
Taycanを体感ブログでコメントのやり取りがあり、
ブレーキとは何ぞやを、まとめてみようと思いました。
Taycanの21インチのホイールに収まる、PCCBブレーキ。
ポルシェ、セラミック・コンポジット、ブレーキの略です。
これ、最強に効く!!!って誰もが思いますよね。
でも、ブレーキが効くって何だろう?を書いてみます。
タイトル画像は、私のGTRのブレンボです。まあ、これはこれでデカいんですよねw
でも、日産で最も強い効きかというと、それがそうでもないんです。
というのは、単純に効き最強というと、これなんです。
ドラムブレーキ!!!
車を勉強した事がある人には、当り前の話なんですけど、まあコレ本当です。
というのは、効く事と、同じ効きを維持するって、これが実は別の性能なわけです。
なので、まず銀河系最強のドラムブレーキが、なぜ最強なのかという理由を説明します。
AKEBONOブレーキのサイトからパクってきた画像に、絵を描いてみた。
ドラムブレーキの作動として、左右2つある茶色のブレーキシューが、黄色の丸を支点に
赤い矢印方向に広げられます。その時、外側にある黒いブレーキドラムは青矢印方向に回転。
そうすると、何が起きとかというと緑☆の位置で、ブレーキシューがドラムに、めり込みます。
この作動のイメージが非常に重要で、このめり込む感じ分かりますかね。
どうも分からんって人は、もっとシューの気持ちになって!w
青矢印の方向に回転してきたドラムの内側にシューの角が、押し付けられるイメージです!
これが、ドラムブレーキのキモである、セルフサーボ効果って言います。

このセルフサーボでドラムブレーキって、きっかけを与えると、勝手に限界まで効くんです。
これって、ドリフトでサイドブレーキを引いたことがある人は分かるはず。
シルビア系はパーキングブレーキがディスクで、相当初期から効くパッド交換が必須で、
スカイライン系のドラムインディスクのパーキングブレーキがドラムのクルマは、
特に手を加えなくても、サイドブレーキがガッツリ効いて、リアタイヤのロックを体感したはず。
そうなんです。これです。
ドラムブレーキは、簡単にタイヤがロックするぐらい効くんです!
というか、効けば効くほど効くので、コントロール性が悪い。それぐらい効く。
間違いなく、このTaycanのPCCBは、タイヤがいきなりロックするほど効きません。
というわけで、効きはドラムブレーキ以下なんです。悲しい現実。車買えるぐらいの値段なのにw
じゃあ、なんでドラムブレーキはポンコツのイメージかというと、銀河系最強の効きを、
繰り返しの作動があった場合、維持できないんです。熱がこもるとヘコタレてしまうw
というわけで、効きの次に、効き続ける、効きを維持する性能を見ていきましょう。
ブレーキって運動エネルギーを熱エネルギーに変換する熱交換器です。
というわけで、効きはドラムブレーキが最強というのは説明した通り。
では、繰り返しブレーキを作動させても、1回目の効きを繰り返しても維持する為に重要なのは?
それが、ブレーキに必要なもう1つの性能である、熱容量なわけです。
これが足りて無いのでドラムブレーキは、効き最強、でも効き続ける事が出来ない・・・
そこで、ディスクブレーキが登場するわけです。
効き続けるブレーキとは、どんなブレーキかというと・・・
熱を蓄えるブレーキローターの容積が大きければ大きい程良いのですよ。
熱容量は容積に比例します。
例えばニュルブルクリンクで、とんでもないラップタイムで周回しているという事は、
とんでもなく速度を出すという事で、同じぐらいエネルギーを熱に交換して減速が必要。
それが、300km/hからのフルブレーキだったり、下り坂での減速だったりする。
それを繰り返し、繰り返し、繰り返すわけですw
その繰り返しで発生した熱を、丸っと呑み込めてしまえば良いのです。
だから、ハイパフォーマンスカーのブレーキローターは大径で厚いんです。
その心は、容積の為だったんですね。
なので、銀河系最強のブレーキを目指すには、とにかく大径で厚いロータ!これなんです。
でも、自動車の運動性能を考えた場合、バネ下は軽い方が良いんだぜってのは、
車好きの人であれば、聞いた事があると思います。
これ、自動車の性能にはありがちなんですが、ブレーキの性能と運動性能は両立しない・・・
そこで、ポルシェのPCCBであり、GTR NISMOのNCCBという、セラミックコンポジットの、
大径で厚さがありながら、鋳鉄よりも軽量なブレーキロータが存在するんですねー。
あのTaycanの21インチのホイルにパツパツなサイズの鋳鉄ロータは、現実的じゃないと思うw
もちろん、質量を無視して、作れるかor作れないかで言えば、作れるけど。
あと、もう1つPCCBの利点があった。それはロータの熱ひずみが少ないという事。
鋳鉄ロータの断面を見ると分かるんですが、どうしても内外のバランスが悪い。
なので、熱が貯まると倒れて、バッドに接触してしまい、さらに温度が上がる原因になる。
6/22追記
倒れはフローティングの構造で回避できたので、倒れは間違い。
ベンチレーテッドの構造で繋がってる部分と、繋がってない部分の差ですね。
熱膨張の差で凸凹に波うっちゃうという感じ。
だから、PCCBが鋳鉄ローターより優れているのは、比重が軽いので同じ熱容量なら軽量になる。
絶対的な効きという意味では、軽量で遠慮なく大径に出来る分でモーメント分は有利。
そんな感じで、PCCBだから効くというものでもないんです。
軽量だから大径に出来るから効くのであり、効きは大径によるモーメントスパンの恩恵です。
やっぱり、効き最強はドラムですw
そして、最終的にブレーキ性能はタイヤのグリップ力が限界なんです。
相対的な性能と絶対的な性能があり、意外とその辺がごっちゃになって片手落ちってあるよね。
とんでもないブレーキキットに交換してインチアップしたけど、タイヤは・・・とかw
この辺を踏まえて、ブレーキが重要なのか、タイヤが重要なのか、考えてみるのも良いかも。
本当はトランスファーフィルムとかも書いてみようと思ったんですが、長くなったので終わり!
