サムネイル画像は、学校ではなく情報カードの画像です。
さて、昨日の朝日新聞デジタルや産経新聞によると、中核派が指導する京都大学のバリケードストライキを、大学当局の要請で京都府警の機動隊200名が出動し、活動拠点の寮(熊野寮)にも捜索が入り、逮捕者も出たようです。
まず私の投稿の主旨を述べます。
必ずしも全面的に過激派学生のバリケードストライキを支持するものではありませんが、一方で大学当局の公権力への依存すなわち警察や自衛隊などの公安、治安維持のための機関との連携は支持しません。
公権力との付き合い方を判断するのは大学の主役たる学生と教員であり、国立だからといって文部科学省につながる大学当局ではありません。
在学中の学生のときは、公権力との向き合い方として過激派のあり方もいろいろな考え方のひとつとして受け入れる、という立場でした。今も変わりありません。
以上です。
さて、私が在学中(20年以上前ですが)、一度だけ自衛隊の海外派遣反対を標榜したバリケードストライキ(以下バリスト)がありましたのでそのエピソードをご紹介します。当時関西でもすでに学生運動は廃れ、大阪市立大学と京都大学にしか過激派はいない、と言われていました。
講義はほとんどの教員が自主的に休講にしましたが、生物学の先生が講義を強行しました。勉強したくて出席している学生にとっては、「なかなか骨のある先生やな」と、株が上がりましたね。
でも講義室に突入してきた過激派学生数名に、お神輿というか丸太のようにというか担ぎ上げられて、排除されてしまいました。で、結局のところ講義は中止に。。。
京大は当時、ほとんどの先生が出席を取らないので、その先生の講義が好きで勉強しにきている学生ばかりが教室にいます。なので出席しているだけで私語がうるさく、講義を邪魔する輩には、私自身も何度か不真面目な学生に厳しく注意して教室から出ていってもらったことがありました。このような雰囲気はどんな講義にも共通していて、先生の講義を、受講する学生が自主的に学問に集中する場として維持しているという自負もありましたね。
しかし、バリストに対しては少し違う考えのもとに対応していました。過激派といっても見た目はさておき中身は自分と同じ学生、彼らの主張もある程度は理解できましたし、彼らなりのバリストという行動を尊重しようと思いました。自主的に講義を休む先生たちも多かれ少なかれ同じと思いはあったのでは、と推測します。
なお、生物学の先生が排除されたクラスで私のとった行動は、過激派学生のアジ演説はとりあえず聞き、話がすんだら講義もない構内からいかに脱出するか、を考えました(彼らの論理は破綻してるんで言いたいことは山盛りでしたが、下手に質問でもしようもんならスカウトされてしまいます)。
当日行動しているのと違うセクトの学生(ヘルメットの色が違う)のいるエリア裏口に行くと、予想どおり「ウチは今日は関係ないからね・・・」と、ゲバ棒を持ったお姉さんがすんなり通してくれました。
バリストというやり方は当時も積極的には支持しませんでしたが、大学構内でしかやらないという暗黙の了解がありましたし、設備が壊されたりケガ人が出ることもなく、1日すぎれば翌日からは何事もなかったように講義が始まるので、統制は取れていた。だからこそ、ある程度普通の学生にも受け入れられていたと思います。
大学当局も、当局から警察に出動要請をすることはなかったです。京都府警は事前に情報をつかんだ公安の私服警官が、何日か前から大学周辺に増えてきて、当日はジュラルミンの盾を持った機動隊が過激派が掌握しているエリアの外壁だけを取り囲む、そして出入りしようとする学生が過激派学生ともめたら、そこで警官隊が介入するというやり方でした。
ある意味「出来レース」ですね。
でも、過激派のバリストという活動、介入しない大学当局、それから構内には入らない京都府警、というバランス感覚のもとに、「大学の自治」が守られていたんだと思います。
今回の件の報道は、朝日新聞ですら「講義がなくなり迷惑なのでうざい。やめてほしい」という女子学生のコメントだけを載せていたので、まさに隔世の感があります。
当時を知る私には、
「大学って、勉強しに行くだけのとこじゃないんだよ。」
と教えてやりたい気分になりました。もちろん身に危険が及ぶのはまずいので危機管理できるのが前提ですが、いろいろなことを体験できるのが「大学」であり、大学構内という「場」だと思うんですよね。
産経新聞は、といえば、「一般学生がバリケードを撤去したのは象徴的」とする公安関係の有識者?コメントを載せていましたが、私に言わせれば「ほんとに一般学生が撤去したのか?裏付けがなく疑問」です。
追 あとから気づいたのですが、朝日新聞も「一般学生が・・・」のくだりを記事にしていました。これが事実なら、私の知っている自由な学風が変質してしまっているということになり、まったくもって残念でなりません。
もと「うざい」リベラル学生のひとりごとでした。。。
Posted at 2016/03/01 10:39:59 | |
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