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もう２０年以上も前、
ようやく自分の稼ぎが ちゃんと飯を食っても月々で少しお金が残るようになった頃、
革ジャンが欲しくなった。
それは、
学生の時に買った１万円くらいの 革風 ではなく、ちゃんとした品。
肩を動かしただけで ギシッ と音がする防具の様な品ではなく、しっとり柔らかな品。
ファスナーで前を閉める防寒具の様な品ではなく、ボタンの ハラッ と羽織れる様な品。

不定期に探して回ったけど、なかなか発見することができなかった （－＿－
ついに見つけたそれは、少し残るようになった とは言っても 予算オーバーに思えた。
これを買うくらいなら ＢＳポテンザ４本買って それと ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも買ってしまった。

それからは、ずっと羽織っていた。
１０年経たない頃、裏地が擦れて ほつれ てしまった。 胴と腕をつなぐ部分と 裾部の一部。
自分で修復する技術も無いし、( いい歳して ) 北海道の母親に送って頼むというわけにもいかないし、頼める器用な彼女もいなかったし、修復をしてくださるお店を探したけど見つけられなかった。
部分的な ほつれ が広がってしまうことを恐れて、一時だけのつもりでクローゼットに保管した。
そのまま数年。 思い出しはしても、修復はかなわなかった。

北海道に戻って札幌での １年間の団体職員時代。
ＪＲ札幌駅周辺に それっぽいことを掲げたお店があったので持ち込んでみたが 断られた（＝＿＝；
ほぼほぼ門前払い。
部分修復が難しければ、裏地の全とっかえでもＯＫだと頼んだが、何故か断られてしまった。


そして現状。
町内会のメンバーに 繕いもの 引き受けます との張り紙を玄関に貼ったお店がある。
カッコよく言えば、テーラー？　それとも 仕立て屋さん？
ご近所のよしみで頼んでみた。
あまりな爺様なので 大丈夫かしら・・・・・ とも思いながら 革ジャンを持ち込んでみた。
それが 初冬のこと。
「 雪が降る間は着れないから、春まででＯＫですから 」　と言って渡してきた。


１月に電話がきた。
「 裏地を全とっかえすると何万円もするから、繕うだけにしないか？ 」　とのこと。
それでお願いしますと伝えた。

２月にも電話がきた。
「 裏地を全とっかえすると何万円もするから、繕うだけにしないか？ 」　とのこと。
それでお願いしますと伝えた。
軽いデジャブ（ ￣▽￣；

今月になってからも電話がきた。
「 裏地を全とっかえすると何万円もするから、繕うだけにしないか？ 」　とのこと。
それでお願いしますと伝えた。
ただ今回は さらに、
「 同じ裏地の生地が今はもう在庫が無いんだよな。だから繕うだけにしないか？ 」　と。
あれっ、つい数秒前にも ほぼ同じことを聞いたけどな。
もう一度、それでお願いしますと伝えた。
そしたら、
「 うん。裏地を全とっかえすると何万円もするからさ、繕うだけにしないか？ 」　と。
もう一度、それでお願いしますと伝えた。


これはもう、革ジャンは一生 戻ってこないかもしれないな。
まぁ、仕方がないよね。 その時は あきらめよう。。。。。


そして昨日、電話がきた。
「 hisaoさん？　できたよ 」
誰だ？ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ あ～、この声はもしかすると・・・
「 革ジャンですね？ 」 と聞き返すと
「 そう 」 とのこと (笑
「 お幾らでした？ 」 と問えば、
「 ３千円 」 とのこと。
「 ありがとうございます、随分と安いですね 」 と返せば
「 裏地を全とっかえすると高いから # & % $ ; + : : 1 $ = | " $ # & 」 後半は何語だ（＾＿＾？
「 ありがとうございます、これから取にうかがいます 」
と電話を切った。
が、時刻は午前１１：５５。 いいのかな？　すぐに行ってもいいのかな？？
行くって言っちゃったもんね、いかなかんよね。。。

歩いて数分。 お店の戸を開けて
「 ごめんくださーい、電話いただいた hisao ですー 」 と大きな声で店の奥を呼んだ。
奥から 口を反芻 ( はんすう ) するかの様に動かしながらご主人が出てきてくれた。
私の革ジャンを手に 繕いの説明をしてくれるが、
口からご飯粒が 私の方へも飛んでくるし、手にした革ジャンの上にも落ちる （＝＿＝
遮ると話が長くなって被害が広がりそうなので、そのまま聴く。。。

３千円をお渡しして、店を出た。
革ジャンを バタバタと煽って 米粒を飛ばし、ティシュで仕上げ (笑
家へと歩きながら、裏地を見る。
擦り切れかけた裏地のままだけど、ほつれは綺麗に繕われている。

革ジャンの両襟口を掴んで 背に放り回して両腕を通した。
軽い、柔らかい。
懐かしい、十数年前のままの着心地。
ついに 復活（＾＿＾ｖ