
反響に関係なく、書きましたwww
いよいよ、ディーゼルの排気ガスです!
今回は淡々と進めますw
さっそく、ディーゼルの触媒を説明しましょう。
ディーゼルの触媒は、ガソリン車と少し違います。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは燃焼方法が
違うので、触媒の方式も違うのです。
EURO4レベル
ディーゼルの排気ガスはPM2.5で有名な煤(すす)とNOxが問題になりますが、
技術的ハードルが高く、石原都知事のペットボトルに入れた煤のパフォーマンス以前は、
基本的に垂れ流しっぱなしとなっていました。それがEURO4レベルと考えて下さい。
ではもう一度、このグラフを見てみましょう♪
EURO4からEURO5へ
物流は経済の血液と言いますが、トラック物流は非常に重要です。
その甘えがあり見逃されてきたのかもしれませんが、環境負荷の低減からは逃げられず、
ディーゼルの排気ガスも厳しい数値へとハードルが上げられることになりました。
煤に対してはDPFという単純なフィルターで集塵する方法、そのDPFの機能促進で
酸化触媒を併用したりしましたが、後処理としては根本的には煤への対応のみでした。
グラフの中の縦軸のDPF装着という部分に該当します。
そして、パワーを下げる代わりにエンジンから排出されるそもそものNOxを減らす
EGRという排気ガスを再燃焼させる機構を搭載したりして、EURO5に対応しました。
グラフの中の燃焼改善に該当する部分かと思います。
EURO5からEURO6&ポスト新長期へ
そんなディーゼルも、ガソリンエンジン並みの規制へとハードルがさらに上がります。
2つ前のブログで言うとガソリン車の平成12年規制と同等の規制ですね。覚えてますか?w
それがEURO6であり、ポスト新長期という規制です。規制値的には、ほぼ同じですね。
これまでの規制との違いはズバリ、NOxへの対応でしょう。
ここからがVWの事件に関わってくる重要なポイントですので、蛍光ペンでチェックを!w
グラフの中のNOx吸収触媒という部分が、これに該当します。
NOxを削減する為に、NOxトラップ触媒、尿素SCRという仕組みが開発されました。
EURO6に対応するためには、そのどちらかor両方が積まれているのです。
仕組み
NOxトラップ触媒:トラップはガソリンの三元触媒と同じで貴金属の還元反応です
尿素SCR:尿素水を酸化触媒、NOxトラップ触媒へ噴射する事で、還元反応を起こす
メリット/デメリット
NOxトラップ触媒:省スペースだが、貴金属であるプラチナを使うのでコスト増+燃費悪化
尿素SCR:尿素水のタンクと噴射する装置が必要で尿素水の定期的な補充も必要でコスト増
トラックで言うと尿素SCRというのは、これぐらいレイアウトにインパクトがあります・・・
以上が、現在のディーゼルの排ガス処理の説明になりますが、理解できたでしょうか?
ここまで読んできてもらうと分かると思いますが、排気ガスの後処理というのは、
触媒は貴金属を使っているし、尿素も部品点数が増えるし、とにかくコスト増要因なのです。
そして長期間、触媒タイプの性能維持する為には、劣化して性能が落ちる事を見越して、
貴金属を増量して使う必要が有るのです。そもそも排気ガスと接触面積が広ければ、広いほど
触媒の効果は高まるので、性能を上げる為には貴金属を多く使いたいですが、
コストを考えると、なるべく使う量を減らしたいわけです。
更に触媒タイプは適正作動温度、効率MAXの為の条件があります。
その使用条件を限定すると、貴金属の使用量を減らせる可能性があるかもしれません。
最後に、環境性能と走行性能は相反する事が多いので、環境性能に性能を割り振ると、
走りがゴキゲンじゃなくなり眠い車になり、商品の魅力減の要因になります。
というのが、私が今回のVWゲートの報道を知るうえで知っておきたい基礎知識だと思います♪
さあ、ここまで読んできたあなたは、もう排気ガスマニアに認定されました!
では、VWとAUDIが何をやったのか、報道をベースに振り返りましょう。

まず事実から・・・
排ガス試験時のみ、排ガス浄化装置が最大効果を発揮するプログラムを内蔵している。
しかし通常走行時は別のプログラムで走行して排ガスが規制値から大幅増加している。
ここでまず印象操作があります。
マスコミでは排ガステスト専用プログラム内蔵と報道していますが、どこを軸足とするか?
という問題はあるものの、報道と事実は逆だと思います。
規制に対応した車というのは常時、排ガス浄化装置が最大に働く状態で通常使用されます。
むしろ通常使用時に排ガス浄化装置をキャンセルするプログラムが内蔵されているのかと。
排ガス浄化装置を停止するプログラムだと印象が悪すぎるから、という事でしょうか。
ですが、やった事は本当に悪意のある、最悪な手段だと思います。
という事で、状況分析をしてみましょう。
Q1.では、排ガス浄化装置をキャンセルすると何が起きるか?
まあ、ここまで、このブログを読んできた皆さんは、もうお分かりだと思いますが・・・w
A.1
①EGRのキャンセル→NOxが増える代わりにパワー向上
②NOxトラップのキャンセル→コンディションを整える燃料の無駄吹きが減り燃費向上
Q.2 試験内容を先読みすると何が起きるか?
A.2
③NOxトラップの作動条件を試験内容を先読みする
↓
触媒のサイズが小さくても規制クリア=プラチナ使用量の削減
↓
本来は尿素SCRが必用なのに尿素無しで規制をクリアした可能性
この①②③が考えられるのではないかと思います。
これをやってしまうと他社より安く、燃費が良くパワーがある車を作って売れてしまうのです。
という事は、まじめに規制対応していた他社に対して不当に競争力を得ていた事になります。
そしてクリーンディーゼルは各国で補助金なり減税を受けており、結果脱税に繋がる可能性も。
アメリカは脱税に厳しいですよね・・・。
では今後の事を考えましょう。(この辺からは、想像も含んでます。)
VWとAUDIは、その規制対応していないを既販車を規制対応させる責任があります。
しかし、上に書いたように尿素を積まずトラップ触媒だけの車もあるっぽいですね。
北米のTier2Bin5のNOx値は厳しいです。他社と見比べた場合、触媒+尿素必須っぽいです。
トラップ触媒しか積んでない小型車はレイアウト的にも後改造は絶望的ではないかと・・・。
この辺りもプログラムの書き換えで対応と報じてるマスコミは事件を理解していないです。
尿素を積んでる車にしても、そもそも規制をクリアできているなら、インチキしてないハズで
排ガス浄化を最大に動かし続けると機器の故障なり不具合に繋がる可能性があるのでは?
もしくは尿素水の補充頻度が、年単位サイクルが実現できないとか。
そもそもユーザーも、他の車に比べてパワフルなのに燃費が良いというポイントを重視して
VWとAUDIを選んだとしたら、簡単には改修に素直に応じないでしょうしね。
というわけで、今後の販売以前に、改修にもかなりの前途多難が予想されます。
こんな感じかな!
ここまで読んでくれた皆さんの、本件ニュースの理解度が上がれば、私も嬉しいです♪