このところ「F355と360Modenaのどちらを選ぶべきでしょうか?」とのご相談を頂くことが何回かありましたので、僭越ながら私見をお話させて頂きます(^^)
まず6MT仕様を前提とするならば、ミッションそのものは360Modenaの方がいいです。シンクロもより強化され、ストロークも短く、シフトフィーリングも勝ります。ただボクのクルマでは感じませんでしたが、FSWの300Rのような高速コーナーでGが掛かった状態でシフトアップしにくい個体もあるようです。ですからもしもサーキット走行されるのであれば'99~'00モデルの6MTは避けられた方が良いかもしれません。F355ではそのようなトラブルは例えばミッションマウントがへたっているとか、シフトリンケージの調整が上手く出来ていないといったことがなければまず無いです。
F1仕様はシフトダウンでプリッピングし回転を合わせてくれる360Modenaの方が優れ格段に進化していますが、355F1は自分でヒール&トーをする楽しみも残されていますのでこれはこれでありかなとは思います。
エンジンパワーはシャーシダイナモでの計測でF355 Motronic2.7が約340馬力前後、Motronic5.2.が約320前後、360Modenaは370馬力。さらにマフラー交換(共に伊藤レーシングの場合)すると、F355がほとんど変わらないのに対し、360Modenaは400馬力がしっかりと出ていました。但し、純正と同等以上の熱対策しておかないと熱ダレによるパワーダウンが顕著でした。
360Modenaはパワーのみならずフライバイワイヤー採用によりアクセルレスポンスもより鋭くなりました。ただ初期型は踏み込んだ時に一瞬息つくような症状(セッティングが合っていないキャブ車であるような)が見受けられ、ちょうどコーナーの立ち上がりで踏み込んだ瞬間にあれ??ということがありました。対するF355はレスポンスが自然で繊細なアクセルコントロールがやりやすいです。
ボディ&シャーシー剛性に関しても圧倒的に360Modenaです。捩じれ剛性云々の数値を聞かなくても乗ればすぐにわかります。しかしながら新車時はPorsche 996と同等レベルだったものの、経年劣化はやや早いように感じました。
ハンドリングはノーマルでの比較では360Modenaの方が確かにピーキーです。ドリフトコントロール性を例えばF355の許容範囲を10とするならばイメージ的に7くらいです。ですから公道で乗る場合は余程腕に自信がある方以外はASRを切るのはおススメしません。かねてよりリアサスペンションアームの長さに関し指摘があるところですが、ボクが乗っていた頃と違い、今は良いエアロもありますし、タイヤの選択肢も増え、サスペンションセッティングのノウハウも蓄積されていますので、キッチリとセットアップされたクルマであれば印象が異なると思います。
油温に関していえばF355はノーマルのままでサーキット走行すると油温上昇が激しいのですが(ツインオイルクーラー+ミッションオイルクーラー装備の'98 Challengeは大丈夫ですが)、360Modenaはノーマルのままでも大丈夫です。もちろん炎天下を連続周回すれば上昇しますので、あくまでもサーキットシーズンに限っての話です。
ブレーキも360Modenaの方が耐フェード性能で優れます。パッド交換のみでもサーキットをそこそこ走れますが、フロントローターを330㎜から355㎜へとサイズアップすればより安心です。但しキャリパーがノーマルのままだとパッドの厚みがないので磨耗状態を常にチェックが必要です。一方、ノーマルのF355でサーキット走行するとブレーキが弱点ですからキャリパー&ローター交換による対策を講じなければなりません。公道のみであってもパッド交換した方がより安心ではあります。
街中での使い勝手に関しては、360Modenaの方がフロントオーバーハングが短いこともあり段差に対しF355ほど気を遣う必要はありません。もちろん普通のクルマよりは注意しなければなりませんが。
室内空間についてですが、身長180cm以上の方には360Modenaの方がヘッドクリアランスに余裕があり楽です。但し右斜め後方に死角が出来てしまい、高速の合流等で気を遣います。その点ではF355の方が見やすいです。
360Modenaの長所をもう一つ挙げますと、やはり雨天でもF355より躊躇することなく乗れることでしょうか。F355と異なりエンジンルーム内のセンサー等が雨による影響を受けにくいので安心感があります。それにいざという時にASRの存在も大きいです。一度豪雨の東名で名古屋から東京まで戻ってきたことがありますが、それほど緊張することはなかったです。但し過信は禁物ですが。
最後に、F355に社外マフラーを装着した時と同じような甲高いサウンドが360Modenaでも可能なのかについてです。当初は同じようなサウンドを追及していくと音が割れてしまい、割れるか割れないかのギリギリのところで甲高い音色を奏でることができましたが、F355と全く同じかといえばそうではありませんでした。その後、各メーカーで改良されていますので今はおそらく近いところまできているかもしれませんが、あいにく最近の音色を聞いていないのでハッキリしたことが言えずごめんなさい。。。
まとめますと、サーキット走行されるのであれば360Modenaをオススメします。challengeではなくてもノーマルのF355をベースにしっかりとしたモディファイを講じればもちろん楽しむことは出来ますが、それにはコストと情熱を要します。
公道でも実用性の点では360Modenaの方が優れています。
ではF355の魅力は何かといえば、スーパーカー世代にはたまらない最後のリトラクタブルヘッドライト、トンネルバックのスタイリングのみならず、唯一無二のエキゾーストノート、人間の感覚に自然な操縦性などが挙げられるかと思います。
あっそうそうメンテナンスコストに関しては個体それぞれのコンディションによるので一概には言えないのですが、どちらも完調の状態で維持しようとするならばそれなりの覚悟が必要です。360Modenaの最終モデルさえ10年経過しているわけですから、もしもメンテナンスを心配されるのであれば、より新しいモデルであるF430や458Italiaを選ばれた方がリスクは少なくなります。
余談ですが、ボクのようにF355が好きで好きでたまらない人もいれば、ボクの親友のように456GT→550Maranello→360Modena 6MT→360Spider 6MT→F355 6MT→F430F1と乗り継き、そして458Italiaを試乗したら、アガリのクルマとしてもう一度乗りたいのは360Modena 6MT という人もいます。
是非ご自身の心に響く一台を選ばれてみてください(^^)
・・・というわけでこちらの曲↓を聴いちゃいましょうか!
VIDEO
Posted at 2014/07/31 02:15:14 | |
F355challenge | 日記