水冷4気筒16バルブDOHCインタークーラー付スーパーチャージャーエンジン…EN07X
排気量660ccとは思えない程の高回転ユニット。
軽自動車には珍しい4気筒エンジンを搭載している事から、『Clover 4』の愛称で親しまれるそのエンジンは、まるで狂おしく、身をよじるように走るという。
そんなパワーを受け止めるのが、普通乗用車同様、衝突安全基準40km/hをクリアする高剛性ボディと、四輪独立懸架ストラットサスペンション。
人はこの車をこう呼んだ。
『超高密度スポーツ集積マシーン』と。
前置きが長くなりました。
どうも、『超高密度スポーツ集積マシーン』VIVIO RX-Rのオーナー、KIRAです。
何回も紹介してるけど、
ボクのRX-Rは1994年製(平成6年)のKK3(FFモデル)だ。
実に製造から27年経過している。
もう立派な旧車の仲間入りだ。
世間の人が、型落ちの車や、総走行距離10万キロ超えの車輌を何と呼ぶか、
読者の方々はご存知だろうか?
全員が全員そうでは無いだろうが、大概の人からはこう呼ばれる。
『ゴミ車』
『もう終わっている車』
『商品価値の薄れた車』
………誤解を恐れずに言うのなら、これらの意見は、、、間違っちゃいない。
車はいつまでも永久に乗り続けられる物ではない。
いつか終わりが来る。
10万kmも走行していれば、それ相応にやつれとヘタリが来る。
樹脂は割れ、ゴムは劣化し、ブッシュも仕事をしなくなる。
これらを『ゴミ車』と言われる事に何の反論があろうか?
言っていることは間違ってない。
新しい車と比較すれば、劣化した部分が目立つのだから。
だけど、人は新しい車だから、、、という理由だけで車に魅力を感じているのだろうか?
否!断じて否!
どんなに古くなっても、現代の時代にそぐわなくなっても、その時代の技術を結集されて産み落とされた車には、その車しか持っていない風格という物がある。
ヴィヴィオという車を見つめ直してみると、確かに現代の時代にはそぐわない点が数点挙がってくる。
・エコや電気自動車、自動運転や進化したAT車がある中で、現在殆どのメーカーが製造していないMTの軽ホットハッチという車種。
・『モノづくり』の観点から見た時に、『量産性』はとても重要なファクターになってくる。
だが、この車は軽自動車で量産するにはコストの高い『四気筒エンジン』『四輪独立懸架ストラットサスペンション』を採用している。
他にも挙げればもっと出てくるだろう。
現代の時代にそぐわない車なのかもしれない。
だけど、モノの捉え方は視点を変えることで大きく変わってくるものだ。
・経済性を押し出す現代に、コストを度外視した車両設計がなされたマシーン。
こんな車を他のラインナップで見つけてくる事はそうそう出来ない。
・部品のコストが高い、という事はそれだけこの車には制作費がかけられている…という事だ。
現代の軽自動車で、ここまで足周りの性能に拘り抜いて作り込まれたマシーンがあるだろうか?
お金のかけ方が、現代とは違う論点で作られている車。
メーカーの本気度合いを感じさせる。
1994年と言えば、バブル崩壊からまだ3年程しか経過していない時代だ。
世代の感覚というものは、たかが2~3年で変わる程、軽いものではないと思う。
ましてやこの時期の軽ボンバンジャンルは、各メーカーがしのぎを削って、
『本気のスポーツモデル製作』に着手していた時期だ。
ダイハツがターボチャージャー搭載のミラを出せば、スズキがDOHCエンジン+ターボチャージャー搭載のアルトワークスをぶつけてきて、軽自動車に馬力自主規制値64psが叩きつけられた。
それでも尚、メーカーのつば迫り合いは留まることはなく、軽規格が660ccに引き上げられると、その競争の熱は更なる高まりを見せた!
