
2024年1月イエローナイフにオーロラ撮影に行きました。
その時の様子をレポートしますので、参考にしてください。
※文中にオーロラビレッジという言葉が出てきますが、オーロラ観賞はイエローナイフから少し離れた「オーロラビレッジ」という場所で行います。オーロラビレッジを運営しているのは「オーロラビレッジ」です。ここではややこしいので、場所の意味は「オーロラビレッジ」。運営の意味では「オーロラビレッジ事務所」と書きます。
1出発前の準備
持ち物を忘れたりすると現地ではどうにもなりません。
ここはチェックシートなどを活用し、準備しましょう。
①パスポート
②カナダ入国のための「電子渡航認証システム」
(eTA:Electronic Travel Authorizations)事前に自分で申請
2024年で7カナダドルでした。
③カメラ機材
④メガネの人はコンタクト(強く推奨)
2現地までの旅程の注意点
ここで気をつけておかなければならないのが、ロストバゲージの対策です。「本人だけ現地に到着したけどカメラ機材が無い」となっては遠征そのものが失敗です。
まず持てるだけ機材を手荷物で運ぶことが大事です。私は大きい三脚以外全部持ちました。幸い機内持ち込み可能な大きさのバックパックを持っていたので、カメラ・レンズ・充電器・三脚・パソコンなど一式入れて持ちました。もう一つの手荷物には下着1日分と飛行機内で楽しむ物(本やタブレット、ヘッドフォンなど)を入れました。
ちなみに帰りの便でロストバゲージが起きましたが、カメラ機材は手荷物で無事でした。
3イエローナイフの気候
2024年1月8日にイエローナイフに到着。
当日のイエローナイフの街中の気温は-30℃程度、観賞場所のオーロラビレッジは-37℃でした。ガイドなどでは-30℃とか書いてありますが、-40℃を下回ると思っていた方が良いです。
並のカメラだと-40℃ではバッテリーが即死です。何か対策を練らないとダメです。
また、メガネが異常に曇ります。ってか呼気で凍ります。メガネだと見えないと思った方が良いでしょう。せっかくオーロラを見に行くんですから、万全の体制を取りましょう。ここはコンタクトレンズ必須です。カメラがあっても無くてもコンタクト必須です。
4防寒対策
衣類については、オーロラビレッジ事務所でレンタルしてくれるので、素直に借りましょう。とても暖かく-40℃でも平気です。
セットには、厚いブルゾン、厚いパンツ、ミトン型手袋、防寒長靴、フリース製フェイスカバーが入っていて万全です。

中の服装は、自分の場合、肌着の上にユニクロのフリース、その上にユニクロのダウンベスト。下はニッセンの暖パンだけでした。
靴下はプロので買った防寒用の厚めのものを履きました。
手袋はミトン型だと操作が出来ないので、革製で内側がフリースになっているものを使いました。
5オーロラビレッジのシステム
到着日の夜から3日連続でオーロラ観賞を行いました。
オーロラビレッジに向かうときは、ホテルのロビーに20時50分集合。バスが迎えに来て30分ほどでオーロラビレッジに到着します。
オーロラビレッジでは「ピーティー」と呼ばれるテントが待機場所になります。各グループで割り当てられるので、ピーティーの番号と場所を覚えておきましょう。
ピーティーの中ではストーブがあり、暖かく過ごせます。オーロラが出るまでこの中で待ちます。
鑑賞タイムは現地時間の21時30分から25時までです。しかし、1時間半延長することが出来ます。(有料)時間内にオーロラが出なかった場合や帰り際にオーロラが活発になった場合は延長した方が良いです。受付は24時までなので決断はお早めに。もちろん帰りはホテルまで送ってくれます。ツアー客でも対応してくれます。
6機材の解説
持っていって使った物
■必携
①カメラ
②三脚(カメラの台数分)
③インターバルリモコン
④バッテリー
⑤SDカード
⑥充電器
⑦USB充電器
⑧USBケーブル
⑨ビニール袋
⑩工具
⑪LEDライト(カメラのセット用)
