先回のブログネタに引き続きBEATLESS(ビートレス)を紹介。
原作は長谷敏司(はせさとし)氏の長編SF小説。私のような世代だと超有名なロックバンドBEATLESと混同する恐れがあり、わざわざ片仮名表記もつけてくれています?
現在から85年後(2105年)、人口が減少した日本ではhIE(humanoid Interface Elements)というアンドロイドが労働力を補っており、そのhIEは人間の知能を越えた超高度AIが基本的な動きを制御しているシンギュラリティの世界。
超高度AIの運用は、「ハザード」と呼ばれる大きな事故の教訓で「枷」が嵌められており、hIEも人間の能力を超えないように調整されている。その社会に人間の能力を遥かに凌駕するhIEが紛れ込んだらどうなるか、という将にブレードランナーのような状況を描いているが、ブレードランナーの原作作成時とは50年以上もの差があるので、男性の好きなミリタリー要素やラブコメ要素もちりばめられ、数学や法律の学術書みたいになりがちな現代の電脳社会問題を取り付き易い設定で扱っている。
余り細かく書くとネタバレになってしまいますが、シンギュラリティの社会でAIと人間がお互いの居場所を探すというファンタジーで、17歳の高校生達と5体のhIEが中心となって未来に向かう姿を描いています。非常に広くて深くて、且つ細かい問題なので纏めるのが難しいと思われますが、物語に上手く纏めている作者の力量が圧巻でお勧めです。
17歳というと、丁度将棋で藤井聡太さんが大活躍しているところで、イノベーションを起こすのはこういう世代なのかなとか思いながら読んでいました。またシンギュラリティなんてずっと先の話だと思っていましたが、まだ100年は人間が上とか言われていた囲碁の世界でも、ディープラーニングであっという間に力関係が逆転し、量子コンピューターがいよいよ実用化しそうな今、生きているうちに直面しそうな気がして来ました。アナログ世代のブタには危険な時代ですね。
Posted at 2020/05/30 08:15:58 | |
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