
5ターボの最後の記録としてパワーチェックをしてきました。実は4年前にも一度同じショップさんで測定しており今回が2度目。
その間、エンジンOHを何度か(笑)しており特に最後のOHの際は、かなり大掛かりに手をいれて最近は好調を維持しているのでどんなものかと。
もっとも最高出力が上がるようなチューンほとんどしていないのでそちらのアップは期待できないのですが、ターボのOH&ハイフロー加工や燃焼室加工など行っているので下でのトルクアップが期待されます。実際、乗っていても下のトルクが上がっているのを明確に体感できたので。(最近はもう慣れてしまいましたが)
で、結果は以下の通り。 ( )内は2014年4月の結果
最高出力:164.4 PS (165.2 PS)
21.75 kg/m (22.2 kg/m)
残念ながら伸び悩みでした。
前回との差は気温の違いも一因とは思いますが、やはり2週間ショップに置きっぱなしの状態からいきなりの測定だったのが大きかったかな?
えっ!なぜ2週間置きっぱなしだったかって?
それはまた後程。
5ターボのカタログ出力は、160PS。1.4Lでこの出力ですから当時としてはかなりのハイチューンエンジンです。
このエンジンをさらにチューンするにはどうするか?
当時ルノースポールにはエンジンチューンのカタログメニューが有りました。
185ps仕様
・強化インタークーラー
・ウエイストゲートアクチェーターブラケット変更(ブーストアップ)
200ps仕様
185ps仕様に加え
・カムシャフト
・専用デスビ
・エキゾーストマニホールド
・スチールシリダーライナー
そしてその上には250ps仕様がありましたが、流石にここまで来ると、ヘッド、タービン、そして燃料系(大容量Kジェットロ)と専用パーツのオンパレードでロードユースの範疇では無く、本格的にラリー競技に参加する人向けのチューニングとなります。
初期のワークスラリーカーなどはこの位のスペックでした。
さらにその上には300ps仕様、350ps仕様(Maxi)などなど有りますが、この辺はもう完全なレーシングエンジンですね。
Maxiの350ps仕様では、フューエルインジェクションなどなどF1エンジンのノウハウを用いたとも称されていましたがかなりスペシャルなターボエンジンだったのだと思います。
ここ日本国内の5ターボのチューニングとしてはやはりこのルノースポールのメニューに沿ったチューニングが最もポピュラーです。ただし、基本的にロードユースのクルマばかりで競技で使う人など国内には誰もいなかった訳で、185ps、200psまでのクルマがほとんどでそれ以上といのうは中々なかったです。
そんな中、1989年6月号のカーマガジン誌で紹介されたのが、フランスでチューンされた状態で日本に持ち込まれた250ps仕様の黒い5ターボ2でした。このクルマは先ほどのルノースポールスペックとは全く別でピエリーフェリーと言うフランスのエンジンチューナーが仕立てたクルマです。大型のターボ(T04)に特大インタークーラーそして排気量こそそのままながらエンジン内部にも大幅に手の入ったエンジンスペックで、オーナーの「テスタロッサを後ろから安心して煽れる」と言う言葉によだれを垂らすばかりの当時の僕でした。
その他では国内のチューナーが独自にチューンしたクルマも当時はちらほらと居ましたが本当に速く走っていたクルマは殆どなかったのではないでしょうか。やはり燃料系が難しかったのではないですかね。当時はフルコンピューターなんて無かったし、Kジェットロに(当時の極めて粗い制御の)追加インジェクターくらいしかなかったと思われ。
(
以前のブログで紹介したこちらのクルマもその1台)
という訳で僕の5ターボも定番の200ps仕様に準拠したクルマとなっています。
カムはルノースポール純正。そしてデスビも専用品であることが自慢です。(笑)
あとスチールライナーも入っているので200ps仕様フルスペックです。
デスビやスチールライナーまではやっていないクルマが多い様ですね。見た目では分からない部品ですから。
なぜ200psスペックなのに164psしか出ていないんだ?と思われる方も居ると思いますが当時のカタログスペックなんてそんなものですから。(笑)
あとダイナパックの計測値が結構渋いというのもあると思います。
以前、カタログスペック200psのトヨタ86を測ると185psくらいだと聞きました。
現在、5ターボを敢えてチューンしようとする人は国内ではもうほとんどいないですね。オリジナルの状態を保った綺麗な車が最も珍重される傾向も有るかもしれません。ルノースポールパーツは別として。
しかし、現代のチューニング技術を導入すればサンクターボのエンジンももっとポテンシャルアップ出来そうだし、そしてなにより維持し易くなるのではないでしょうか? Kジェトロは優れた機構とは思いますが、現代に於いてはパーツは高価でまた燃料の増量には限界が有ります。フルコン制御に移行できればその呪縛から逃れられると思います。誰かが人柱となって仕様が確立された暁にはですが。
(いつものオーナー仲間の中に果敢にもその人柱になろうとしている方が1名います。応援してますヨ!!)