■あれば便利な物
⑫L型アルカスイスプレート
⑬モバイルバッテリー
⑭モバイルバッテリー用ポーチ
⑮カメラの外部電源供給ユニット
⑯ノートパソコン
⑰外付けHDD(SSD)
持っていって使わなかった物
①カメラ用防水カバー
持っていけば良かったと思った物
①マスキングテープ
7撮影について
カメラはSONYのα9初代とα7S初代を持ち込みました。
防寒対策は特にしませんでした。防寒用カバーをかけるとピント合わせや設定変更などの邪魔になるし、カバーの透き間から冷気が入るので結局無いのと同じです。
α9については、バッテリーが寒さでやられるとかもなく、普通に動いていました。撮影は21時30分から25時までの3時間半で、念のため撮影開始2時間でバッテリー交換しましたが、残量70%ぐらいでした。さすがプロ機です。オーロラを撮るにはα9お勧めです。ただ最終日に1回だけ内部時計のリセットがかかりました。寒さが原因だと思いますが2日目までは無かった現象です。
α7Sはバッテリーが小さく過去にも寒さで止まったことがあります。今回は純正縦位置グリップにバッテリーを2個積んで試しましたが、撮影開始30分で止まりました。
そのため、「NP-FW50 ダミーバッテリー USB アダプター」とモバイルバッテリーで電源供給しました。2日目以降は最初からこの電源で撮りましたが、2時間以上持ちました。準備しておいて良かったです。内部時計のリセットは初日から3日間とも出ました。

モバイルバッテリーはリモコンと一緒に小さなポーチに入れ三脚にぶら下げました。試しに使い捨てカイロも入れましたが-40℃では効果無し。以降やめました。
撮影設定はタイムラプス動画製作を考え、インターバル撮影しました。
シャッタースピードは2秒、インターバルタイム3秒、F値開放、ISO6400です。これで3時間半連続撮影しました。
この設定だと1時間に1200枚撮影されるので、SDカードもそれなりの容量が必要です。
α9だとJPGを一番小さく+RAWで撮って256GBで3日間持ちました。(1日目1500枚35GB、2日目1700枚39GB、3日目2500枚68GB、計139GB)
インターバル撮影の方法ですが、α9は標準装備なので、設定は簡単です。
オーロラの動きは意外に早いのでシャッタースピードをもっと速くするのも良いかもしれません。高感度特性に優れたカメラならば1秒でも良いと思います。逆にシャッタースピードが5秒とか10秒と言う人もいますが、そうなるとオーロラの動きが速くブレてしまい、もやっとした画面になります。ここは好みで慎重に決めた方が良いです。
α7Sはカメラ内アプリを購入すればリモコンはいりません。
私はアプリを入れていないので、リモコンを使いました。製品名はロワジャパンの「RM-VPR1」です。単4乾電池2本で動きますが、寒さにも負けませんでした。念のため毎日新しいアルカリ乾電池を入れて3時間半持ちました。
その他の設定は、手ぶれ補正OFF、オートフォーカスOFFです。
ピントはマニュアルフォーカスで合わせます。オーロラは上空100km以上に出ると言われているので、星に合わせると良いです。
また、カメラにはアルカスイス互換のL型プレートを装備し、縦位置と横位置を簡単に変更できるようにしました。これは便利でした。
α9には「INPON L型クイックリリースブラケット」、α7Sには「INPON 50mmクイックリリースクランプ+L型クイックリリースプレートセット」を取り付けました。
三脚はManfrottoの190CX3に前述のアルカスイス互換クイックリリースクランプを取り付けました。これに重量級のα9と24-70mmを乗せました。
2個目の三脚はナショナルジオグラフィックのNGTR004TCFです。これは非常にコンパクトで、手荷物に入れることが出来ました。でも、足はカーボン製なので立てるとしっかりしています。価格も1万円ちょっととトラベル三脚としては非常に優秀です。クイックリリースは最初からアルカスイス互換です。こちらは軽量なα7Sとトキナー20mmF2.0を乗せました。
