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● グリーンランドとの別れ
旅5日目は、2泊3日のグリーンランド滞在最終日。基本的にアイスランドへ戻るだけの移動日である。但し時差の関係で思っているほど時間に余裕はない。
朝食を終えて、まずはホテルの売店でお土産選び。
但し場所柄、めぼしいアイテムは殆ど無く、しかもビックリするほど高いプライスがついているのである。
とりあえずTシャツなどを買ったものの、サイズや色の欠品があまりに多いのが残念。
自分には今まで見たことのないような雄大な景色の数々を目に焼き付けられて「良い思い出」というお土産が出来たのだが、人に渡せるようなお土産はほとんど無し。
しかしこうして長々旅に出るには、日頃の仕事ぶりに加えて、お土産の一つや二つは必要不可欠なので、アイスランドに戻ってから、しっかりと調達することにしたい。
そして送迎時間を確認しようと、ロビーの案内モニターを見てみるも、データーが更新されておらず、一昨日の送迎時間がそのまま表示されている。
フロントで聞いてみるも、「また声をかけるよ」といった感じで、どうもアバウト。
まあ往路でわかったようにヘリの運航そのものがアバウトなので、適当に見計らって送迎して貰える方が有り難いのかも知れない。
準備万端整えて、ロビーで寛いで送迎を待ち、ヘリポートへ。
ここでホテルのスタッフとはお別れ。フロント業務から、レストランの給仕、そしてガイドツアーに送迎と、様々な場面でお世話になる機会も多く、僅か3日間とは言え、別れはちょっと寂しい。
しかし別れを惜しんでいるうちにヘリが到着。
慌てて待合所に駆け込んでチェックインしようとするも、係員は荷扱いで手がいっぱいで、「チェックイン?ちょっと待っててね」といった具合。
まあこぢんまりとしたヘリポートで、しかも一度は顔を出しているので「チェックインは締め切ったよ」とは言わないだろう。
と、言うことで、しばらく待合室で待機。
折り返しのヘリで到着した家族(?)を出迎えに来たのだろうか、デンマーク国旗を振って到着客を待ちわびる子供達の姿があった。
この家族を見ていると、欧米人とイヌイットの混血のため、顔の造りなどで血縁関係を認識できる半面、兄弟でも明らかに欧米人系の特徴が強い子と、イヌイット系の特徴の強い子にハッキリ分かれている。
ちなみにちょうど中間のような感じの子だと、驚くほど見事に日本人的な雰囲気を醸している。(但し鼻筋が通っているので、日本人としては端正すぎる気もするが)
そうしているうちに、チェックインカウンターの係員がわざわざ「チェックインでしたよね?」と声をかけに来てくれ、チェックイン完了。
そして引き続き搭乗開始。
とは言え、特に改札機があるわけではなく、駐機場へのドアの前に、チェックインから荷扱いまで何役もこなす係員が立ち、一枚一枚搭乗券をチェックする形である。
が、しかし「このチケットは次の便だよ」とのこと。
「定刻10分前の搭乗」かと思っていたのだが、ヘリに遅れが生じており、実は「35分遅れの前の便」だったのである。
そうなるとアンマサリク-クルスクは1機のヘリが往復しているので、片道10分、乗降や荷扱いの時間も含めると30分は待たなくてはいけないだろう。
一昨日は間引き運行(?)をしていたヘリだが、今日は慌ただしい運行…タテマエでは定期便でも、実質的にはオンデマンドに近い運行形態なのかも知れない。
その後は一旦、外に出てグリーンランドの空気を吸っておくことに。
ちょうど先ほどのヘリで到着した人々が、迎えの人々と一緒に車で出発していくところ。
ここアンマサリクには「自家用車」が少ないこともあってか、2~3台あると思われるRAV4によるタクシーが大活躍している。
しかしそれ以外にも、明らかに公用車・社有車といった車での送迎が多く、救急車まで登場。
まあ絶対的な車の数が少ないので、あらゆる車をフル活用しているのか、あるいは出張の送迎ならOKなのか…理由はよくわからないが、まあこんな感じなのである。
そして先ほどのヘリが戻ってきて、今度こそ搭乗開始。
往路と違って、乗客も多く、荷物まで含めて機内はすし詰め状態。往路と同じく、側面の窓に面した席に着席。
但し今度は隣にも乗客がおり、例えるなら路線バスの2人掛けの席より狭いくらいなので、そこに男2人でかなり窮屈である。
そしていよいよ離陸。
まあ
往路にも見た景色で、しかも往路の方がお天気が良かったので…
写真を撮っていると、隣に座っているイヌイットの男性がスマートフォンに保存していた四季折々の写真を見せてくれた。うるさいヘリの機内なのでゼスチャーで会話(?)を楽しむ。
そして着陸前にはクルスクの市街地を眼下に見る。
ここクルスクには、今回滞在したホテルアンマサリクの姉妹店のホテルクルスクがあり、宿泊もできるとのこと。
機窓から見る限り、街外れの中途半端な場所に位置しており、ホテルアンマサリクとは違って、大自然の中に滞在している感を味わえるのではないかと思う。
そしてクルスク空港へ到着。
