
正式な店名は、クリニカ・ガストロノミカ・エスぺリアです。オーナーシェフの森克明氏は、フランス政府から、チーズ鑑評騎士の最高位である大将校の称号を授与されています。
エスペリアを初めて訪れたのは、商用接待での利用でした。これはすごい店を発見してしまったと気づき、帰り際にこっそりプライベートの予約を入れて帰ったのです。
ある日、「料理の鉄人」を観ていたら、記憶に新しい森シェフが出演していて驚愕しました。陳建一氏とのホウレンソウ対決でした。
鹿賀丈史氏が食材を発表した瞬間、森氏が自信満々の表情を浮かべたのが印象的でした。「サラダ革命」と命名したチーズドレッシングを得意にされている方ですので、それを披露できることに笑みが漏れてしまったのではないかと推察しました。
途中で、偶然、両者がパスタを同時に調理する場面があり、森氏は翡翠色に輝く美しい料理を仕上げていました。対する鉄人は、凡庸なホウレンソウとベーコンのパスタでした。この時点で、挑戦者が圧勝したと思いました。
鉄人は、制限時間ギリギリまで慌て続けていたのに対し、森氏は、余裕たっぷりでした。ストップクッキングのコールを静かに待って、チーズドレッシングをかけてフィニッシュとなりました。
ところが、この行為に、大幅な減点をした審査員がいました。ドレッシングが冷えて美味しくないとの評でした。保温器にかけ、審査員の試食開始にドレッシングをかける方法であれば問題なかったのです。これは、完全にルールの問題でした。初出演の挑戦者にこれを求めるのは酷なのではないか、と非常に不愉快になりました。
結果を発表する鹿賀氏も、苦渋に満ちた表情になっていました。料理と試合の結果は別のこともあるとコメントしたほどです。ドレッシングの減点によって、鉄人が辛勝しました。
この翌週に、上述の予約で、エスペリアを再訪問したのです。店内は、全員が同じものを食していました。番組の料理の再現でした。当時、私の周囲には、鉄人出演者の料理なんてたいしたことないという懐疑的な見方もありました。しかし、実際に食してみて、究極の料理だと思いました。超絶美味しかったです。それ以降、定期的に通うことになりました。
今回、森シェフに「料理の鉄人」の料理をもう一度食べてみたいとリクエストしていました。いったんは引き受けて頂いたのですが、レシピが見つからず、またサクラ等の一部の食材の調達ができずに実現はできませんでした。来年の春になったら、一品はできるかもしれないとのことでした。
食後のカプチーノを飲みながら、早くも次回以降の予約が楽しみになっていました。
Posted at 2022/11/25 17:03:43 | |
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