スズキのアルトワークスとダイハツのミラTR-XXアヴァンツァートのぶつかり合いの中で、三菱からは550cc~660cc過渡期に軽自動車で初の3気筒5バルブ搭載のミニカダンガンがデビューする。
そんな時代に、ターボではなく、スーパーチャージャー、しかも、他メーカーでは類を見ない『四輪独立懸架ストラットサスペンション』を搭載して現れたのが、前身『スバル レックス』から進化を遂げた『ヴィヴィオ』なのだ。
そんな車が、
『古いから』
『過走行だから』
という理由で、『ゴミ…単なる時代の消費財』として扱われる。
改めて書くけど、『古くて過走行な車』を『ゴミ車』だと捉える考えをボクは間違いだとは思わない。
だけど、こんな素敵でスバルの『本気』が感じられるマシーンを『時代遅れのゴミ』として終わらせる気はボクにはない。
周りから『ゴミ』と言われようが、『時代遅れ』と言われようが、
オレはコイツが好きなんだ!!!
他の車なんて目に入らないくらい、トコトン惚れ込んじゃってるんだ!!!
ボクはRX-R(コイツ)と走り続けていきたいんだ!!
だけど、『古い車を乗り続ける』にはそれ相応の覚悟がいる。
その覚悟が出来ていなければ、周りから『ゴミ車』と言われても反論は出来ない。
基準としては、総走行距離10万キロ行くまでに、どこまでメンテ出来るか?
だろう。
ポピュラーな例で行くなら
『タイミングベルト+ウォーターポンプ』の交換だろう。
10万キロ超えた車両を乗り続ける時に、
直面する最初の壁だ。
これだけの大がかりな整備ともなると、大概のユーザーは『車検時』に取りかかるだろう。
部品交換や取り付けを伴わない、ほぼ新車の軽の車検なら、業者に依頼しても『5~6万』で済むだろう。
だが、ウォーターポンプ+タイミングベルト交換を車検時に行えば、
総額『16~17万』は覚悟しなければならない。
それだけの額払うなら、それを頭金にして、他の新車が買えちゃう!
…それもまた事実だ。
実際、そこを治しても、旧車だから当然、他の部分が壊れたなんてことも発生する。
でも、そこはやはり捉え方の違いなんだ。
『治した額で新しい車に乗れちゃう』
…ではないのだ。
『それだけの額を出して、リフレッシュしたそのマシーンに乗る事が出来る!』
コレがボクら旧車乗りのテーマではなかろうか?
…そろそろ記事も終盤にしようと思う。
そもそもなんでこんな記事を書いたか。
Twitterで『10万キロ超えたヴィヴィオはゴミ車』というツイートを見た事。
ボクのヴィヴィオの運転席のヒンジが死んで、背もたれが勝手に倒れるようになった事。
これらのタイミングが重なった事により、少し考えたくなったからだ。
前者の10万キロはゴミ車ツイートに関しては、ボクは不快感は示してはいない。
このツイートの本質はそこじゃないと思うんだ。
この方が伝えたいのは、『RX-R』というだけで100万超えの車輌がゴロゴロしている界隈に一石を投じたかったのではないか?
…とボクは見ている。
車にプレミア価値が付随するのはよくある話だ。
トレノGT-APEX AE86なんかがいい例だろう。
しかし、ブランドだけで100万超えてたり、400~500万もする車輌があり、それを猫も杓子も『名車だ名車だ!』と奉っている状況を見れば、誰でも反吐が出るのではなかろうか?
本当に価値のあるクルマがどんなクルマか?
それを決めるのは『アナタ自身』だ。
それを見極める目を育てるかどうか…
それも『アナタ次第』だ。
そして、後者の件。
ボクのヴィヴィオも
27年落ちの旧車だ。
それなりにガタは来る。
それが、運転に支障のある部分に出るのは看過できない。
こんなシチュエーションで
『バケットシートを入れよう』と考えるオーナーも、多いのではなかろうか?
