
356のシートについては、このクルマ購入当初からモディファイの対象としてタイヤ交換の次に手を付けた部分でした。最初に交換したものはみん友のgrungeさんから譲っていただいたイタリア製のローバックシート。
しかしこれは飽くまでも暫定のものであり、いずれもっとレーシーなものへと交換したいと考えていました。
その後1年半の妄想期間を経て、今年の5月、ふと構想が閃きいよいよカフェレーサー仕様シートの製作を具体的にスタートさせました。
かなりの時間を掛けたリサーチと検討、物の手配そして製作を経て、この度ようやく完成まで漕ぎつけたので今回は、カフェレーサー仕様シート製作記を長文で!!記したいと思います。
ふと閃いた構想とは・・・・
ズバリ50年代メルセデスレーサーのシート!!
そしてこれを引き継ぐメルセデス300SLのシートです!!
なんでポルシェでなくメルセデスなんだ!?
というところではありますが、単に自分がメルセデスのこのチェック柄のシートが大好きだからです。(笑)
一応50年代ドイツ車繋がりではあります。(僕の356は正しくはカナダ車ですが)
本当は当時の356のレーシングシートと言えばこのスピードスターシートが定番(と言うかほぼ一択?)なんですけどちょっと遊びたくなってしまったのです。
ちなみにこのスピードスターシートのアルミフレームを剥き出し状態で簡素なクッションだけ着けて使うというのもクールなのですが夏場はクールどころか火傷しそうなので止めました(笑)
チェック柄のシートと言うと70年代がその流行りの全盛。
ポルシェ911や914。そしてロータスエスプリにも有りましたね。VWなんかは70年代にはじまり、そして現代においてもチェック柄のシートが有ります。
しかし遡って50年代当時、チェック柄のシートがポピュラーだったかというと実はそうでもなく、恐らく使っていたのはメルセデスくらい?・・・なのでこの時代チェック柄のシートと言えばレーシングメルセデスのアイデンティティー!!・・・であったはず。
そしてこのレーシングメルセデスのアイデンティティーを踏襲したのが1955年に登場した当時世界最高のスポーツカー300SLでした。
過去から現在に至るまで日本国内に上陸した300SLのほとんどは本革シートを装着していたと思いますが当時これはオプションであり標準ではレーシングメルセデス由来のチェック柄シートだったのです。
以前のブログにアップしたドイツで出会った300SL達。やはり本国でも本革シートのクルマが多かったのですが1台だけ居たグリーンのチェック柄シートのクルマが印象的でした。
この時のショートムービーは会心のshotだったので以下の前説共々再掲載しますので是非見て下さい!!(笑)
元々はレーシングカーとして設計されたこのクルマはマルチチューブラースペースフレームを量産車でもそのまま引き継いでいます。その為サイドシルの位置が極めて高く、それ故独特なガルウイングドアが採用されることとなりました。
しかし、今も昔もこの手のクルマのオーナーの大部分は助手席に女性を乗せて街中を颯爽と流すもの。その場合、この高いサイドシルは大きな問題となってしまいます。
ということでお待たせしました!?その問題シーンを捉えた貴重な??動画をご覧ください!!
続いてメルセデスミュージアムで出会ったハイスピードトランスポーター。レーシングカー搬送用としてメルセデス自身がワンオフ製作したものでなんとエンジンは300SLのものを搭載。(なお本物は1967年にスクラップにされており、展示車は後年メルセデスが再製作したレプリカです)
近くにいた他の見学者さんにお願いしてパシャリ。
で、このクルマの内装も300SLと同じチェック柄なのです。
このチェック柄に魅力を感じる人は他にもいるようでネットでのリサーチ中にこんなクルマも発見。パガーニの特注モデルです。
パガーニのエンジンはメルセデス製だったと思うので無関係ではないですね。
という訳で、前振りが非常に長くなりましたがずばりこ雰囲気のシートが欲しい!!が妄想の出発点となりました。
リサーチを進めるとなんと数年前にメルセデス自身(メルセデスクラシック)がこのシート生地を再生産していることが判明!!近年その相場が益々高くなっている300SLのレストアニーズに答えてのものでしょう。旧車のレストアに際し、本革の張替えであればプロに任せれば如何様にでもなると思うのですが、クロス生地の張替えとなるとそもそも生地が無いとどうにもなりませんから。
シート生地の部品番号(とお高めの値段も)判ったので早速オーダーしようと近所のメルセデスディーラーにセレナで乗り付けました。
しかし調べてもらった結果、この番号はメルセデスジャパンでは取り寄せ不可との回答。
う~ん残念。何故?