本来は1時間半程度の待ち時間だったのだが、ヘリが遅れ、やや中途半端な待ち時間になってしまったので、大人しく空港で待機することに。
それに次に乗る便はグリーンランドからアイスランドへの国際線ということもあり、時間には余裕も見ておいた方が良いだろう。
そして待合所にはいると、先に到着していたフランス人夫妻と再会。同じパッケージで申し込んでいる筈だが、微妙にフライトが違っているようだ。
まあ往路にも立ち寄っているので、特に新しい発見があるわけでもないのだが…
空港の建物まわりを散歩していると、建物付近だけは金網があるのだが、それも穴だらけ。
しかも数十m歩くと、金網すらなく、その気になればいくらでも駐機場や滑走路に入ることができる。
しかしまさかそんな事をする人は居ないだろう、と思っていると…
流石にこれには空港係員が飛び出してきて、大声を上げて追い出していた。
そして搭乗開始。
フランス人夫妻はもう一本後の飛行機とのことで、ここでお別れ。
私の場合はズムーズに乗り継ぎが出来ているが、フランス人夫妻はかなりの待ち時間のようだ。これは申し込み順なのだろうか。
セキュリティーチェックコーナーへ入り、いつも通り荷物をX線検査機のベルトコンベアに載せ、トレイにポケットの中身を出しはじめたのだが…係員に制止され「パスポートだけ見せろ」とのこと。
パスポートを見せると、それだけで「OK」となり、手荷物チェックは省略。一緒にいた台湾からの旅行者は飲みかけのお酒すら持込OKになっていた。何ともアバウトなセキュリティチェックである。
そして往路と同じくフォッカーF50に搭乗。
ちなみに1人乗務の客室乗務員も往路と同じ人。
更に言うと、この後ももう一度同じ客室乗務員さんにお世話になることになるのだが。
そしてついにグリーンランドともお別れ。
僅か3日の滞在ではあったのだが、何だか随分長いこと滞在していたような気分である。
(「旅の報告」シリーズが遅れがちで、何ヶ月も掛かってしまっていた…という点に関してはご容赦ください。)
そして前にも少し紹介していたが、往路のサンドイッチとは随分とギャップのある立派な機内食が登場して、ちょっとビックリ。
● アイスランド1のレストラン「VOX」へ
そして3日ぶりにアイスランドへと帰還。
レイキャビック名物(?)の
ハットルグリムス教会や、テーブルマウンテンが出迎えてくれる。
グリーンランドから戻ると、レイキャビックが随分と都会に思えるから不思議。(首都とはいえ、規模的には帯広市程度の都市である。)
レイキャビック(ドメスティック)空港ターミナル
そして路線バス一本で、グリーンランドへの出発前に滞在した「ヒルトンノルディカ」へと戻る。
今日からは違う安いホテルに移るのだが、グリーンランド滞在中にスーツケースを預けているので、何はともあれヒルトンに寄らなくてはならないのである。
上の写真は…時計に表示されている時間に注目。
相変わらずの白夜で「ディナー」といった雰囲気ではないのだが、ヒルトンホテル内の「VOX」レストランはアイスランド1のレストランとして名高いので、思い切ってチャレンジすることにしたい。
まあ価格面は「円高・クローナ安」で随分とお手軽で、日本人の感覚からすると「ヒルトンとしては破格」と思える値段である。
ちなみに4皿のコースでISK7900(≒\5700)、それぞれの更に合うワインがセットでISK14400(≒\10350)といった具合ある。
しかし最大の難関としては…汚らしい一人旅の男が1人で入るには、気分的に敷居が高すぎることなのである。
で、勇気を出して入っては見たものの、「1人客はレストラン利用不可。」とのことで、レストラン入り口付近に設けられた「ビストロコーナー」へと案内される。
どうやら、ここVOXには高級アイスランド料理店という顔と、ホテル宿泊客向けの喫食設備という顔があり、その両方に対応できるように、入口付近(通常なら待合室)にテーブルを設け、「ビストロ」としてやや低価格なメニューを提供しているようだ。
またテーブル配置など、1人客や少人数客にも配慮した空間になっているが、同時に高級レストランの一角と言うこともあり、洗練された落ち着いた雰囲気である。
またスタッフや厨房も完全にレストランを共通なので、サービスや料理には何ら不満はない。
残念ながら目玉のワインがセットになったコースは試せなかったが、ビストロのコーナーは1人でも全然気軽に入れるので、必要以上に構える必要は無かったのかも知れない。
そして「シェフお勧めの3皿コース」というものをオーダー。ちなみにお値段はISK6500(≒\4700)とヒルトンホテル内でのディナーとしてはお手軽なほうだろう。但し“ヒルトンとしては”の話ではあるのだが…。
またメインがラムとの事だったので、赤ワインのお勧めを聞いて一緒にオーダー。
ちなみにアイスランド国内のワインは、ほぼ輸入品。フランス・スペイン・チリ・オーストラリア…と有名どころのものが多い。
なおアイスランド産ワインも無いわけではなく、これがあり得ないほどに強烈なのだが、こちらはまた後日紹介することにしたい。
