「太陽フレア」で磁気嵐観測 通信衛星やGPSなどに影響のおそれ
2024年5月11日 18時23分
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「太陽フレア」と呼ばれる太陽表面の巨大な爆発現象が5月8日から10日にかけてあわせて6回発生し、電気を帯びた粒子が地球に到達して地球の磁場が乱れる「磁気嵐」の発生が、各地で観測されています。今後、数日にわたって通信衛星やGPSなどに影響が出るおそれがあり、情報通信研究機構が注意を呼びかけています。
情報通信研究機構によりますと、5月8日から10日午後4時ごろまでに「太陽フレア」と呼ばれる太陽表面での爆発現象の中でも最大クラスに分類される巨大な爆発が、6回にわたって発生しました。
同じくらいの期間で6回の巨大な爆発が連続して発生したのは、2005年9月以来、18年8か月ぶりだということです。
この「太陽フレア」によって、陽子などの電気を帯びた粒子が大量に放出されていて、地球の磁場が乱れる「磁気嵐」の発生が各地で観測されています。
これまでのところ、大規模な通信障害などは確認されていないということですが、今後数日間は通信衛星などの人工衛星やGPSの位置情報、それに短波の無線通信などに影響が出るおそれがあるとしています。
予想される磁気嵐の大きさ 5段階で上から2番目
NOAA=アメリカ海洋大気局が10日に発表した情報によりますと、予想される磁気嵐の大きさは5段階中、上から2番目で、おおむね日本時間の11日から13日にかけて起きる可能性があるということです。
太陽はおよそ11年の周期で活動が活発になったり弱まったりすることが知られ、ことしは活発な時期にあたることから、NOAAは今後も今回のような現象が起きる可能性があるとしています。
日本でも『磁気嵐』観測
磁気嵐は日本でも観測されました。茨城県石岡市にある地磁気観測所が発表しました。
「磁気嵐」は11日午前2時5分から始まり、午前9時までの地磁気の変動幅は最大で517ナノテスラに達し、通常の1日(50ナノテスラ)の10倍を上回ったということです。
石岡市の観測所で500ナノテスラを超えたのは1991年3月以来で、変動幅としては、1924年に観測を始めて以降9番目の大きさだということです。
「磁気嵐」が起きると、通信などの障害が起きるおそれがありますが、影響の程度については現時点で不明だとしています。
地磁気観測所は「久しぶりに大きな変化となった。太陽の活動が来年にかけて活発化する見通しで、今後も磁気嵐の発生が増える可能性があるため注意深く監視したい」としています。
【詳しく解説】太陽フレアとは?
「太陽フレア」とは太陽の表面で起きる巨大な爆発現象のことです。
「太陽フレア」のエネルギーはすさまじく、1度の大規模な「太陽フレア」で人類が使う電力の数十万年分に相当するほどです。
規模に応じて小さいものから順にA、B、C、M、Xの大きく5段階のクラスに分けられていて、今月8日から10日にかけてはXクラスのフレアが6回発生しました。
「太陽フレア」が起きるとガスや高エネルギーの粒子などが大量に放出され、早いものだと8分間で、遅くとも数日の間に1億5000万キロ離れた地球に届き、その際、地球を覆っている磁場に作用して地球の磁気を弱めることで地上では「磁気嵐」が観測されます。
爆発の規模が大きい場合は、通信衛星などの人工衛星やGPSの位置情報、短波の無線通信などに影響が出るほか、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士や高い高度を飛行する航空機が被ばくするリスクもあります。
2022年2月にはアメリカのスペースX社が高速インターネット接続サービス、「スターリンク」に使う衛星49基を打ち上げましたが、約8割の40基が失われたと発表されていて、この時は中規模の太陽フレアの発生が影響したと考えられています。
情報通信研究機構によりますと、今回の太陽フレアについては人体の被ばくや携帯電話の通信・測位には影響はないとしていますが、高精度のGPSの利用や一部の無線通信などには影響が出るおそれがあるため、引き続き、数日は注意してほしいとしています。
「磁気嵐」でオーロラが活発に見られるように
一方で、この「磁気嵐」が起きているような状況では、オーロラが活発に見られるようになります。
オーロラは、地球の周辺を飛び交う高エネルギーの粒子が地球の磁力によって引き寄せられ、大気とぶつかったときに光を放つ現象で、通常は北極や南極など緯度の高い地域でしか見ることができません。
しかし、「太陽フレア」によって「磁気嵐」が発生すると、オーロラの活動領域が広がり、日本の北海道など、緯度が低い地域でも観測できる可能性があります。
Posted at 2024/05/11 19:12:58 | |
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