はてさて、先週代車で借りた ホンダ N-WGN(先代)について
グレードは標準のNA、グリル形状から後期モデルですが、G・Lパッケージか、特別仕様車のSSパッケージと思われます。
■良かったところ
・パッケージング
今回なんといってもN-WGNの良さとして再認識したのがコレ。
ハイトワゴンの中でも、広い車内(発表当時、室内幅は無理矢理ながらもカテゴリーNo.1を謳っていたハズ)ですが、N-WGNは特に、その広さが自然で違和感のない(「軽自動車だけど無理やり頑張ってます!」という印象が殆どない)ことが大きな特徴と思います。
とくにかく乗っていて、ゆったりくつろげる佇まい。そこには例えば大きなシートも貢献していると思います。
このシート、アンコがミッチリ詰まっていて、パン!と張ったクッション性が好印象。ファブリックのサラっとした手触り感も手伝って、居心地が良い。乗り込んで「これなら欲しいかも」と思わせる演出が心にくいです。
・パワフルなエンジン
搭載されるエンジンはトルクはそこそこながら出力58psを発生させる特性をもち、街中での走行では全くストレスなく走行できます。
ダイハツも長らく使用していたKFエンジンも出力は58psで、力強いフィールで街中では全く問題ない印象でした。NAでもこのくらいの出力特性があると、長距離主体でなく、ましてやセカンドカーの位置づけであれば、全く問題ないでしょうね。
・ノーマルでも享受できる6エアバッグの安心感
個人的に大きくポイントを伸ばしたのがここ。自動ブレーキはともかく、代車に使われるような低グレードでも6エアバッグである安心感。どんなにライバルのユーティリティや燃費で優れていようとも、そのモデルが2エアバッグ車であれば、このN-WGNを選ぶ価値あり、と思います。むしろクルマに興味のない人こそ、本当はこういう基本的な安全装備の装着有無に注目して欲しいものです。
■残念なところ
とはいえ、アレコレ気になるところは見えてきました。
・大雑把なシート設計
このクルマの最大の残念ポイントです。前・後席とも、シートの形状のクオリティが悪くて長時間乗っていたくないです。
前席は一見良さそうな形状、座り心地ですが、腰部の支えが不十分ですぐに腰に違和感が。いろいろ角度を変えたり微調整してもベストなポイントが見つけにくいです。
それでも何度か乗っていると、たまに「今回は大丈夫だ」という時があり、要はスイートスポットの幅が非常に狭いのだと思います。
加えてヘッドレストの角度が前に傾き過ぎている気がします。頭を後ろへ下げたいのだけれど、ヘッドレストが邪魔をして猫背気味の姿勢を強要させられる。
他車でもみられる設計思想ですが、シートバックの角度を過剰に制限する仕様で、個人的には要改善ポイントです。
後席は現行ダイハツ ムーヴや日産デイズと同じく、ラゲッジ収納性を重視するあまり、座面の配置が低過ぎ、いわゆるヒール段差の確保が著しく不十分。体育座り的姿勢を強要される上に、前席同様どうしても腰部に隙間が形成されやすく、こちらもたちまち腰に違和感を感じて早く降ろしてほしい、と思ってしまいました。
上記のとおり、シートのクッションや生地の印象が良いだけに、惜しいですね。
・助手席の足引き性の悪さ
初代フィット依頼のホンダの「伝家の宝刀(大げさ?)」のセンタータンクレイアウトですが、このタンクの配置のネガとして、後席ではシート下に足が入れられない、とか床面が斜めになっている、などが挙げられます。が、今回感じたのは助手席で、燃料タンクの前に、モノコックの横方向の梁が配置されていて、足を引きたくても踵が当たってしまい、膝を90度近くまで曲げることができません。足を手前に持ってきた場合には、不自然に前に投げ出した格好を強いられます。
運転席は基本、ペダル操作のため足を前にだしていますが、助手席の場合は、足を手前に引きたいときもあります。これが阻害されるのが結構ストレスでした。
・質感の低さ
そして、全般にそこはかと流れる、諸々のやや大雑把な感じ。ドアを閉めるときのパカン!という安い音、シフトをDからNに戻すときなどに聞こえる、グリス切れかと思わせるなんとも安っぽい音、などの低級音の数々や、足回りもそこそこ動いているのですが、路面の凹凸をダイレクトに車内に持ち込んできて揺すられたり。ブレーキペダルの操作も細かい調節がし難く、あるところからいきなりガッチリ効いたり。
上記の普通車然としたパッケージなどの印象に気を良くしたユーザを軽自動車であることに無理やり引き戻す、なんとも残念なクオリティの低さになっています。
■N-WGNはフィットとならぶ、現代版”シビック”だ!(と思います(^^))
上記の通りネガティブな点はありますが、でもいいんです!
これらは試乗すれば比較的簡単に気付かされる範疇です。「数分の試乗では分からない(気づかせない)ように造る」とはワケが異なる、いわばホンダが「ウチの考える、軽自動車の大衆車クラスのクオリティはこんなものですよ。それでもご納得いただけるならどうぞ」という割り切り、潔さのようなものを感じました(人によっては「開き直り」と取れるかもしれませんが(^^;
なので、これはこれでアリなんだろうなぁ、と実感。造りの割り切りに納得できれば、そのサイズ感、ユーティリティの高さ、想定される使い勝手から、フィットと並んで、N-WGNこそが現代のシビックなのではないか、とさえ思えました。
実はスプラッシュを購入時にN-WGNのカスタムも候補で何度も試乗しました。カスタムはもう少しカッチリしていたと思います。カスタムと乗り比べしてみたくなりました。
そして、現行のN-WGNは、もはや普通車!という懐深いしなやかな足回りを手に入れた非常に高い完成度の持ち主なっています。
未だに自分はこのデザインは馴染めません(^^;が、デザインが受容された方には、ぜひ試乗してみて欲しい、おススメの一台です!(初代と同じ仕様の後部座席は座面の高さを要確認ですが)
Posted at 2021/08/28 20:49:58 | |
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