
このブログは、2024年6月17日から20日までBYDドルフィンロングレンジを走らせて得られた値とメーカーのWEBで公表されている数値との比較及び実際に4日間使ってみて感じたことを記載します。
移動履歴は、下記をご覧ください。
BYDドルフィンロングレンジで1000km以上走りました(1日目)240617
BYDドルフィンロングレンジで1000km以上走りました(2日目)240618
BYDドルフィンロングレンジで1000km以上走りました(3日目)240619
BYDドルフィンロングレンジで1000km以上走りました(4日目)240620
a.特に良かったところ。
1)運転支援が結構使える!
今回借りている間に約1300km走らせましたが、個人的な感覚では7割程度は「運転支援レベル2」で走らせました。
特に往路は、トンネルの多い山陽自動車道を雨が降る夜間に走らせましたが、トンネルの有無に関係なく「運転支援レベル2」が継続されたので疲労は少なかったです。
2)カメラが充実
最近のクルマでは当たり前なのかもしれませんが、クルマの各所にカメラが標準で装備され、またセンターのディスプレイに映像が表示されます。
ボディとの接触を防げるように映像だけでなく、目標物までの距離が数値で表示されるのでボディとの接触はかなり防げると思います。
b.メーカー記載値との比較
今回数日間借りた目的の1つ、私が普通に走らせて得られた数値とメーカー公表値がどの程度乖離しているかを比較してみます。
1)急速充電比較

「30分間充電量」
今回CHAdeMO充電出来た設備がいずれも15分ブースト機で、30分連続して200A設備で充電出来ていないのと電力量が表示しない設備だったので「参考レベル」で比較します。
山口県周南市「道の駅 ソレーネ周南」(ニチコン製で最大200A放電する15分ブースト機)で30分連続充電。
SOC 9→62%
充電電力量 31.25kWh?
(↑SOC差分と駆動用バッテリー搭載量から計算した仮の値)
「30分充電後 航続可能距離表示」
今回CHAdeMO充電出来た設備がいずれも15分ブースト機だったので、30分連続して200A設備で充電出来ていないので「参考レベル」で比較します。
山口県周南市「道の駅 ソレーネ周南」(ニチコン製で最大200A放電する15分ブースト機)で30分連続充電。
走行可能距離表示 40→296km
「最大充電電流」メーカー記載値200A
今回CHAdeMO充電した「ニチコン製マルチ」「ニチコン製1筐体2台同時充電可能型」「ABB製1筐体2台同時充電可能型」の全てで純正メーターで「85kW」程度表示されていました。
計算してみると 85kW(=85000W)÷200A=425V になるので、メーカー記載値の200Aで充電出来ていると言って良いと思います。
2)普通充電比較

満充電にかかる時間(理論値)として・・・
3kW・・・19.5時間 6kW・・・9.8時間 と記載が有ります。
電欠から満充電までの比較が出来なかったので、1時間辺りで電池残量が何%増加したかを比較します。

3kW、6kWのどちらもメーカー値の約90%でした。
電池の未使用領域、車載充電器のロス等を考えると、妥当な数値だと思います。
3)航続距離比較

航続距離 476km と記載が有ります。
満充電から電欠まで走らせることが出来なかったので、電池残量1%辺りの走行距離で比較します。

福岡市から広島県福山市まで、冷房を使いつつ快適車内で主に国道3号線と国道2号線を流れに乗り、結構な距離を「運転支援レベル2」で前の車に着いていく形で走らせました。
メーカー記載値から計算 4.76km/%、よこよこ実績値 4.66km/%
よって、メーカー記載値との乖離は約98%とメーカー記載値で問題ないと思います。
4)交流電力量消費率(電費)

