ヘリコプター画像がないので、墜落した三浦市の上空の画像を載せました。以下、NHK NewsWEB 16日18時35分より引用します。
16日月曜日午後3時半ごろ、神奈川県三浦市の三崎港近くの埋め立て地に、ヘリコプター1機が不時着し、横転しました。(中略)アメリカ海軍厚木基地によりますと、墜落したのはMH60ヘリコプターで、横須賀基地の原子力空母「ジョージ・ワシントン」の艦載機として、救助や哨戒などさまざま目的で使用されているとのことです。
消防によりますと、乗組員の1人は、「トランスミッションと呼ばれる装置の不良で不時着した」と話しているということで、警察が詳しい状況を調べています。
現場は、三浦市が管理する漁港近くの埋め立て地で、数百メートル離れた場所には住宅が建ち並び、学校や市役所などがあります。(以上、引用終わり。)
ニュースの尺が2分43秒とかなり長いので、NHKもかなりしっかり報道しています。
映像化を見たところ、一般市民のインタビューが、まるでUFOが墜落して宇宙人が出てきたかのごとくのテンションだったのが、驚きでした。
今回、私からの事実確認は3点です。
(1)乗員がケガですんだので何よりです。
(2)不具合の出た機体をコントロールし、住宅地を避けて無人の埋め立て地まで誘導した操縦技術は、評価されてしかるべき事実です。
(3)機体はシコルスキーMH-60シーホークですね。基本設計は海上自衛隊が哨戒、救助機として導入しているSH-60J・SH-60Kと同じです。
私は、三浦市のすぐ隣の横須賀市の海岸沿いに住んでいるので、沖を行く船や上空を飛ぶ航空機は軍民いろいろ見ることができます。
以下は私の見解です。
まず(1)について。軍民問わず、アメリカ海軍であろうが自衛隊であろうが日本の民間機であろうが、墜落してケガ人が出ているような状況なら、すぐに119番と110番に通報でしょう。現場に居合わせた人が驚いたのはわかりますが、宇宙人が出てきたみたいに、「ゴーグルを着けていて表情はわからなかった」とか言ってる場合ではないです。
次に(2)について。ヘリコプターは回転翼が回る状態なら、エンジンが停止しても「オートローテーション」という操縦技術で着陸させることは可能です。今回の不時着はアメリカ海軍のパイロットが優秀だからできたことですし、「住宅地から数百メートル」などと危険性を煽るような報道ではなく、ヘリコプター操縦の専門家のコメントを取って、住宅地を避けて無人の埋め立て地に降りた彼らの技術を誉めるのが当然と考えます。
そして(3)について。シコルスキー・MH-60はUSSジョージ・ワシントンの艦載機として、多数が在日アメリカ海軍で運用されています。また、日本の海上自衛隊のSH-60シリーズは、救難・哨戒任務で大活躍している機体ですから、安定的に運用できることは日本の沿岸防衛と海難救助にたいへん重要です。なので、事故原因が乗員のコメントとして「トランスミッション」というキーワードが出てきたことも重視すべき。こういう事故の際にアメリカ海軍がどの程度海上自衛隊に情報を出すのかは軍事・国防機密ですが、自衛隊のSH-60もしっかり対策して、海上自衛隊の隊員の命を守って頂きたい。
それから、最後に私の意見です。
三浦半島から房総半島の海域は、日本の首都圏防衛の最終ラインですし、普段からMH-60の哨戒訓練飛行コースになっていて当然です。実際、昼間もメインローターひとつで、ロービジ塗装の大型ヘリコプターはしょっちゅう見ます。私は以前からMH-60だろうと推測していました。民間機が飛ばない夜間も低空でタービンエンジンの音を聞くことは、よくあることです。この海域を守るべきは本来は海上自衛隊だと思いますが、横須賀基地が近いこともあり、アメリカ海軍に任せているのが実態でしょう。
最近はあまり報道されませんが、一部のアメリカ海軍の兵士の犯罪、特に性犯罪は憎むべきことです。この点は同じくアメリカ軍の基地を抱える沖縄県と神奈川県は共通しています。
しかし、命を懸けて祖国アメリカを離れ、極東の島国の防衛を任されている現場の士官、兵士には、一定の敬意を払ってしかるべきだと思います。
「お・も・て・な・し」もいいですが、政府高官や、神奈川県知事あたりから、何かしらこういう文脈の「お見舞いの言葉」がでるような日本国になってほしいものです。
追、これは陸上自衛隊のヘリコプター部隊を舞台にした有川浩の小説(書名は忘れしました)に描かれたエピソードです。
なかなか出会いの少ない隊員の縁談がまとまり、結婚式に主賓として呼ばれた隊員の上官のことばより。
「結婚したら、夫婦喧嘩は大いにやってよろしい。ただ、喧嘩の翌朝、出勤するときには、奥様は笑顔で自衛隊員の夫を送り出して下さい。なぜなら、自衛隊員は、いつ命を落とすかわからない仕事です。最期にみた顔が夫婦喧嘩で怒った顔では、お互い辛いし、残された奥様はきっと後悔するでしょう。よろしくお願いします。」
一部、有川氏の表現とは異なるところがあると思いますが、そこはご容赦下さい。
命を懸けてやる仕事は、警察、消防、自衛隊がまず挙げられますが、私も含めて一般市民もほんとはいつ命を落とすかわからないんです。だからこそ、かつての日本人は「武士道」の心得の一つとして「生きることは、死ぬことと覚えたり。」と表現したんですね。
私も、40歳にしてようやくこの言葉の意味がわかってきた気がするこのごろです。
上記画像はGoogleから。海上保安庁のアエロスパシアル・AS332シュペルプーマです。この機体も三浦方面に飛んで行ったので、「これは何かあったな。」と思っていました。海保のヘリの中でも大型機ですので、目立ちますね(12/23追記)。
Posted at 2013/12/18 07:23:33 | |
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