げです。
地方や郊外の区間は家計への負担を考慮して据え置きますが、都心部などでは値上げ幅は大きくなります。
一方、特急料金やグリーン料金は改定せず、運賃のみ値上げされます。
たとえば、▼東北新幹線の東京と仙台の間はいまは乗車券6050円と特急料金5360円で1万1410円ですが、今後は乗車券が6270円になる一方特急料金5360円は変わらず1万1630円になります。
JR東日本が全面的に値上げを行うのは、消費税の導入や引き上げのタイミング以外では初めてとなります。
理由について、会社では、人口減少やリモート勤務の定着で利用者が伸び悩んでいることや、物価の上昇で設備の更新や修繕にかかる経費が増えていることなどを挙げています。
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2026年3月9日 公開
注目
運賃区分「電車特定区間」と「山手線内」を廃止
今回の運賃改定の特徴の1つが、国鉄時代から40年以上続いてきた運賃区分、「電車特定区間」と「山手線内」の廃止です。
「電車特定区間」は、都心から放射状に伸びる各路線のうち、
▽埼玉方面では京浜東北線などの大宮駅
▽千葉方面では総武線などの千葉駅
▽神奈川方面では横須賀線の久里浜駅
▽茨城方面では常磐線の取手駅
▽東京の西部方面では中央線の高尾駅までの範囲が該当します。
「電車特定区間」と「山手線内」の区分は、私鉄などとの競争が激しい東京とその周辺の特定のエリアを割安にすることを目的に、国鉄時代の1984年に設けられ、民営化後も引き継がれてきました。特に「山手線内」は価格が低く抑えられていました。
しかし、私鉄などが運賃を値上げする中、区分の意味合いが薄れていました。今回の値上げでは、この2つの区分を廃止してほかの区分と統合するため2つの区分の値上げ幅は大きくなります。
普通運賃の値上げ幅は、「電車特定区間」が10.4%、「山手線内」が16.4%と、普通運賃全体の平均7.8%と比べて大幅な上昇となります。
たとえば、東京と新宿の間は、ICカードの場合、現在の208円から今後は253円になり、金額では45円、率にすると20%を超える値上げとなります。
この2つの区間は、定期券の値上げ幅も大きく「電車特定区間」は、通勤定期が13.3%、通学定期が8%、「山手線内」は通勤定期が22.9%、通学定期が16.8%の値上げとなります。
金子国土交通相 “安全確保に生かして”
金子国土交通大臣は、10日の閣議のあとの記者会見で「運賃改定は昨今の人件費の上昇に加え、設備投資や修繕などを継続的に実施していくために行われると認識をしている」と述べました。
その上で、ことしに入って大規模な輸送障害が相次いでいることを念頭に、「公共交通機関にとって最も基本的かつ、重要な使命である輸送の安全確保に万全を期すとともに、利用者が利便性や快適性の向上を実感できるサービスの提供にしっかり取り組んでいただきたい」と述べました。
運賃値上げ前に「みどりの窓口」に多くの人
JR東日本の運賃値上げを前に、「みどりの窓口」には定期券や乗車券の購入客が相次いで訪れています。
JR東日本の運賃値上げは今月14日からですが、前日までは現在の運賃で定期券や乗車券を購入することができます。
駆け込み需要が見込まれるため、「みどりの窓口」では営業時間を1時間から5時間程度延長するなどの対応が取られています。10日も新宿駅の「みどりの窓口」には朝から多くの人が相次いで訪れ、定期券や乗車券を買い求めていました。
70代の男性
都内から新潟県に電車を使って旅行を予定していましたが、ニュースで運賃改定を知り、値上げまでに急いで乗車券を買いにきました。物価高や人件費も高くなる中、値上げは仕方がないと思います。
埼玉県に住む50代の女性
埼玉県から都内まで息子が定期で通学していますがこれからガソリンも高くなると言われる中で、運賃の値上げは家計的にしんどいです。ただ何より安全が最優先なのでそういう意味なら値上げも仕方がないかと思います。
来月から大学に進学する男子高校生
大学生になって通学や遊びで毎日、JRを使うと思うので、今回の値上げはとてもつらいです。
生活への影響懸念する声も
通学でJRを利用する大学生からは、値上げによる生活への影響を懸念する声が聞かれました。
鹿児島県から上京し、現在、日本大学3年の倉前幸平さん(21)は、現在、日野市にある県人寮に住んでいます。
親から定期的な仕送りは受けておらず、寮と日本学生支援機構の2つの奨学金を受けているほか、飲食店でのバイト代で日々の生活をやりくりしています。
外食は控えてバイト先でもらった食材を調理して食事をまかなったり、飲み物を買わないで済むよう水筒を持参したりと、節約を欠かさないといいます。
週3日から4日程度、キャンパスのある水道橋駅までJRで通学していて、ふだん購入している6か月の通学定期は、今回の値上げで3000円あまり高い5万1500円になるということです。
また就職活動が本格化し、面接や説明会に参加する機会が増えたという倉前さん。企業から交通費が支給されないことも多く、値上げで出費が増えないか懸念しています。
就職活動では、遅刻しないよう早めに到着して最寄り駅のカフェで時間を過ごすようにしていますが、交通費が高くなればカフェ代を削らざるを得ないといいます。
倉前幸平さん
友人との飲み会でも物価高の影響を感じますが、さらに今回の値上げは、学生には厳しく、困ったなというのが正直なところです。生活にかなりの影響があるので親に借りたうえで、定期が値上がりする前に買いに行こうと思います。