R35のブレーキチューニングに関する注意喚起

ちょっと辛辣なタイトルですが、皆さんの愛車を守るためにとても重要な内容ですので、お許しください。


最近、サーキット走行を楽しむR35オーナーが増えてきたことはとても嬉しいことです。R35は純正のままでも十分サーキット走行を楽しむことができますが、走り込んで行くうちにさらに上のレベルを求めてチューニングを進めていくケースも多く見受けられます。

エンジンのパワーアップ、足回りの交換、ブレーキ周りのチューニングなどが主流ですが、ここではブレーキのチューニングについて、ぜひ頭に入れておいて欲しいポイントをご紹介します。


【純正ブレーキでも十分】
R35のブレーキは純正でも十分にサーキット走行に対応できる性能を持っています。
ClubTrackeditionは市販車と同じブレーキローター＆パッドです。これでスリックタイヤを履いてFSWを1分48秒台でLAPするようなブレーキに負荷のかかる走行にも十分対応できています。
FSWの１コーナーでブレーキが足りないという声を耳にすることもありますが、前傾姿勢でフロントに偏ったブレーキングでは十分な制動力は得られません。リアのブレーキにもきちんと仕事をさせるようなブレーキングを身につけることを第一に考えてください。
前後のブレーキを効かせられるドライビングはブレーキだけでなく、タイヤの摩耗にも優しいドライビングです。長くサーキット走行を楽しむためにも、こういうドライビングを心がけましょう。


【それでも社外品に交換】
ただ純正ブレーキにも難点はあります。通常の町乗りでは10万km近くもつブレーキパッドも、サーキット走行ではかなり激しく消耗します。そして、金額も決して安くはありません。これまでの車なら、純正パッドは安いけど制動力が足りないから車外品の高くて高性能なパッドに交換するというのが普通でしたが、R35の場合は純正パッドは高くで持ちが悪いから、同じ持たないのなら安い社外品に、というケースも少なくありません。
純正パッドはあくまでも、全てのステージに対応できるように設計されていますから、例えば町乗りでダストが出ないとか、サーキットで踏み始めの最初の制動力が強いといった限定的なステージでは、純正パッドよりも優れているものもあるでしょう。そういったステージでの性能を求めて社外品へ交換するのはオーナーの好みです。


【社外品の性能保証のポイント】
サーキット走行を楽しんでいる方なら、十分理解されていることと思いますが、ブレーキ性能はブレーキローターとブレーキパッドの相性にかなり左右されてしまいます。
ちなみに、社外品のブレーキパッドは、その製造段階のテストで純正ローターとのテストおよび、自社製ローターとのテストは実施していますが、他社製ローターとのマッチングをとることはまずありません。
従って、ブレーキチューニングで大事なことは、純正ローターに社外のパッドを入れる、もしくは、パッドとローターをセットで同じ会社のものを入れるということです。
※純正パッドと社外ローターというのもOKです。


【良く効くパッドって？】
サーキット走行をする人の中には、より高い制動力を求めてパッドを交換するという人も少なくありません。ここで、ちょっと考えて頂きたいのが、ブレーキがより効くということはどういうことかです。
ブレーキとは、運動エネルギーを摩擦によって発生する熱に変換することで減速させるものです。より効くということは、より多くの熱量が発生するということに他なりません。R35のように重量が重い車を止めるためには、それだけ大きな運動エネルギーが熱量に変換されていることになるので、良く効くからと調子に乗ってブレーキングを続けていると、発熱によるフェードやベーパーロックを引き起こすことになります。
しかも、社外のパッドに他社製ローターの組み合わせでは、メーカーの想定外の発熱をする場合もあり、これは大変危険な状態であると言えます。


【現実に起こった事故からのフィードバック】
FSWは世界最長のストレートを持つサーキットですから、１コーナーのブレーキングは相当ハードなものになります。このFSWの１コーナーでブレーキトラブルにより大きな事故を起こしてしまったR35があります。
実測で250km/hは軽く超える場面でブレーキが効かなくなり、そのままグラベルを突き抜けてタイヤバリアーまで行ってしまうのですから、クルマや人間への衝撃は尋常ではありません。
事故の再発防止を図るためにいろいろな要因を調査してみると、どうやら、社外品のバッドに他社製のローターの組み合わせで想定外の高温になり、パッドの異常摩耗とベーパーロックを引き起こしていたことが原因だと思われます。
もちろん、走行中のブレーキングの仕方やクーリング走行の有無によっては、こういう状況を回避することも可能であるはずです。
しかし、これまで報告されているブレーキパッド系のトラブルで、危険性がかなり高いものは全て同じ銘柄のパッドによるものだという事実は見過ごすことはできません。サーキット走行派には、良く効くということで評判の良いパッドで、装着している人も少なくありませんので、あえてこの様な注意喚起をさせて頂きました。





情報を共有することで、同様の事故が起こることを防ぐというのはとても意味があることだと思います。
サーキット走行を長く楽しむためにも、
自分のクルマを大事にするためにも、
仲間が悲しい事故にあわないようにするためにも、
この注意喚起を意識してブレーキのチューニングを行ってください。


なお、当該パッドの銘柄については、あえて記載しておりませんが、メールにてお問い合わせ頂ければ具体的な銘柄をお教え致します。
よろしくお願いします。