つい先日、TV観たらこんなのやってました。↓
ディズニーマニアのクイズ番組?。
結構いるもんなんですね。
ディズニーマニア。ミッキーマニア。
ミッキーマウスってもう90歳位じゃないの?
それが今でも人気あるのがスゴイ。
あ・・そー言えばこの番組に出てるマニアよりずっと昔のマニア、知ってた。
それは第二次世界大戦、ドイツ空軍のエースパイロット。撃墜王。
アドルフ・ガーランド中将。
世界的にも最も有名なエースの一人だ。
「また戦闘機ネタかよ!車と関係ないじゃん!」
と・・・言われそうですが。<m(__)m
意外と第二次大戦の戦闘機と車って関係あるんですよ。
日本の零戦は三菱(エンジンは中島)だし隼や疾風は中島飛行機、つまりスバルの前身です。
それにメッサーシュミットのエンジンはダイムラー・ベンツ。
空冷のフォッケウルフのエンジンはBMW。
スピットファイアのエンジンはロールスロイス。
過給器はそもそも酸素の薄い高高度を飛ぶための技術でした。
え!?フェラーリは?アルファは??・・・
それは言っちゃいけません(汗)
ラテンの血は兵器には向かない様です。
イタリアの戦闘機はベンツのエンジンでようやく戦闘力を得たレベルだった・・・(=_=)
しかし自分は兵器マニア・ヲタクではありません!!多分。
戦闘機はもちろん好きですが、それ以上に好きなのがパイロットの逸話とか物語なんすよ。特にドイツ空軍は面白い。
さて、このガーランド、他の多くのパイロットと同じように第一次大戦のエースパイロット、「レッドバロン」ことリヒトホーフェンとかに憧れ空を飛ぶ事に憧れ戦闘機パイロットを志願しました。
事故の影響で視力を落し戦闘機パイロットとして不適と見なされるも視力テストの答えを暗記したりして何とか戦闘機パイロットになりました。
※リヒトホーフェン=乗機を部隊色の赤で塗装したフォッカーやアルバトロス戦闘機を駆った第一次大戦のトップエースで「紅の豚」や機動戦士ガンダムのシャアのモデルになったと言われてるドイツの撃墜王です。
第2次大戦の前哨戦となったスペイン内戦でドイツが介入し第88戦闘機隊(コンドル軍団)の第3中隊長になり自らの隊を「ミッキーマウス中隊」と名乗った。ちなみに第2中隊長はギュンター・リュッツォウ(メッサーシュミットBf109で初の戦果をあげ最終的に108機撃墜)でガーランドはBf109が配備される前に戦果をあげること無くヴェルナー・メルダースに中隊長職を引き継いでいる。
「ミッキーマウス中隊」を引き継いだメルダースとBf109初期型。
機体にはっきりとミッキーが描かれてる。
メルダースはリュッツォウらと空戦技術を磨き2機一組のロッテ戦術、それを2組並列させたフィンガー・フォー(シュバルム)等、近代航空戦術の礎を築いた。この戦術はやがて連合国にも知れ渡っていった。
左:ガーランド、右:メルダース
やがてバトルオブブリテンになると第51戦闘航空団司令のメルダース、第26戦闘航空団司令のガーランド、第2戦闘航空団司令のヘルムート・ヴィックはぐんぐんスコアを上げて3羽ガラスと称された。
シェブロンと呼ばれる楔マークに横棒は航空団司令のマーク。
ガーランドの機のコクピット脇には拳銃と斧を持ち葉巻をくわえたミッキーマウスが描かれた。
爆撃機隊の護衛任務で直庵(爆撃機に寄り添うように飛ぶ事)行動をとってない戦闘機隊に不満を漏らした空軍トップのゲーリング元帥(写真左)がメルダースとガーランドの2人に「何か必要なモノは?」と聞いた時、
軍人として模範的解答をしたメルダースに対しガーランドが「スピットファイアの1個中隊をくれ」と言ったのは有名な話だ。
メッサーシュミットは高速で機動する戦闘機だ。爆撃機のチンタラしたスピードから機動するならせめてスピットのほうがマシだよという皮肉だ。
その後、メルダースが事故死すると戦闘機隊総監を引き継いだ。
英雄の死を避けたかった軍上層部は以後、ガーランドに戦闘機で軍事行動する事を禁止した。しかし彼はちょいちょい空戦し、ちゃっかり撃墜までしている。
ミッキーマウスがトレードマークのガーランドだが鉄道模型と葉巻好きでも知られる。だから彼の写真は葉巻くわえてる絵が実に多い!