先ずは前菜。料理名を控えるのを忘れたが、「素揚げ魚のシーザーサラダ」といった感じだろうか。
ここアイスランドは漁業国ということもあり、魚介類のレベルはなかなか高い。
しかも味の好みなど日本人にも近いところが多く、安心して食事を楽しめる。
なお付け合わせのパンはしっとりとした風味の良いパンで、これも素晴らしい。まだまだスターターの段階なのに、ついついガツガツ食べてしまった。
そしてメインのラム料理。
良くある上品な盛りつけの洋食ではなく、結構ガッツリなのが嬉しいところ。
但しこれはアイスランド全体に共通しているようで、ほとんどの店で新鮮で豊富な食材をガッツリと提供してくれる。
またアイスランドで肉というと、ビーフではなく、ラムがメイン。
実際、国中に羊が飼われており、肉も新鮮。臭みが殆ど無く、ちょっと柔らかいビーフといった感じで、ラムに抵抗がある人でもスルスル食べられるだろう。
北海道辺りでそこそこ高級なラムを食べても、アイスランドの一般的なラムの足下にも及ばないように感じる。
(そもそも日本の安いラムのクオリティが低すぎるのが原因かも知れない。日本のラム肉は価格と味がわかりやすく反映されるので、、、日本の安いラム肉をラム肉とは思って欲しくないのだが…)
しかも一般的に広く(ビーフ以上に)食べられている食材なので、口に入る機会も多い。
ちなみに他にアイスランドで良く出てくる食材といえば、鱈・大鮃・海老、そして時々豚といった感じだろうか。
但し地域的に新鮮な野菜はなかなか手に入らないので、付け合わせ類は日本で言うチェーンの定食店並の食材かも知れない。
(但し材料は似たり寄ったりでも、ソースなど味付けで勝負しているので、“同じ”という話ではないのだが)
そしてその傾向が顕著に出てしまうのがデザート。
まあ見ての通りで、日本のヒルトンでは先ず出てこない内容だろう。
まあ別に美味しくないわけではないのだが、ヒルトンに期待するレベルのものとは言えないだろう。
例えるなら、温泉旅館で凝った懐石料理を食べた後に、オマケ程度に出てくるデザートのクオリティだろうか。(別に安物でも無いが、メインの懐石ほど凝ってもいない“とりあえず”出している…といった感じのもの)
まあアイスランド全体がこんな感じなので、この後のアイスランド滞在中、デザートは省略して「スターター+メイン」あるいは「スープ+スターター+メイン」という組み合わせでオーダーすることが多くなった。
なお今回のディナーでは、スープが登場しなかったが、今後の日程で何度も登場するアイスランドのスープは、野菜でも肉でも日本人好みのテイストで、なかなか最高に美味しいのである。
そしてディナーを終え、フロントでスーツケースをピックアップしてから、夜10時台とは思えないレイキャビック市内を数百mあるいて今宵の宿へ。
そして最高級のヒルトンから一変してエコノミークラスとなるホテルキャビンへ到着。
なおアイスランドのホテルについては、
以前のブログで紹介しているので、今回は割愛することにしたい。
<つづく>
撮影機材
・SONY α200 + SONY CarlZeiss T* Vario-Sonnar 3.5-4.5/16-80(24-120)[SAL1680Z] and SIGMA 10-20(15-30)mm F4-5.6 EX DC and TAMRON SP AF 18-250mm Di II LD Aspherical [IF] Macro [Model A18]
・SONY CyberShot DSC-TX5 (CarlZeiss T* Vario-Tessar 3.5-4.6/4.43-17.7(25-100))
・MINOLTA αsweet II + MINOLTA AF 24-105mm F3.5-4.5 + FUJICHROME PROVIA 100F or VELVIA 100F
※なおグリーンランドに関しては、日本語で書かれた資料も少なく、今回の旅行記の執筆にあたっても、断片的な情報から判断していたり、また資料や現地で見聞きした英語を私の拙い英語力で解釈しているものが多くあります。
当然のように正確さを欠いていたり、間違いもあることが予想されます。
地名などのカタカナ表記はWikipedia等を参照しておりますが、日本語での統一的な記載が定まっていないうえ、私自身がデンマーク語やカラーリット語が読めるわけでもなく、正確さを欠いている可能性があります。
また文中で“旧市街”“新市街”“流氷の見える丘”といった日本語の呼称を用いていますが、当然現地にこのような日本語訳が存在している訳はなく、私の理解に基づいて、あくまで便宜的に名付けたものにすぎません。
以上、ご了解のうえ、あくまで“無責任な素人の日記”としてお読みください。
間違ってもこのいい加減な旅行記を根拠にした論などなさらないようにお願いいたします。
また何か間違いがあっても当方では一切責任を持ちません。(ご指摘やご教授は歓迎いたします)