メーカー記載値は世界基準の「Wh/km」なので、馴染みの有る「km/kWh」に変換して比較します。

市街地、郊外、高速道路の分類はよこよこ主観です。
市街地:実績距離が短いので、比較するには不適当かもしれません。
高速道路:「雨天+深夜+借りもの」なので、80~90km/hでの値です。
ほとんどの区間で「運転支援レベル2」で前の車に着いていく形で走らせました。
全体で見ると概ねメーカー記載値との乖離は無視して良いレベルかな?と思います。
執筆で報酬を得ている方がまとめた
ドルフィンの電費計測記事のリンク も貼っておきます。
c.改善して欲しいところ
2024年6月17日から20日まで4日間借りている間に約1300km走らせて、改善して欲しいと感じたところを列記します。
自動車ヒョーロン家でも気付かないと思われる部分も有ると思います。
それなりにネットサーフィンしてみましたが、少なくとも見かけなかったです。
借りた1台だけの問題かもしれませんし、返却以降にOTAなどで既に改善されているかもしれませんが・・・。
1)ナビゲーション
「地図データはゼンリンです」とのことで期待しましたが、音声検索はおろか電話番号検索も出来ません。
兵庫県内から福岡市内の充電予定スポットを検索しようとしましたが、結構な時間が掛かりました。
写真撮影のためにルート検索はしましたが、ルート編集して経由地を追加する気になれず、ルート設定そのものもすぐに消去しました。
今回の借用中は、android6のGoogleマップを使用してルート検索しました。