この装備で、オーロラの出方を見てカメラの横位置と縦位置を自由に選べ、撮影がスムーズに行きました。
カメラの設定はピーティー内で全て済ませ、外に持ち出すようにします。暗くて寒い外で設定するのは厳しいです。ピーティー内でしっかり確実に設定し、外ではピント合わせぐらいにしましょう。また一旦外に出るとカメラは二度とピーティー内に戻れないと思ってください。結露が瞬時に凍ってカメラが使えなくなるので。ピーティーにカメラを持ち込むときはビニール袋に入れて、密封しホテルまで持ち帰りましょう。
■コンデジでの撮影
ツアー参加者の中にはコンデジを持って行ったはいいが、設定が出来なくて困っている人がいました。
まずはツアー出発前にカメラの設定を熟知するところから始めましょう。マニュアル設定が出来るか、マニュアルフォーカスが出来るか、事前に星空撮影などで練習しておくことを勧めます。
設定は、画質重視の場合、モードM(マニュアル)、絞り開放(F値1.8とか2.8)、シャッタースピード5秒、ISO感度1600程度。
オーロラをクッキリ撮りたいとき、モードM(マニュアル)、絞り開放(F値1.8とか2.8)、シャッタースピード2秒、ISO感度6400程度。
ズームはいずれも最広角で。
三脚は絶対に必要です。
また、シャッターを押すだけでブレるので、リモコンを使うか、セルフタイマーでの撮影をお勧めします。セルフタイマー2秒があるとシャッターを押した時に出る振動が収まった後に感光するので、ブレの無い写真が撮れて便利です。
8その他
★-40℃の世界では全てがカチカチです。ケーブル類も硬くなるので、注意します。USBケーブルとモバイルバッテリーの接続部分が良く抜けました。マスキングテープなどの非プラスチック製のテープでガチガチに固めた方が良かったです。
★防寒対策のために持っていったカメラの防水カバーですが、カチカチになって使えませんでした。材質を考えた方が良いと思います。
★ノートパソコンとHDDはホテルに帰ってからデーターのバックアップ用です。せっかくのデーターが消失してしまっては取り返しが付きません。クラウドが使える人はいらないかも。
★寒暖差で三脚の足のねじが緩んできました。ホテルで借りようと思ったが無いと言われました。工具は必ず持っていきましょう。
★撮影が終わって室内にカメラを入れるときはビニール袋に入れて、室温に馴らしましょう。入れないと結露を通り越し、いきなり凍ります。気をつけましょう。
★両替ですが、わたしはしませんでした。支払いはすべてカードでOKです。買い物はスー-パーで食料品を買ったのと、お土産屋さんのみでした。
現金を使うとすればホテルのチップみのです。
ホテルの部屋ではカメラ機材は充電などの関係で出しっぱなしだったので、掃除も断りました。なのでチップを置いたのは最終日だけでした。
9カメラ機材以外で便利だった物
★機内で使うまくら。(100均の空気を入れるもの)
★カップヌードル(撮影から戻るとお腹が減る)
★ノイズキャンセリングヘッドフォン(機内で快適に過ごせる)耳がすっぽり入るタイプなら長時間でも苦にならない。私はこの旅に備えて、SONY WH-1000XM3を中古で購入しました。2世代前のモデルになりますが、静粛性は抜群でした。
10帰国について
帰りはロストバゲージをあまり気にしなくても良いですが、やはりカメラを手放すのは危険なので、私は手荷物に入れました。
中でも注意しなければならないのがデーターです。万が一飛行機事故があった場合、脱出するときに荷物は持てません。なので、撮影済みのSDカードとバックアップのHDDは身に着けておいた方が良いです。最悪カメラはまた買えば良いですが、データーは二度と戻りません。データをクラウドに上げておくのも良いかもしれません。
以上思いついたことを書きました。あとは行くしかありません!
なお、オーロラが出るか出ないかはあなたの運次第です。
Good Lack!