
1/11(水)。
会社帰りに
「日比谷図書館・小ホール」にて
『有楽町一丁目遺跡発掘部材から見る
江戸初期・大名屋敷の華やかさ』
というセミナーに参加。
かつて
大名小路にあった、松平藤井家の屋敷から発見された
金箔の部材から、屋敷の華やかさを解き明かします。
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日時:1月11日(水) 午後7時~午後8時30分
講師:波多野純氏(日本工業大学教授)
場所:日比谷図書文化館 大ホール(地下)
定員:180名
資料代:500円
締切:12月27日(火)[消印有効]
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(大手門の前に「下馬」と書かれた高札が見えますが、
登城のお供をした者たちが、主が戻るまで
周りの人たちと噂話や評判を言い合ったことから
『下馬評』という言葉ができました。)
【 目 次 】
1. 出土装飾部材の特徴と復原
2. 発掘地点:有楽町一丁目遺跡
松平(藤井)家藩邸の特質
3. 江戸図屏風に見る寛永の大名屋敷の華やかさ
4. 増上寺徳川家霊廟の建築と装飾部材
5. 日光東照宮から関東の寺社へ
―華やかな彫刻の伝播―
<余談> 左甚五郎は実在したか
話の始めは、
遺跡から発掘された
「八双装飾部材」から。
(ちなみに
近世考古学は、ここ30~35年くらいの歴史で、
昔は、古代の遺跡を発掘する際、
近世の遺跡なんかが出てきちゃうと
「なんだよ、邪魔なの出てきちゃって…」と
低く見られていたそうです。)
木製の「八双装飾部材」は少ないらしく、
なんと、「下水道の覆い(ふた)」になっていたことで、
幸いにも後世に残されることとなりました。
(上が「現物」、下が「復原」)
左下の赤い枠が
発掘されたお屋敷。
上には「伊達」さまの豪華なお屋敷がっ。
(御成門が豪華なので、見物人がいます)
意外でしたが、
この3代将軍・家光の頃に作られたとされる
『江戸図屏風』の発見は、1969年!!
それまでは江戸初期の様子を描いた絵は
ほぼなかった(町人側の絵はあり)とのこと。
(江戸時代の地図は、99%が「西が上」。
金沢だと「東が上」。
これには「身分の高い方を上」にというイメージが反映しています。
私の大好きな「江戸切絵図」なども江戸城が入るときは
必ずお城が上になっていますので、いい意味で既成概念を覆されます)
ではでは、
上記の部材が
どこに使われていたかを探るため、
もう少し詳しく「江戸図屏風」を見てみましょう!
江戸城の上(西)に3つ並ぶは、
左から「尾張」「水戸」「紀州」の徳川御三家のお屋敷。
大手門(赤枠)の東と南に広がるは、
譜代・親藩大名のお屋敷。
(図の下には町人の町が広がります)
お堀をはさんだ南側、江戸城から遠いところには
外様大名のお屋敷群。
江戸城の「うしろ」は御三家がしっかり守り、
大手門の周辺は、譜代・親藩がしっかり固める。
信用されていない外様は
遠ざけられています。
この屏風は
「軍団組織の図像化」という解釈もあるようですが
よくまとめられています。
(「小石川後楽園+東京ドーム」の場所は、水戸藩のお屋敷。
貴重な上水道・神田上水をがっちり押さえています。
市ヶ谷の「防衛省」の場所には尾張藩のお屋敷。
大手門の正反対になりますね。
かつて実際に「溜池」があり、上水道の供給源だった
赤坂近辺には、紀州藩のお屋敷)
明暦の大火(1657年)で
江戸図屏風に描かれた
豪華絢爛なお屋敷群は焼失してしまいますが、
なんと、「江戸紀州藩邸図」という平面図が
焼けずに現存していたので
江戸図屏風と比較することができます!!
紀州徳川家お屋敷。
将軍様が来ることがあるので
御成門(左側)があります。
右側は、藩主用の「表門」。
なんだか、ぎゅぎゅっとまとまって
しまっていますね。
(現存しているもので
江戸初期の大名屋敷の「御成門」に近いものは
「西本願寺・唐門」とのこと)
これを平面図で
実際の寸法で見てみると......。
御三家のお屋敷のスケール感が
伝わります。
『江戸図屏風』では、御成門や表門など印象に残したい部分を強調し、
塀を省略しているんですね。
最初に出てきた部材について考えると、
松平(藤井)家には将軍御成りの記録はないので
(=「御成門はなかった)
豪華に装飾された部材は、
「表門」の柱の
八双部材だということがわかります。
(以前行った、狭山の「台徳院霊廟」勅額門にも
似たような装飾が見られます)
上記以外にも、
本当に多くの知識が得られ
今後のお散歩にも
大いに役立ちそうです!
今までに行ったことがある
神社仏閣が解説の中で
多く関連付けられていて
本当にエキサイティングな1時間半で
大満足でした。
(埼玉や千葉、茨城などのセミナーでは味わえない
コウフンです!)
Posted at 2017/01/14 15:27:44 | |
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