このブログは「
ハチロクを巡る、きつねのたわごと。」について書いています。
このクルマを手に入れるほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる。
(ユーノスロードスターNA6CEカタログ巻頭より)
スポーツカーこそ分かり易いコンセプトが必要に思う・・・単純であればあるほどいいのではないか?(ナベエ的考察)
紺之介氏のブログを見ながら、やっぱり86/BRZのコンセプトにモヤモヤが残り、万歳三唱なジャーナリストにも「誰か本気でダメだしするジャーナリストは居ないのか?」と思う今日この頃・・・・
多分に自分の戯言を我慢しながら見てくれている方々の中にはこの2台に乗った方も居ると思いますが、単純にお聞きしたいのは「どうでしたか?」
もう御存知の方も多いと思いますが、自分がこの2台に試乗して思った事・・・試乗コースでは全く楽しくなかった・・・
この2台の見ている速度領域はいったいドコなんだろうか・・・
そしてこの疑問を自分の中で解決出来ないので、著名ジャーナリストのブログに投稿してみました。
「この両車が楽しい/ドライバーと一体感が有る・・・と感じる速度域というのはどの辺りなんでしょうか?」・・・と
その答えを要約すると
・現実的に最高速度は240Kmオーバー(なので260Kmまでの表示が有る)
・世界的市場をマーケットと考え、価値観で言えば本場といわれる欧州の価値観に対峙し負けないことがスポーツカーとしての存在感を保つ最優先課題。
・86BRZ(米国ではFR-S)をポルシェやフェラーリと同質の『スポーツカー』として捉えないと、違和感の増大は免れない
・60㎞/h近辺でのエモーション。その領域ではごく普通の乗用車として作られていると見てよく、そこの乗り味はコスト縛りによるものとみて良い。
・エンジン回転数で言うと、5500rpmあたりからトップエンドまで回した領域の感覚にこのクルマのスィートスポットがあるとみていい
・・・という事でした。
なるほど・・・こういうコンセプトでしたか。
でも、それは分かり難いですよね?
そして、
日本の道と人は全く想定外と考えて良いのですね。
某ブログの通り、この車が見ている先は日本の道・人が想定されてない事は非常に残念です。
ポルシェやフェラーリという世界ブランドを相手にする価値観・潜在能力を持たせながらも価格が安い・・というチグハグさが、この車を日本の一般道で走らせた時の「乗り味の薄さ」をもたらしているんじゃないか?と思っています。
時速60㌔辺り迄のフィーリングはそこらのトヨタ車と同等で、5000回転辺りから上の領域が楽しめる領域。低速のフィーリングが薄いのはコストの縛り・・というなんか分かるようで疑問の有る設定。
世界ブランドを確立したいなら、レクサスの「F」のイチ車種で良いんじゃないの?と思う訳です。
多分に・・いわゆる911のようにRSやGT3のような発展性を持たせたいのかもしれません。
これはTRDのバーツを見ればスピード領域の高いフィールドで真価を発揮するものばかり・・つまり市販車は一見は安くて庶民的なアピールが有るものの、中身は「上からトヨタ」・・特に日本の道にマッチした仕上がりでは無いと感じます。
しかしながらスポーツカー全てがそうなのか?といえば、実際に911(997しか乗ってませんが)に乗ると低速域でもダイレクト感がちゃんと有り、操る感覚に溢れているんです。
スポーツカーを普通車と同じ目線で乗り、評価するなという意見がありますが、911は基本4座であり、通勤にも使えるハイパフォーマンスGTで有る事は皆が認めるところだと思います。
スポーツカーでありながらも実用的である・・・低速から高速まで操る喜びに溢れ、ドライバーがムチを入れれば絶対的な性能でそれに応える懐の深さ・・その哲学というか頑固さが自分がポルシェに憧れる理由です。
操る喜びというのは、「演出」という要素も必要かと最近思います。
動的・・・躍動感とか楽しさは演出の部類に入ると思います。
ロードスターや911はこの演出が上手いと思います・・・・乗った事は有りませんが、スーパーセヴンもそうだと思います。
あの日・・・自転車に初めて乗って前に進んだ日、補助輪が取れて2輪で漕げるようになった日、ラジコンのプロポを前進に倒した時、バイクのアクセルを開けた日、車のアクセルを踏んで前に進んだ日・・・
自分で動かして進んだという感動・・・あの感覚はもっと単純ではなかったのか?
それが操るという事の根本じゃないのか?
様々な速度域でソレが変化するのであれば、それは操るのではなく、操られているだけじゃないのか?
どんな速度域であれ、操っているという感覚に溢れるのがスポーツカーの本来の姿じゃないのか?
値段や性能じゃ語れない部分もスポーツカーに有って良い要素じゃないのか?
スポーツカーってそんな単純なココロを持った中に存在するモノだと思いますし、紺氏が言う・・・スポーツカーにヒトが求めるものは、「日常に添えるサプライズとエモーション」だと思う。
という言葉は正にその通りだと思うんです。
日常を非日常に変える事の出来るマジシャン・・・仕事帰りにホっと出来る、チョット遠回りして帰りたくなる・・・そんな存在であり、これも「演出」と思います。
そしてデザイン・・・子供目線(コレ大事でしょう)で一目見てカッコイイと思えばソレでも良いんじゃないかと思うんです。
勿論、美しさも必要です・・・フェラーリやアルファロメオ、マセラティ・・・ガレージに入れて鑑賞出来るような美術的な美しさ。
因みに、自分はトヨタ2000GT以上に美しいと思うトヨタ車は今だ有りません。
次点はスポーツ800です。
そう、憧れるという事の演出・・・高価で高性能の象徴は「いつかはあんなのに乗りたいな」という憧れも抱かせるのです。
演出・・・自分では86/BRZには演出が足りないと思います。
それは哲学でもあり、開発陣の顔が見れる事でもあり、頑固さでもあるのです。
アノ車が目標、アノ車と同等の価値観を200万円台で・・・何を追い求めるのですか?
目標となる車を取り払った後に残る「本当の価値観」ってのはこの車のどの部分ですか?
尻を追い続けるだけじゃ見えて来ない事もあるんじゃないですか?
折角出てきたのに、全く人間を理解していないんじゃありませんか?
数値だけが重要なんですか?
この車でしか運べないもの・・・
この車でしか味わえないもの・・・
この車が運んで来てくれる人・・・
この車で走ってみたい道・・・
例えば、ジープのように悪路を走る・・・という単純なコンセプト。
トラックのように荷物を運ぶという単純なコンセプト。
単純明快であり、良い物にリクツは要らない・・・と思います。
この車で走ってみたい日本の道が有る・・・そして多くの日本車に願いたい・・・
日本の道をもっと走り込め、日本の道をもっと理解して欲しい・・・と思うのです。
これが自分の現時点でのスポーツカー論です。
長々とお付き合い下さりありがとうございました。