それも間違ってはいない。
戦闘力を上げるための装備を整える事は大事だ。
それも、富士重工業(SUBARU)が世に送り出した軽規格戦闘機『ヴィヴィオRX-R』を楽しむ醍醐味だと思う。
だけど、もう1つの価値観、、、。
『ヴィヴィオRX-R本来の味を大事にしたい』
この想い、分かっていただけるだろうか?
RX-Rオーナーの内、
『RX-R純正ドライブシート(前期型)』に座った事がある方は何人くらい居るだろうか?
ボクのシートの状態も、お世辞にも良いとは言えない。
破れて補修して使っているくらいだから(^ω^;)
…だけど。
一度このシートの座り心地を知ってしまったら…他では満足出来ない。
勿論、本格的なバケットシートと比べれば、ドライバーの姿勢制御力は下がる。
だが、RX-RのアプライドA/Bモデルのドライビングシートは、言うなれば、
『リクライニング出来るバケットシート』
なのだ。
前期型であるアプライドA/Bはサイドの山の張り出しがそれ以降のモデルと比べてとても高い。
体格にもよるけど、あのシートにお尻がスッポリ収まって気持ちよく背中を蹴り飛ばされる加速感を味わったら…病みつきになる。
コーナー侵入時にも、バケットシートには劣るだろうが、結構ホールドしてくれる。
そしてなにより!
『座り心地が良い!』
19年落ちで購入した当時もその座り心地は健在だった。
ガッチリホールドするサイドがあるのに、低反発枕のように、アンコがお尻を受け止めてくれる。
あれは本当に感動する。
そして以外にも、
『フラットにした時の寝心地がとても良い!!』
コレばかりは体感してもらわないと分からない世界だが、ボクはこのシートで熟睡してしまった事もあるくらいだ。
このシートのヒンジが壊れたという事で、ボクはGをなるたけかけないようにして、
27年落ちの車輌で入る事がまず珍しい、
『SUBARU』のディーラーを訪れた。
こんな古い車を入庫して、白い目で見られないか…。
ボクだって心配だった。
だけど、担当の方は丁寧に応対してくれた。
コアなヴィヴィオユーザーなら、ヴィヴィオのシートが『リコール対象』になっていた事を知っている方々もいる事だろう。
リコールナンバーは確か『NO.485』
担当の方はそこもきっちり調べてくれた。
車体番号とは凄いもので、ディーラーで受けた整備記録などを、過去に遡って照会出来たりする。
ボクのヴィヴィオも例外ではなく、車体番号から、初代オーナーである京都伏見の『おじい様』がリコール対策でディーラーに訪れていた事までキチンと記録に残っていた!
※この『おじい様』は勿論、赤の他人です( ˊᵕˋ ;)💦
そして、整備士の方が入念にヒンジをチェック。
結果からすると、
『ヒンジ在庫が1点だけ存在し、交換可能』との事!
フロントヒンジの部品代9,031円
工賃 3,300円
計 12,331円
となる。
コレを聞いた時のボクの気持ちは
『高っ!』…ではない。
『またこのシートでヴィヴィオに乗れる!!』
『またコイツと、このシートで峠のワインディングを攻められる!』
本当にそれだけしか思い浮かばなかった。
長々と書いてしまったが、ボクが言いたかった事をまとめるなら、
【古くて過走行な車だからゴミなんじゃない】
【その状態に行き着くまでになんの対策もせずに放置された車が『ゴミ車』になるんだ】
【例え古くて『ゴミ車』と呼ばれようと、キチンと丁寧に整備して乗り続ければ、それは自分にとっての『最高の一機』になるんだ!】
【その為の努力はしなければならない。それを怠れば、周りから『ゴミ車』と言われる車になってしまうから。】
【自分の愛車を『ゴミ車』にするか『名車』にするかは、乗り手であるアナタ達次第だ!!!】
さぁ、来週のヒンジ交換が楽しみだ!!!
それが終わるまでは、ヴィヴィオで攻め込むのはお休みです( ˊᵕˋ* )