
先日の全英女子オープンゴルフで、渋野日向子選手のプレー中の態度が国際的な称賛の声を浴びていました。痺れる優勝争いをしていても、相手の際どいパットを一緒に悔しがる仕草に、スポーツマンシップの心魂があるという内容でした。
翻って、私は、一度だけ、誓ってたった一度だけですが、同伴者のミスを心から祈ってしまったことがあります。
15年から20年物くらいの古い話です。エスティマに乗っていた入社年度で4つ上の先輩がいました。あるとき、この方から、プライベートのお誘いを頂きました。8人で予定していた同期会を兼ねたゴルフコンペに1人キャンセルが出てしまったそうなのです。4人、3人の2組でもプレーはできるのですが、予約条件等の諸事情で協力して欲しいとのことでした。
当時からエスティマの収容能力は、驚異的でした。コンペ参加者全員の送迎がほぼできてしまうほどでしたので、先輩の自宅まで行けば、あとは往復の足の心配が霧消します。
行き先は、エスティマの先輩が正会員の名門ゴルフコースでした。キャディの力量にも、それを感じさせるものがありました。スタートして3ホール目の途中には、私の飛距離と攻め方の好みを完全に把握していました。
同伴者の古谷さん(仮名)だけは、悪戦苦闘されていました。たまにしかゴルフをされない方なのですが、それにしても調子が出ない感じでした。前泊して猛練習されたそうですし、120くらいではラウンドできる方だと聞いていました。
なのに、終始3番アイアンを握りっぱなしで、残り100ヤード以上では、それ一辺倒になっていきました。打球がまったく上がらず、ゴロ連発です。ロングホールで全員がドライバーを手にしているのに、古谷さんの打順がくると、キャディが「もう一丁いくかい?」と3番アイアンを手渡していました。結果は、いい打球音を発しつつも、またしてもゴロになってしまいました。
問題は、次のショートホールでした。125ヤードのため、多くのプレーヤーがPWか、9番アイアンで迷う場面です。キャディが、4人分のクラブをバッグから抜いて持ってきました。私には、PWが手渡されました。
判断が難しいのは、絶不調の古谷さんです。まさか、と思いきや、そのまさかをキャディが実行しました。「もう一丁いくかい?」と言いながら、3番アイアンが手渡されました。芯を食えば200ヤード近く飛ばせるクラブです。グリーンの奥は、次ホールのティーグラウンドになっており、人の姿が見えています。一番恐れたのは、ハーフトップと呼ばれる低い弾丸ライナーになることでした。
「お願いだ。芯に当たらないでくれ」と念じながら、古谷さんのティーショットを見守っていました。そろそろ当たりが出る頃なのではないか、と心配でなりませんでした。
結果は、ゴロでした。
Posted at 2022/08/10 12:07:07 | |
トラックバック(0) | 日記