![実録「どぶろっく」33 実録「どぶろっく」33](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/047/643/173/47643173/p1m.jpg?ct=175aa9f005cf)
自験の「実録」を「どぶろっく」バージョンでご紹介します。
学生時代、テニスの練習が終わると、ほどなくして、海溝のような深い空腹感に襲われていました。いったいどれくらい食べれば収まるのか、自分でも見当がつかないほどだったのです。
この危機を救ってくれる定食屋がいくつかありました。ご飯お替り自由、あるいは大盛無料というのが一つの基準ではありましたが、おかずの量も欲しいところでした。この両条件が揃うと、通い続けることになりました。
店の名前は、失念しました。というより、元から店名を認識していませんでした。店主が、登山家のような逞しいヒゲ面の方でしたので、「ヒゲオヤジのところ、行こうぜ」という感じで、いつも会話が成立していました。それが店名代わりになっていたのです。
「ヒゲオヤジ」は、こじんまりした店でしたので、メニューは数種類しかなかったと思います。
「いらっしゃい」
「ジャンボ焼肉定食3つでお願いします」
「はあーい、じゃんぼう」
着席後も、ほうぼうから同じ注文が入り、「はあーい、じゃんぼう」という野太い声が響き渡ります。あるとき観察してみたのですが、10卓すべてジャンボ焼肉定食が並んでいました。
「はあーい、じゃんぼう」
「はあーい、じゃんぼう」
「はあーい、じゃんぼう」
注文を受けるときだけでなく、卓に料理を出す際にも同じ掛け声でした。
なので、断続的に同じ言葉が繰り返されていました。誰一人、普通盛りはいませんでした。
あるとき、同伴の友人が、「トイレどこですか?」と店主に訊ねたことがありました。
まさか!
そのまさかの展開となりました。
「はあーい、じゃんぼう」と言いながら、左腕を伸ばし、店の奥を身振りで示していました。
偶然、注文が入ったタイミングと重なったという説もありましたが、間違いなく、「はあーい、じゃんぼう」という答えでした。
後年、「ピザピザピザピザ」の言葉遊びが流行り、私の中では、あのとき、ヒゲオヤジは言い間違えたのだという見解に至っています。
実録は、以上です。
ここで、「どぶろっく」師匠の登場です。
――もしかしてだけど、桃子と俺の新婚旅行で乗る大型の飛行機も、そうなんじゃないの~。
愛の大きさもです。
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2024/04/20 08:07:42