これも。
これも。
これも。。
吸ってますねぇ~。
戦闘機にさえ灰皿を付けてもらってます。この人。
やがてストレートな物言い、歯に衣着せぬ発言でゲーリングと取り巻きの爆撃機隊との確執が深くなっていった。
ヒトラーに賞を授与されるガーランド。
最新鋭のジェット機、メッサーシュミットMe262を試験飛行し戦闘機としての可能性を大いに感じたガーランドだったがヒトラーは爆撃機として開発するよう指示。
総統の頭にはもはやベルリンを空爆された復讐しか無かった。。。
Me262のような小型機に爆弾積んでも搭載量たかが知れてるのに・・・
やがて戦闘機隊をののしったゲーリングにガーランドはブチ切れ・・・
「もうあなたにはついていけない。こんなモノはもういりません!」
軍人としての最高名誉賞のダイアモンド剣付き柏葉騎士鉄十字賞を床に叩きつけた。
これによりガーランドは戦闘機隊総監を懲免された。
しかし!これを阻止しようと立ち上がった者たちがいた!
ギュンター・リュッツォウ、ワルター・クルピンスキー(167機撃墜のエース)等、戦闘機パイロット達だ。
ギュンター・リュッツォウ大佐。
リュッツォウは航空団司令時に自軍を訪ねてきたナチス親衛隊に
「何か手伝えることは?」と聞いたところ、親衛隊員に「ソビエトやユダヤのクズ共を処刑する為の兵員が欲しい」と言われた。
これに怒ったリュッツォウは部下全員を正装で集めナチス党員に、彼らのしている行為が愚かで嘆かわしいこと、もし部下のうち一人でもそれに志願する者がいたら職を辞すと啖呵をきった。
この事は親ナチ派のリュッツォウに対する圧力を強くした筈でガーランドはその矢面から守る為に彼を戦闘機隊総監に引き入れてたのだ。
だからガーランドが解任される事態で黙ってはいられなかったのだろう。
しかしこの事はゲーリングを激怒させ反乱と見なされ銃殺刑にされてもおかしくない事態となった。(結果的には総監の任を解かれイタリア方面の事実上、窓際族?にされた)
さて、ガーランドだが・・・
ここでヒトラーの温情ともとれる一言がかかった。
「君が戦闘機にと言い続けてるMe262で敵を阻止したまえ。人選は任せる」
かくして、戦闘機隊トップの座から1飛行機隊長に成り下がったガーランドのもとに各地から名だたるエースたちが、ある者は呼ばれ、またある者は自ら志願し集まった。有名なJV44ジェット戦闘機隊である。
この中にはリュッツォゥ、クルピンスキー、負傷中から駆けつけたドイツ第2位のエース、ゲルハルト・バルクホルン(301機)、第8位のハインツ・ベーア(220機)などがいて、最後の戦いに飛び立っていった。
JV44でのガーランド乗機。白の3。
さすがに敗戦濃厚な戦争末期で余裕が無かったのか?
ミッキーマウスは描かれてません。
ガーランドはMe262でも数機撃墜し最終スコアは104機。
最後は負傷し病院のベッドで終戦を迎えた。
戦後はアルゼンチン空軍顧問やコンサルタントとして働き、各国エースパイロットとも親交を深めた。
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さて・・・
実はドイツ空軍にはもう一人、ミッキーマニアがいます。
それが極北のエース、ハインリッヒ・エールラー、テオドール・ワイゼンべルガーと共に戦ったホルスト・カルガニコ大尉(60機)です。
このミッキーのパーソナルマーク、かなりデカいです。
ミッキーがブーツを2個引きずってるのはカルガニコが戦闘不能になって不時着、前線から基地に逃げ帰ってきた際、ブーツが脱げて無くなってたからみたいです。
無くさないようにとのユーモアでしょう。
元祖・隠れミッキー?
機首にも小さなミッキーが描かれてた時もあります。
こんなカワイイ戦闘機、照準器に入っても撃つのためらってしまいそう。
撃墜スコアとしてはドイツ空軍の中では目立たないですが・・
マークが映える為プラモにもなっています。
モデラーの方ならご存知かもしれません。。。
戦争という極限下の中、敵国のキャラクターをパーソナルマークとして戦った二人のエースパイロット。
日本軍じゃ考えられません。
日本では戦争末期、錬度の低い若いパイロットが「神風特攻」という狂気の作戦を命令された。
ドイツ空軍では一部で爆撃機とかを相手に体当たり攻撃が行われたが戦闘機隊総監のガーランドはこれを禁止した。
その他のエースパイロットも撃墜した敵機と並走してパイロットが無事なら「早く脱出しろ」と合図を送ったり戦闘不能になった敵機にトドメを刺さなかったり。
撃墜して捕えたパイロットの安否をわざわざ敵陣に知らせに行った者もいました。
当時のドイツ空軍には地上の戦いでなかったからこそかも知れませんが「騎士道精神」が残されていたのです。