随分前に
こんな事を報告しましたが、その
阪九フェリーの新造船「せっつ」に乗船したので報告します。尚、乗船したのは緊急事態宣言の前です。
以前、このフェリー会社の新造船に乗った事を
レポートしましたが、そのブログがバズり状態に。その結果、私のブログの中では断トツのPVトップに躍り出ました。それに味をしめて、デビューしたばかりの新造船のレポートを、というわけです。でもこの時期は鉄道各社がダイヤ改正を展開する時期で、近鉄の新型特急「ひのとり」をはじめ目玉商品が出揃う時期で、そちらに若干の未練が残るのも本音ですが。
新造船「せっつ」の全景と船首部分です。昼間のうちに撮影
乗ったのは、新門司20:00発神戸行きの便でした。まずは小倉駅から新門司港に行く送迎バスに乗ります。トラック(=運送会社)が主要顧客のフェリーですがそこはさすがの阪九フェリー、徒歩乗船の旅客の利便性も忘れてはいません。運行を担当するのは西鉄バス北九州ですが、これがまた…(後述)
バスは門司港のターミナルに到着しました。今回は神戸行きなので、個性溢れる平城京風デザインのターミナルです。
まずは受付で乗船手続を行いました。受け取った乗船券とカードキーです
事前に公式サイトで予約していたので、予約番号を提示すれば申込書の記入不要。記入のための時間や手間が不要で助かりますが、いずれは名門大洋フェリーみたいなQRコードを用いたシステムを導入して欲しいです。あちらは、受付に並ぶ事さえ不要ですから。窓口で予約番号を提示してカード決済を済ませ、チケットとカードキーを受け取っていざ船内へ。就航したばかりの最新鋭だけに、期待が膨らみます。ブリッジを通って船内に入り、係の方にチケットを提示して案内を受け、自室に向かいました。今回選んだ船室は「デラックスシングル」という1人部屋です。
この通路の先に、私の部屋があります。緑を基調とした独特のデザインです
スペースが広すぎず狭過ぎず丁度良いサイズで、細長くなくて黄金比くらいの寸法でしょうか。別の船みたいにキャリーバッグを広げると足の踏み場が無くなる事も無く広々としています。机は広いだけでなく奥行きもあるので、ラップトップPCを広げてもゆとりがあり、そんじょそこらのビジネスホテルよりも使い勝手が良い程。これで机の照明の色が白熱灯風ではなく蛍光灯風であれば、言う事はありません。部屋の他の装備としては、空調完備でBS視聴可能なTVをはじめ、ミニタオルや歯磨きセット等々。個室なうえにこれだけ装備が揃って、運賃・部屋代で\9.220-ときたもんだ(ネット予約の割引込み)。これで「高い」などと言ったらバチが当たりそうです
部屋にあるテレビは、写真の航路案内をはじめ、地上波デジタルやBSが見られます。BSはいいとして、地デジは電場状況が悪くしばしば画面が乱れました
当然、コンセントもあります。設置されているのは机×1に洗面台×2の合計3個所で、これだけあればいい…のですが、コンセントはいいとしてUSBポートが枕元に1箇所あれば更に良いかな?
出航前に、船内をあちこち探検しました。
出航直前の車両デッキです。最近の長距離フェリーは活況を呈していた筈ですが、本日は車両のいないデッキもあるなど閑散としていました。1台だけ妙にマニアックな車がいますが(笑)
展望デッキや吹き抜け部分など。吹き抜け部分ではイベントが行われる筈でしたが、コロナウイルス対策のため惜しくも中止でした。案内のサインは大きくシンプルに、見やすくなりました。扉の枠にある剥き出しのビスなど、ある意味船らしい武骨さはあるにしても、船内の全体的な印象として、デザインや設備が更に洗練された印象を受けました
あちこちに、こんなソファーが設置されていました。片隅にはUSBポートが設置されていて、私はここで、船内に設置されたUSBポートは初めて見ました
エレベーターは、数年前に就航した「いずみ」「ひびき」と同じ潮冷熱の製品でした。扉が開くとLEDが点灯する等の進化した印象ですが、動き出す時の振動やスイッチ類の少々武骨なデザインは「やっぱり船のエレベーターだな」とニヤッとしました
出航時刻が近づいたので展望デッキに上がると、作業員の皆さんが出航に向けた作業をしているところでした。船は定刻に新門司を離れました
港を離れて程なくして、レストランに向かい夕食としました。
一部の写真は営業終了後に撮影しています
この船も在来船と同様のカフェテリア方式で、豊富なメニューが揃っています。ウイルス騒動の影響で一部のサービスが中止されているようですが、そんな事を感じさせない充実ぶりでしたよ。でもこの形式…バイキング形式よりも判断力?を問われます。当然ながらひと皿ごとに価格が設定されているので、思いつくままに選ぶととんでもない金額になってしまうのが実情。ましてアルコール類を追加すれば尚更です。で、その結果。
