
車のチューニングを進めていく上で、避けては通れないのがコンピューターチューニングです。
私は
ROMチューンを選んだわけですが、ここに興味を持って頂いてご質問を頂くこともあり、自己流ではありますが、私のROMチューンについて少しご紹介しようかと思います。
※あくまで自己流です。間違っている可能性もありますので、それを承知の上、ご参考としてください。
私のROMチューン環境としては、次のようなものを使っています。
・ノートPC
→Acer AS1410(Windows7 64bit)
・ROMソケットに交換してあるECU本体
→
TOMEI ECU
・ROMライター&イレーサー&EEPROM
→
BURN2 ROMライター、27FS512
・コンサルトソフト
→
Nissan Data Scan
・データロガー&ソフト
→
自作
・A/F計
→
PLX DM-6
・ROMエディタ
→
ROM EDITOR、
Strling
※ROM EDITORで必要となるADRファイルは、
「Re:アドレスファイルで・・・ [ nino8446 ] 2007/07/03 15:04:44」を参照してみてください。
・パワーグラフ
→Microsoft Excel2003
私のROM書きのスタイルですが、基本的に点火時期は一旦決めたら固定、そして燃料触って空燃比を合わせることがメインの作業になります。
この理由は、少し(いや、かなり^^;)乱暴な言い方ですが、エンジンは点火時期を触らないと基本的にパワーアップしません(まぁ薄くすれば燃焼温度が上がって爆発力が増え、結果パワーアップしますが、それは危険との隣り合わせになるので、進むべき道ではないと思ってます)。
正しくは、目的の空燃比に調整することで燃焼室温度を適切に保つことでノッキング(この場合はデトネーションですね)対策に使い、結果として点火時期が進角できることによりパワーアップ、が原理原則だと思っています。
点火時期の進め過ぎはエンジンブローに直結しますので、ある程度(負荷に対するマージン)を決めたら、それで固定しています。
もしギリギリまで点火進角すれば、当然パワーは上がっていく(でも限界点はあり、それを過ぎればパワーは落ちます)でしょうけれども、細かなコンディションの違いに敏感になり、日々のコンディションのバラツキ等によっては進角し過ぎ->即ブローとなっては元も子もありませんので、あまり攻めた点火時期設定はできないです。ここら辺が、ノウハウの差になってくるのかなと思います。
私はノウハウも経験もないので、安全だと思われる一般的なラインより先には進めません(踏み入れてません)^^;
私が思うに、ROMチューンでデータを詰めていく上での最大の欠点は、やっぱりデータ変えるたびにROM抜き差ししなければならない手間だと思います。これが毎度のこととなり、正直結構面倒です。
ですから、それこそデータロガーなどを駆使して、1回1回、しっかりデータで残し、それらをしっかり比較できる環境を作らないと、各ROMの良し悪しの評価が定まらず、何度走ってもセッティングが決まらない、決められない可能性が大です。
その対策として、私はNissan Data Scanでは記録することができない、ブースト、空燃比、おまけでポンプ駆動電圧(FPCM)をオリジナルデータロガーで記録し、同じ場所を同じギア(3速)で直線加速してパワーグラフを描いて、些細な変化を見逃さないようにして、なんとか評価できるかな、という感想です。
パワーグラフは、取得したログから、時間当たりの加速度を求め、車重とギア比より各回転数のトルク・馬力を算出し、グラフ化しています。
具体的には、ある瞬間であるT1(秒)からT2(秒)の間に、エンジン回転数がRPM1(rpm)からRPM2(rpm)に増加し、そのギア比がGEAR(=3速→1.302)、車重がW(=1480kg+100kg)、タイヤ外径がR(mm)だったとします。
そのときのトルクをTrq(kg・m)、馬力をPS(ps)とすると、
Trq = (((RPM2-RPM1)*60)*1000/3600)/(GEAR*4.111)*R/1000/1000*π/(T2-T1)*W/(9.8*GEAR*4.111/(R/2/1000))
PS=(RPM2+RPM1)/2*Trq*0.001396
で計算できます。
実際には、駆動ロス、空気抵抗、勾配などの影響があるため、測定環境にもよりますが、私の場合だと算出馬力の130~140%前後が実馬力になるようです。
実際に取得したログデータで計算してみますと、
【条件】
T1=32.35(秒)
T2=33.75(秒)
RPM1=5975452(rpm)
RPM2=6691.161(rpm)
GEAR=1.302
R=632(mm)
W=1580(kg)
Trq = (((6691.161-5975.452)*60)*1000/3600)/(1.302*4.111)*632/1000/1000*π/(33.75-32.35)*1580/(9.8*1.302*4.111/(632/2/1000))
= 30.08332
PS = (6691.161+5975.452)/2*30.08332*0.001396
= 265.9755
補正係数を135%(=1.35)とすると、計算トルク、馬力はそれぞれ
トルク = 30.08332*1.35 = 40.61248 (kg・m@6333rpm)
馬力 = 265.9755*1.35 = 359.067 (ps@6333rpm)
というように算出されます。
実際にコンピュータで計算させる場合には、馬力計算のエンジン回転数を複数サンプルから算出して精度を高め、それをエンジンの低回転域から連続的に計算することで、より精度の高いパワーグラフにしています。
こうした手間を考えれば、POWER FC等もいいかな、とも思いますが、個人的にLジェトロ&純正ECUのフェールセーフ機能には、絶対の信頼を置いており、これらを両立できるのはROMチューンしかないと思い、手間はかかるもののROMチューン派なのは、今も変わりません。
私の32Rは過去に
ノックセンサー故障が発生し、その際にはECUがエラーコード34と診断、お蔭ですぐに故障個所が判明しました。そして純正PCMバルブがフェールセーフ制御され、ブーストが0.7kまでに抑えられることで、万が一の場合にも被害が常に最小になるよう、完璧に制御してくれました。
セッティングでは面倒な面もありますが、純正ECUベースのROMチューン、個人的にはお勧めです。導入も安いですし^^
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Posted at
2013/06/22 01:48:29