ちなみにあちら(ヨーロッパ)の5ターボ乗りの方々はフルコン化には余り興味がないようです。なにせ当時のワークスカースペックのエンジンを平気で作っていますから。やはり本場には叶いません。財力的な差もかなり大きいですが。(笑)
かなり脱線しましたが、話をもとに戻して、なぜ5ターボを2週間もショップに放置する事態になったかというお話に。
実はパワーチェックの為クルマを持ち込み、ダイナパックの取りつけを行ってもらっている際、なんとリヤショックのリンク部の割れが発見されたのです。
ご覧の通り、ブッシュのインサート部がパックリ割れています。
こちらはOHの際に切り離した実際の部品。破断部がよく分かると思います。
いくらサーキットを走っているとはいえ普通は壊れない部分。
ただショックのケース部の角に見られた小さなヘコミやナックル側のリンク部に塗装の剥がれがあるところからどうもサスがかなりストロークした状態で干渉が発生していた模様。(普段の状態で見る限り干渉するとは思えない位置関係なのですが)
長年の使用の間の何度かの干渉の蓄積で今回の破断に至ったと推定されます。
(あるいは、最後に走った茂原の段差乗り越えでとどめをさしたのか?)
この場所は意識して覗き込まないと気が付かない部分なので今回見つけてもらって本当に助かりました。(この状態で次のオーナーに渡していたらと思うと・・・)
さらには流石はクルマ屋さん。エナペタルとも取引が有るということで早速TELで問い合わせしてもらいました。やはり場所が場所だけにこの状態で溶接するのはNG。(なにせ中にはオイルとガスが)ショックを丸ごとエナペタルに送って全バラシして直すしかないとの見解。ごもっともな話です。
お陰様で直ぐにOHの着手可能とのことだったのでこの日はそのままクルマを預けて電車で帰ることになりました。(いつものでき事)
干渉対策でケースの位置を上げるようにリンク部を新製。これに併せてて車高が変わらぬようスプリングシートの溝も追加工したうえでショックをOH。(6年前に1度OH&スペック変更してもらっているので仕様は向こうにもDATAがあるので安心です。ちなみにショックそのものは抜けていた訳でもなくまだ全然いけたのですが・・・)往復の輸送日数を考えるとここまでを1weekくらいでやっていただいたのではないでしょうか?
やはり国内のメーカーさんの対応は素晴らしいですね。
また今回パワーチェックをお願いしたショップさんもとても対応が良く大変助かりました。今回のブログの写真もショップさん撮影のものをCD-Rでいただいたものです。(パワーチェックの際は、立ち会っていなかったので)
ちなみに
ショップさんのブログにも僕のクルマの記事が。
クルマを手放す時に、まるでそれに抵抗するかのようにクルマが壊れるとはよく聞く話ですが本当ですね。(笑)
これで最後にしてネ・・・・。
先週の日曜日に開催される予定だった「1986年までのWRCホモロゲーションモデル」のモーニングクルーズは残念ながら雨の為中止となりましたが、実はこんな顛末だったので晴れても参加できなかったのです。
またいつかリベンジ開催されると思いますが、その頃はもう5ターボは手元に無いかな・・・。