国土交通省が実施したいわゆる「自動ブレーキ」の各社の試験結果が公表されました。
総合スコア1位は、ここ数年の最高スコアの常連であったスバルのアイサイト勢を抑えて、なんと マツダ アクセラでした。
最新のEyeSight バージョン3を搭載した スバル レヴォーグに乗る自分としては、ちょっと 悔しい結果です。(もちろんスバルファンとしても)
一応スバルをアピールしておくとスコア1位はとれなかったものの、各車 最高評価を獲得しています。
複数車種で最高評価はスバルだけです。設計が若干古いエクシーガを除き、それ以外のアイサイト搭載車種すべての車種で最高評価と言えます。
インプレッサ、レヴォーグ、レガシィは全グレードにアイサイト搭載しているなど、安全性への取り組みに積極性と一貫性があり、それはそれでとても素晴らしい成果だと思います。
【JNCAP2016】スバル、アイサイト搭載4車種が予防安全性能で最高ランク獲得
アクセラのことは、いろいろ記事があるので、そちらにまかせることにして(;''∀'')
同じEyeSight バージョン3を搭載した 新型インプレッサ と 自分が乗るレヴォーグでもスコアに差があったので、その差を掘り下げようと思います。
自分の乗るレヴォーグのEyeSightの性能限界を正しく理解したいですよね。
今回の試験から初めて「対歩行者自動ブレーキの評価」が加わりました。
対車両の自動ブレーキについては、
実体験(ピピピピピッ、ピーー! EyeSightが緊急制動!)もありアイサイトの素晴らしい性能と効果はすでに体感していました。
アイサイトが対歩行者でどこまで高性能ぶりを発揮するのか?が気になっていました。
EyeSight3搭載車は、対歩行者以外の対車両の各試験項目は満点でしたので、このブログでは対歩行者の試験結果にフォーカスします。
対歩行者試験 スコア(25点満点)
インプレッサ22.9点
レヴォーグ 22.5点
対歩行者試験は、遮蔽物無しと遮蔽物有りの2種類で構成されています。
遮蔽物無し
遮蔽物有り
対歩行者 遮蔽物無し試験(CPN)
まとめ
・インプレッサ、レヴォーグともに試験速度15-55kmk/hの範囲で横断する歩行者に衝突せずに停止することができる。(試験は各速度 2回連続停止)
・インプレッサ、レヴォーグともに試験速度 60km/hでの試験の場合は、停止しきれない。
・60km/hの試験において、レヴォーグの方がわずかに速度低減率が高い
インプレッサ衝突時速度 3回試験(8.2km/h、37.4km/h、19.0km/h)
レヴォーグ衝突時速度 3回試験(17.8km/h、10.0km/h、14.2km/h)
インプの37.4km/hは誤差といかエラーの類かもしれません。数値が違いすぎると思います。
必ずしもレヴォーグがわずかに優れているとは言えなさそうです。
対歩行者 遮蔽物有り(CPNO)
この試験は遮蔽物無し(CPO)と比べて、歩行者発見→状況認識→制動→停止までの一連の迅速性を測るものと言えそうです。
そして、この遮蔽物有り(CPNO)試験結果に、インプレッサとレヴォーグの違いが如実に現れていました。
まとめ
インプレッサ
25-35km/hの試験速度で停止できる
40-45km/hの試験速度では停止しきれない。速度低減率は高い。
レヴォーグ
25-30kmhの試験速度で停止できる
35-45km/hの試験速度では停止しきれない。速度低減率は高い。
ここで停止できる速度の高さに差が出ています。
インプレッサ 35km/hに対して、レヴォーグ 30km/hです。
また、停止しきれない場合、同じ車速であっても、インプレッサの方が総じて速度低減率が高い(衝突時の車速が低い)です。
これがスコアの差となっていました。
結論
同じEyeSight バージョン3であっても車種により性能に違いがある。
念のため補足すると
EyeSight バージョン3のスバル公表スペックは、対歩行者だと速度差35km/h以下です。
遮蔽物無しの視界であれば、余裕でこのスペックがあることを証明しています。
条件が異なると思いますが、遮蔽物有りの方が公表スペックに近いですね。
車種ごとの違いはカメラの光学認識、ソフトウェアのアルゴリズム、システム処理速度による障害物認識、ブレーキ性能、タイヤ性能、車重など、様々な条件が重なってのものだと思います。
単にプログラムをアップデートすれば、レヴォーグの一連のEyeSightプリクラッシュブレーキ性能が高められるとは言えなさそうです。
最後に
今の技術の限界と言えるかもしれませんが、レヴォーグのケースで言うと、対歩行者の場合に遮蔽物無しでは55km/h走行時でも停止までいけるのに対して、遮蔽物有りの場合は停止できる速度は30km/h走行時とそこまで高くありません。
天候や太陽光の状況、歩行者の服装・背丈などの状況でも結果は違いそうです。
慢心はいけませんが、ある程度の性能把握はこれでできた気がします。
EyeSightはとても頼もしい運転支援システムではありますが、極力お世話にならないように日々運転したいですね。
以上、まとめで長い文章になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございまいた。
このブログがアイサイト搭載車種に乗るみなさんのさらなる安全運転の役に立つうれしいです。
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以下参照した資料とデータ
用語・試験内容
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/data/h27_sankou3_7.pdf
CPN(Car-to-Pedestrian Nearside)
試験自動車の進行方向に対して試験用ターゲットが左側から横断する試験シナリオをいう。
CPNO(Car-to-Pedestrian Nearside Obstructed)
試験自動車の進行方向に対して試験用ターゲットが左側から横断し、その手前に遮蔽用車両を設置して行う試験シナリオをいう。
AEBS(Autonomous Emergency Braking System)
衝突被害軽減制動制御装置
自動車が横断歩行者との衝突を回避又は衝突速度を下げるために自動でブレーキを操作する装置をいう。
FCWS(Forward Collision Warning System)
横断歩行者との衝突の危険性に応じて運転者に制動操作を促す目的で提供される、聴覚及び触覚・視覚情報を用いた警報をいう。
データの参照元(NASVA公表の試験結果)
試験結果詳細 インプレッサ
http://www.nasva.go.jp/mamoru/pdf/pdf_active_safety_103.pdf
試験結果詳細 レヴォーグ
http://www.nasva.go.jp/mamoru/pdf/pdf_active_safety_95.pdf