雪上で再確認、スバル・新プラットフォームの安心感はバツグン!
北海道・新千歳モーターランドをベースに、富士重工業が「オールラインナップ雪上試乗会」を開催しました。「シンメトリカルAWD」という独自の駆動レイアウトをコア・テクノロジーとしているスバル車のトラクション性能をクローズドの雪上コースにて存分に体感できる好機です。
なにしろ、2016年に世界生産で初めて100万台を突破したスバル車の98%はAWD(四輪駆動)なのですから、そのアドバンテージが感じやすいであろう雪上性能が気になるのは当然でしょう。
スバルには現在4種類のAWDシステムがラインナップされているのは、ご存知でしょうか。
もっともポピュラーなのは、新型インプレッサはじめ、レガシィやフォレスター、レヴォーグ(1.6)などに採用されている『ACT-4』と呼ばれているもの。ACTとは「アクティブ・トルク・スプリット」の頭文字をとったもので、多板クラッチにより前後の駆動力をコントロールする方式で、状況によってはフロント駆動だけにもなる、パートタイム4WDの発展形といえるものです。
そのほか、フォレスターのMTや海外仕様のMTには、ビスカスL.S.D.付きセンターデフのフルタイムAWDが用意されています。また、レヴォーグ(2.0)やWRX S4は電子制御L.S.D.と不等トルク配分センターデフを組み合わせたVTD-AWDが採用されています。
そして、スバルのスポーツフラッグシップモデルであるWRX STIには専用といえるDCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・ディファレンシャル)が搭載されています。
今回の雪上試乗会では、スバルの全AWDシステムを乗り比べすることができました。
レガシィ、レヴォーグ、WRX系、そしてインプレッサと代わる代わるステアリングを握ります。たしかにAWDシステムによる違いというのはありますが、それ以上に大きな差を感じたのはプラットフォームの世代差でした。
こんなことをいうと身も蓋もないのですが、インプレッサの新世代プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」の安心感は別格です。
スバルAWDシステムの違いというのは、主にコーナーの進入時など曲がり始めに感じる部分が大きいのですが、そうした旋回時の挙動や安心感といった面では新世代プラットフォームが持つアドバンテージのほうが大きく感じたのです。
実際、それなりに整備された雪上(といってもアイスバーンもありました)を法定速度プラスα程度の速度で走る分には、トラクション性能に優れたAWDでなくとも、いまどきのスタッドレスタイヤを履いていれば問題なく走ることができます(今回の試乗車両は、すべてブリヂストンのスタッドレスタイヤを履いていました)。
そこでFWDのインプレッサでも同じコースを走ってみたのですが、FWDだから不利という感じもありませんし、トラクション不足も感じません。むしろ四輪の接地感が勝っているので、駆動方式を意識することなく安心して乗れるという印象のほうが強かったのです。
そして、こうしたインプレッサの走りを知ると、レガシィやレヴォーグはSGPを採用する「次世代型まで待ち」が正解とさえ思ってしまうのです。キャビンのゆったり感やターボエンジンの加速などインプレッサにない要素も持つので、横並びに比べることはないでしょうが、それぞれのキャラクターをSGPの上で展開すると、どこまでレベルアップするのか期待は高まります。
雪上というコンディションは、SGPの仕上がりがそれまでのシャシーに対して感覚的には圧倒していることを強調したのでした。
(写真:前田 惠介/門真俊 文:山本晋也)
アウトバックとフォレスター、乗りやすいのはどっち? スバル・SUVの雪上対決!
富士重工業が、メディア向けに「オールラインナップ雪上試乗会」を北海道で開催しました。
メインステージとなったのは、新千歳モーターランドのダートコースとジムカーナコース。ダートコースに設けられた特設ステージでは、レガシィ・アウトバックとフォレスターという、スバルの成長を支えるSUVの雪上性能を味わうことができました。
スバルのSUVといえば、インプレッサの派生モデルとして生まれた「XV」も忘れられない存在ですが、近々フルモデルチェンジが予想されているところ。「現行モデル」としては、この2台を味わうのが妥当です。
サスペンションストロークの長さを実感できるモーグルや、自動的に速度を一定に保つヒルディセントコントロールなしでは怖さを感じるダウンヒルなど、SUVとしての走りの良さを実感できるコース設定。そうしてアップダウンの走破性を味わった最後には、ちょっとした広場で振り回してハンドリングも確認できるという、スバルの自信がうかがえるコース設定となっていました。
水平対向エンジンとリニアトロニック(CVT)、そして多板クラッチによる前後駆動配分型AWD「ACT-4」というパワートレインの基本は共通。エンジン排気量はアウトバックが2.5リッター、フォレスターが2.0リッター(NAとターボ)となっています。
北米マーケットで高い評価を得ているという2台。とくにアウトバックは上品なインテリアで大人らしい空間となっています。
しかし、アップダウンのあるコースを走って余裕を感じるのはフォレスターの方。これは最低地上高の違い(アウトバックは200mm、フォレスターは220mm)とホイールベースの違い(アウトバックは2745mm、フォレスターは2640mm)というディメンションに由来するもの。
これらスペックからわかるように、フォレスターはドライバーの視点が高く、またデコボコした路面との干渉でも有利なのです。それがドライバーの安心感につながります。一方、フラットな雪道でわざと振り回したときの安定感はロングホイールベースのアウトバックが優位なのを感じます。
この2台で定常円旋回をしてみたところ、速度を出していけるのはアウトバック。そしてオーバーステア(後輪の横滑り)が始まってもアウトバックの方に安心感があります。
そして重要なのは、雪道でのトラクションなど駆動系の影響を受ける範囲において、この2車の違いはそれほど感じないこと。もともとはパートタイム4WDの切り替えを自動化するという発想から始まったシンプルな前後駆動配分システムは、熟成の域に入っているといえます。
さらに、直近の年改(マイナーモデルチェンジ)によって、「ACT-4」には新しい制御が組み込まれているのです。
そのテーマは『発進時のトラクション性能のさらなる向上』。四輪の車輪速からスリップ量を検出し、状態に合わせて前後の駆動トルク配分を適正化することで、スタック脱出性を改善しているといいます。
具体的には、従来はタイトコーナーブレーキング現象(前後駆動を繋いだ状態でステアリングを切るとタイヤがロックしたようになってしまうもの)を嫌って、ステアリングを切った状態で発進する際には、ほぼFF状態としていましたが、新制御では後輪にも駆動配分することでステアリングを切った状態でのスタック脱出性能を上げているといいます。
これにより雪道での坂道発進の能力アップが期待できるのですが、路面ミューがころころと変わる雪上コースというのは難所だらけ。駆動制御は上手くいっていても、あと一歩のところでトラクションコントロールが出力を絞ってしまうというケースもありました。
しかし、こうした事象を試乗会に出席していたエンジニアがその場で確認していたのが印象的でした。スバルといえば、エンジニアが走りを体感して、物理(理論)に落とし込むという開発手法をとっていることでも知られています。
このような積極的な姿勢から、SUVの走りをさらに力強くすることが期待できるというわけです。
(写真:前田 惠介/門真俊 文:山本晋也)
日常使いで体感できない領域だったとしても万が一の時にユーザーを陰ながら助けてくれるっていうのは重要だよ
4WDだからと言って過信するのは良くないけどサ
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富士重工 | 日記
Posted at
2017/01/27 22:20:51