たまたま立ち寄ったBYD堺のスタッフさんも「Googleマップの方が使いやすいですよ」と酷評するくらいですし。
「はい!BYD!」と呟けばそれなりに音声操作できるのならば「○○を目的地にルート設定して」と呟けばルート設定できるようにして欲しい。
音声操作は無理でも、せめて電話番号検索は出来るようにしないと現状だとほぼ使えない代物です。
2)各メーカーのCHAdeMO充電設備とのマッチングが不十分
今回借用したのが、最大200Aまで受け付けるドルフィンロングレンジなので、CHAdeMO充電は最大200A以上放電する設備を中心に選びました。
SAやPAに多く設置されているニチコン製マルチ、ニチコン製1筐体2台同時充電可能型、JFE製250A+125A設備、ABB製1筐体2台同時充電可能型、東光高岳製100Aの4メーカー5機種でCHAdeMO充電しましたが、JFE製250A+125A設備でマッチング不良と思われる原因で充電出来ませんでした。
EVの世間的認知が数年前のアーリーアダプターな頃ならまだしもアーリーマジョリティ?とも言えそうな現在だと「トラブルが無くて当たり前」です。
EVに詳しくない層のユーザーが多くなることを考えると「
CHAdeMOマッチングセンター」を活用するなどして「BYD全車種で、どのメーカーのどの機種でも問題なくフルスペックでCHAdeMO充電出来る宣言」を行って欲しい!
3)ONモードが無い。
日産車などは、ブレーキペダルを踏まない状態でスタートボタンを短押しすると、従来のカギを使うときの「ONモード」になり、走行は出来ないものの、ナビやエアコンなどが操作できます。
BYDドルフィンの場合、ブレーキペダルを踏まない状態でスタートボタンを短押しすると「ブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押してください」とエラーメッセージが出ます。
だからと言ってブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押しても充電中等だとエラーになってしまいます。
場所によっては、電柱からでも普通充電できる中国のメーカーなので「充電中に車内で待機する」使い方を想定していないと思われます。
今回のモニター期間中だと深夜のCHAdeMO充電中は車内で待機しましたが、OFFモードしか選べなかったので、充電中に冷暖房が出来ず、ナビ類も操作できなかったので非常に不便でした。
4)幼児置き去り検知(CPD)取説195ページ
これまでにも車内に用事が置き去りにされて死亡した実例が有るので、素晴らしい機能だと思います。
ただ、3)のように充電中に車内で待機している時や冷暖房しながら車内で待機している時に複数回警告音(クラクション)が鳴り響き非常に困りました。
幼児置き去り検知OFFでシステムOFFしても再度システムONした時には幼児置き去り検知ONになるのは良いと思いますが、システムONと同時にセンターディスプレイに幼児置き去り検知ONを継続するか否かを選べる画面のポップアップを設けて欲しい。
5)交通標識認識システム(TSR) 取説180ページ
車両前方のカメラで速度制限の標識を認識したらメーター用液晶モニタに表示されると共に表示速度から5km/h程度オーバーしただけで「ヴィヴィ」と警告音が流れます。
周囲の実勢速度と合っていない時も多く、その時々でON-OFFするのも手間なので、システムONと同時に走りだす前に警告OFFへ設定変更していました。
交通標識認識システム(TSR)OFFでシステムOFFしても再度システムONした時には交通標識認識システム(TSR)ONになるのは良いと思いますが、幼児置き去り検知(CPD)と同じくシステムONと同時にセンターディスプレイに警告ONを継続するか否かを選べる画面のポップアップを設けて欲しい。
6)デイライト(デイタイムランニングライト)取説90ページ
システムONと同時にデイライトが点灯するのですが、これが結構な明るさ。
特に夜間に駐車場に駐車した時だと周囲のクルマに迷惑しかねない明るさです。
夏や冬に冷暖房した車内で待機したい時には昼夜を問わず点灯しないようにして欲しい。
「Pレンジでは点灯しない」や「別途センターのディスプレイで選択出来るようにする」など改善が必要だと感じた。
7)ワイパースイッチ 取説95ページ
日本市場に合わせてステアリングコラムの右側にウインカーレバー、左側にワイパーレバーを配置しているのは評価します。
ただ日本車の場合、一番上がOFFで下に動かすほど、間欠→LOW→HIGHと変化する場合が多いですが、ドルフィンでは一番下がOFFで上に動かすほど、間欠→LOW→HIGHと変化します。
間欠状態からワイパーを止めようと普段乗っている日本車のようにレバーを上に動かしたためにHIGHになってしまい慌ててレバーを下げることが何度か有りました。
8)極低速域のブレーキがカックン
免許取得後30年以上でガソリンスタンドや運送業者でアルバイトも行ったことが有るので、それなりの車種を運転したことが有ります。
協調ブレーキのセッティング?個体差?かは解りませんが、極低速域でブレーキを操作するとカックンとなりがちでした。
私なりに踏み加減を工夫したのですが、要改善に感じました。
9)エアコンが温いかも?
普段使っているアイ・ミーブ、エンジン車のシャリオは新車から10年と28年が経過していますが、定期的にフロンガスやコンプレッサーオイルを交換していることもあり絶好調で作動しています。
今回借用したドルフィンが5000km程度走行車なのですが、オートエアコンのシャリオと比べると設定温度を3℃程度低くしないと同程度の冷風が出ません。
新車でも規定のフロンガスが充填されていないことも多いと聞くので、今回の借用車だけなのかもしれませんがフロンガスが規定量より少ない可能性が有りそう。
10)取扱説明書
多くの機能が有るのは良いのですが、結構分厚い取扱説明書を読んでも設定変更の画面まで辿り着けない場合が複数有りました。
操作が解らない時に読むものであることを考えると役に立っていないと言えそう。
薄い紙を使うなどして冊子の分厚さの増加を最小限にしつつ「誰が見ても設定変更画面まで辿り着ける解りやすい取扱説明書」へ改訂をお願いします。
と色々と書きましたが、基本的な性能は予想以上に良かったです。
「中国メーカーだから大したことない」と甘く見ていると、数年後?に世界地図が塗り替わってしまう危険性すら感じました。
ある方の言葉を借りると「今から約40年前の日米自動車摩擦前夜」に近い状況なのかもしれません。
個人的には「中国メーカーが現段階でこれだけのクルマを販売できるのだから、日本メーカーからも大衆が買える魅力的な軽を含む小型BEVを早期に販売して欲しい!」と大きな声で言いたい!!
最後に自動車ヒョーヨン家出演のテレビ番組のリンクを貼っておきます。
tvk「クルマでいこう!」公式 BYD ドルフィン 2024/2/11放送