諦めず、国内のメルセデス部品卸し業者にも問い合わせてみましたがこちらも欠品?で取り寄せ不可との回答でした。
メルセデスクラシックのサイトでは“available”“オーダーは最寄りのメルセデスディーラーまで”となっているのですが・・・
この際なので“メルセデス純正300SL用”のネームバリューが欲しいところでしたが止む無く断念。
仕方なく引き続きリサーチ。
広く一般の生地屋さんの商品ラインナップも調べてみました。
まず国内にはこんな古臭いデザイン(笑)の生地はほぼ流通していないことがすぐに判明。そこで海外の生地屋さんを当たります。実際に本場スコットランドのタータンチェック生地屋さんから雰囲気が合いそうな生地のサンプル取り寄せてみたり・・・
数ある生地の中には似た感じのものも無くはないのですがやはり300SLのあの柄そのものへのこだわりが強くなってしまい、中々ピンと来きませんでした。
で、最終的には英国の自動車シート生地屋さんのサイトでこの生地を発見。まさに300SLシート用として販売されていたものです。何度かメールでやり取りしてオーダーに漕ぎつけました。ただしお値段は結構高かったです。(国外タータンチェック専門店の生地の約3倍!!メルセデスクラシックのものよりは多少安かったですが)
そして肝心のシート本体の方は、既に数か月前のブログで取り付け状態をちょこっと紹介済のこちら。生地の到着に合わせ、助手席用も追加購入しました。
本当はタイトでホールド性の良いものが好みなのですが、こちらは小ぶりでは有るものの腰回りのホールド性はややルーズ。(無論、完全ロードユースのこれまでのシートよりはかなりタイトですが)
でもシートの張替えを考えた場合、デザイン的にはこのシートが一番イメージにマッチすると判断しました。機能よりもカッコ重視です(笑)
ここまで決まればあと残るは生地の張替え作業をどうするか?
コスト削減の為、自分でチャレンジするか(ミシンを使える嫁さんの手助けをあてにして)とも考えましたが、いつも目に付くところだし、また折角良い生地をオーダーしたのでここはプロに任せることにしました。
業者さんのあては特に無かったのでこちらもネットでリサーチ。Youtubeで見つけた腕もセンスも(これが重要)良さそうな某個人業者さんにお願いすることにしました。
製作に当たっては実際にシートと生地を東京の外れの方にある工房まで持ち込んで打ち合わせ。認識違いが無いようにちゃんと製作仕様書まで作って伺いました。この辺は職業柄でしょうか(笑)
なんとお乗りのクルマは空冷ビートルなのです。(2Lチューニングエンジン搭載)
ビートルに装着されているこのシートはここのオリジナル。シート生地は何でもお好みの仕様で作ってくれると思います。
そして待つことおよそ1か月。
ついに完成し本日自宅に到着しました!!
当初の構想通りバッチリの仕上がり!!(感涙)
早速クルマに取り付け。
(シートレール&ステーは以前のものをそのまま流用できます。前回一度取り付け済みなので作業はスムーズに完了)
う~んバッチグー!!!
このクルマだけのオリジナリティという意味ではこれが最初の一品となります。
オープンカーにクロス生地なので雨に濡れたりすると大変そう・・・
メンテの時、油汚れとか付きやすそう・・・
など要注意点はありますがまあそれは仕方ない。
(後者については、メンテ時用のシートカバーを既に購入済です)
製作をお願いした工房のYoutubeサイトにも早速このシートの製作紹介がアップされているので是非ご覧ください。
これで“カフェレーサー“に向けまた1歩前進です!!
歩みの速度はかなり遅いですが・・・・
自分のカフェレーサー
妄想構想の中では、やはりエンジンチューンが大きな壁として立ちはだかっています。カフェレーサーとしてのFun to Driveの為には欠かせないポイントでありながら、費用的には圧倒的に高額で簡単に踏み出せません。
エンジンやらないなら中途半端に弄らず今のノーマルの佇まいのままで楽しむのが正解だと思うし、そうなると先に他のところから弄ろうと言うのもためらわれるので歩みが遅くなってしまっている次第。
でも、もしエンジン弄ってしまったらあとはカフェレーサーへの階段を“転がり落ちる”のみだと思っています。(心情的に“駆け上がる”という表現より“転がり落ちる”という表現の方がマッチする気がします(笑))
まあ新車からのこの30年以上OH無しで来ているエンジンなので、万が一“エンジン壊れた!!”などと言うことにでもなれば資金的にきつくとも止む無く?エンジン弄ることになっちゃうんでしょうけどね。
いかんいかんこれは極めて危険な思考回路だ・・・・
取り敢えず暫くはひと仕事?終えた満足感にひたろう!!(笑)