<さらに対策するポイント>
サーキット走行素人の私にはこのレベルから、何をどのようにチューニングアップしていくべきか、判断できませんでした。
思い切って、足回りを乗りやすくしてほしいとトレーシースポーツに頼んでお任せしました。
もちろん、低予算の範囲で。
スーパー耐久レースでNSX車両を製作し続けてきた
日本一のレーシングチームのノウハウがあります。
1.20年たったサスペンションアームブッシュは可能なかぎり新品にリフレッシュ。
高い相場で売られている走行距離の少ないノーマル車両など実は意味ないと思います。
ゴムの劣化はひどくカチカチ、路面とボディをつなぐ重要なサスペンションは新車とはちがいます(NSX比)。
※とは言え、一般の新車国産スポーツカーよりも遥かにしっかりしています。
本当のNSXのハンドリングを再現するならリフレッシュすべきです。
ただし、パーツも高いですが、工賃はもっと高いです(笑。
2.エンジンマウントも強化品でリフレッシュ。
ゴムは少し硬めタイプR用のブッシュを使います。隙間に生ゴムをつめて釜で熱処理をして強化ブッシュを製作します。これで、適度な振動抑制と大きな揺れに対する安定性が確保できます。
※もちろん、街乗りの振動防止も大丈夫。
巨大なV6エンジンを積んだミッドシップは、サスペンションの熟成により高い限界横Gと縦Gで振り回されます。
ボディーと一体感が維持することはハンドリングにはとても大きな影響があります。
※バイクで言えば二人乗りで走るより、一人のほうが運転しやすいのと同じ。
FRなら後部座席に4人分ぐらいの重量物であるエンジンとミッションを、あのマウントだけで固定しているのですから。
(少なくとも、ノーマルエンジンマウントがちぎれていないかは要チェックです。多分、ちぎれているでしょう)
3.フロントのコンプライアンスピボット(ブッシュで稼働)のゴムも、タイプR仕様に新品交換。
フレームとサスペンションとハブをつないでいる部分?タイプR用を使いました。
ブッシュだけでは交換できないので高く付きます。
※スーパー耐久レース車だと溶接で固めるそうです。
4.リアのトーコントロールアームを特別製作のピロ仕様に交換。
ミッドシップのリヤの限界性能はブッシュの劣化で、リヤがオーバーステアから回りこむ現象になります。重いリヤはとにかくしっかり固めないと、挙動が安定しません。
俊敏なハンドリングにリヤがブレイクしコントロールを失いやすいのは、ゴムブッシュのグニャグニャが原因です。これである程度改善します。
※サスペンションなアーム類のブッシュは、全部ピロ化が理想かもしれませんが、技術的な問題とコストの問題もあり、一つだけなら、ここだと思います。
ここまでは、改造パーツに交換して組み上げただけの話です。
通常のレース経験のない普通のチューニングショップでできるのはここまでです。
<最後は、サーキット走行で違いがわかる熟練のセッティング>
ここから先が、本当の足回りの熟成につながる部分です。
※ドライバーが素人なので、メカニックへのフィードバックに限界はあります。
したがって、NSXという車両特性を熟知しつつ、実戦でのプロドライバーとのやりとりの試行錯誤がメカニックに蓄積されているかどうかが、最大のキモになります。
1.ボディ剛性に関してはノーマルで問題なし。
ロールケージのたぐいも、まったく必要ありません。サーキットを何年走っても、スリックタイヤなどを使わないレベルではまったく剛性劣化もししないそうです。
とにかく、NSXの総アルミボディは別次元のボディ剛性が体感できます。ニュルブルクリンクでのボディ剛性の開発エピソードは有名ですね。
※錆びなくて軽量というだけではないのです。
2.サスペンションのアライメント調整
ここが最も重要でした。
これはやってみないとわからないと思います。
総アルミの超剛性ボディが、足回り熟成をする際に大きな価値を産みます。
つまり、きっちりとアライメントを調整すれば、見違えるようなハンドリングをつくることができるということです。(※昔の86だとスプリングレートを高くしてもボディがしなる)
①タイヤグリップの最大化するためにスプリングを固めに。DIREZZA
②リヤトーコントロールアームのブッシュのピロ化。トレーシースポーツ特製。
③フロントのトーイン調整(角度調整)
④フロントのキャンバー調整(角度調整、たしかノーマル可動域を拡張)
⑤リヤのトーイン調整
⑥高調整による前後の高さバランスの調整
タイヤ荷重も、それぞれ独立して計測して、何かの計算値でだしているような特別なノウハウがあるようです。
これらのチューニング(調整)のインプレッションは次回に。
サスペンションのアライメント調整をする前の状態のベストがこれです。
その1の時よりはだいぶマシですが...。
おそらく、普通のNSXはここまでなのではないかと思います。
(もちろん、うまい人がちゃんと運転すればもっとタイムはでているとおもいます)
その3に続く