↑のメニューを選んだら、アルコール込みで金額は2,000円を越えました(笑) …でもね、今や乗り物の中で温かい食事を堪能できるのは貴重な存在。個人的には名門の方がコストパフォーマンスは高くて好みとは思いますが、こんなサービスをずっと維持して欲しい。だから私は、喜んで投資しますよ。食事を堪能しつつビールをぐびり…極楽であります。
テーブルに置かれた調味料の中には、通常の醤油以外にも「九州醤油」が置かれています。ほのかな甘みが感じられ、いい味ですね
22時を回った頃、浴場に行きました。ここもまた魅力的な施設です。
浴場の入口です。当然ながらここから先は撮影不可なので(実際にその案内がある)、浴槽他の写真はありません
脱衣所には鍵付きのロッカーがあり、カードキー等の「盗まれては困る物」も安心して置いておけます。でも個人的には鍵そのものよりも、ルートインの大浴場で見かける4桁のダイヤルでロックするタイプの方がいいかな?と思うのですが。
大浴場には2つの湯船があり、片方はジャグジータイプでした。湯温もちょうどいい加減で快適。それと洗い場は、左右との仕切りが従来よりも大きくなって、隣に(orから)飛沫が飛ぶ心配もほぼ無く、安心して利用できます。そして阪九名物、露天風呂。この船にもちゃんと設置されていて、星空や灯台の灯りを眺めながら湯船に浸れるという、阪九のみで味わえる魅力があります。やはり人気があるようで、室内の湯船は無人でも露天風呂は利用している方が多かったですよ。
もちろん、この船にもWi-Fiがあります。↓は、廊下の壁に設置されたフルノシステムズ製のアクセスポイントです。
接続状況ですが…やはり出港直後からネット接続が怪しくなり、それ以降さっぱりだめ。こればかりは仕方ないようです
翌日。朝6時前に起床すると播磨灘を航行中でした。
天気は快晴とはいかないものの晴れ間も見え、殆ど揺れがありません。どことなく、速度を抑えて航行中のようです
デッキそのものは広いけど、立ち入り不可能な場所が多く、歩き回れる範囲は意外と少ないです
6時半にレストランの営業が始まり、朝食としました。昨晩よりもさすがに品数は少なめですが、それでも迷いました。で、↓のようなメニューです。
前日と若干被りましたが、概ね満足です。やはり、朝の瀬戸内海を眺めながらの朝食は格別ですねえ
7時を回った頃、明石海峡の下を通過しました。この航路のハイライトだけあって、撮影する人が多かったです
以下、その他色々です。
船内のあちこち就航を祝う花が飾られていました。デビュー間もない新造船だけありますね
売店は商品も充実していて、思わず目移りします。そんな商品群の中から、オリジナルデザインのバスタオルを購入しました。私の場合、フェリーの売店でバスタオルを購入するのが何故かお約束になっていて、我が家で使っているバスタオルは全てフェリー会社のやつに統一されている程です
今回のコロナウイルスの影響で、写真のキッズルームは閉鎖されるなど船内のサービスは一部制限がありました。またクルーの皆さんが、手摺りを拭き取るなど多くの対策が実施されていました。少々残念なタイミングでの新造船デビューでしたね
8時15分頃に、定刻に神戸港に到着するというアナウンスが流れました。
デッキに出ると接岸間近で、岸壁に接触する時は振動を一切感じさせず、接岸に気づかなかった程。見事な操船に感心しました。連絡橋が設置されて下船し、今回の乗船が終了しました。
神戸港に到着しました
今回の新造船を投入した最大の目的は、やはり大型化による車両(≒トラック)の搭載量を増やす事でしょうが、旅客の面では…劇的な進化とは言わないものの、これまでの設備やデザインが少しずつ進化して、より完成度が高まったと思いました。
以下、余談です。
小倉駅~新門司の送迎バスは両社共に個性的な車両ですが、今回は期待を大幅に上回るトンデモ車両でした。
!!!
なな~んとUD+西工C-Ⅱ(92MC)ボデーの組み合わせではありませんか! もちろん、ステップアップルーフの部分に陣取りました。いつか乗りたいと思っていたこのボデー…せり上がった屋根に巨大な側面固定窓。そして極め付けは、今や絶滅危惧種な杉本工業の座席!! たまりません…(悶絶) もう乗れないと半ば諦めていた、九州でしかお目にかかれない凄い車両に乗れて大満足でした。以前は観光系シャーシ+西工S型ボデーの送迎車でしたが、まさかこんな車両に乗れるとは。新門司~関西航路は船舶自体も凄いですが、九州側の送迎バスも熱いですね(笑)