
自験の「実録」を「どぶろっく」バージョンでご紹介します。
高校時代の古いふるい話です。全国コンクールでの上位入賞を何度もしている吹奏楽部が、季節限定の練習を開始していました。高校野球の県予選大会が迫っているのが、校内にいながら分かりました。
たまたま休憩時間で外に出てきていた吹奏楽部と遭遇しましたので、直撃取材しました。
「なんで、野球の応援で山本リンダなんだよ? ウララ、ウララって、表裏の後攻を意味してるのか?」
「あれは、曲名が、狙いうちなんだよ。明治大学の応援歌に採用されているんだ。作詞した阿久悠の母校だからね」
ついでに、他の曲についても訊ねると、いずれも東京六大学野球の模倣であることが分かり、慶應、早稲田、法政の各大学が採用している曲になっていました。第5応援歌まであるうえに、独自のレパートリーも豊富で、さすが全国上位の吹奏楽部だと感心しました。
「ところで、逆転のチャンスやラッキー7の攻撃とか、ここぞというときのあのメインの曲がいいよね。あれは、どこの大学なの?」
すると、この友人が苦笑いしながら、「あれは、大学とは関係ないんだ。単に、堀ちえみの曲なんだよ。リーダーが大ファンだから」と説明してくれました。
もうこの頃には、菊池桃子さんに自分の生涯を捧げることを決意していましたので、ちえみさんの曲は詳しく知りませんでした。それでも、桃子さんに歌って欲しいなかなかいい曲だなとは思っていました。「CHIEMI SQUALL」という曲名で、「スコールのような、みんなからの愛情と声援を浴びて、ちえみ嬉しい!」という詩なのです。
のちに知ったのですが、「CHIEMI SQUALL」は、シングル曲ではありませんでした。アルバムを購入すると、その特典でもらえた付録のシングルだったのです。当時、新星堂でアルバムを買うと、その歌手のポスターがもらえました。それと同等同質のサービスだったのです。
40年近い歳月が流れ、母校の野球の応援に馳せ参じると、依然として、「CHIEMI SQUALL」がメインの応援曲になっていました。
「7回裏の攻撃、得点は2点のビハインド、なんとしても先頭打者が出塁してランナーを溜めたいところです」という実況がありそうな重要な場面を迎えました。
先頭打者が粘って四球で出塁すると、逆転の予感にスタンドが騒然となりました。
刹那に、応援団長が吹奏楽部にパネルで指示をしているのが見えました。「エンドレス」と記されていました。逆転するまで、「CHIEMI SQUALL」を連続で演奏してくれという意味です。この曲の演舞は非常に消耗するため、ここが勝負どころだと決断したのが分かりました。
母校の「CHIEMI SQUALL」は、部外者にも好評で、スタンドでこの曲を一緒に演舞するために潜り込んでいる一般の高校野球ファンも少なくないと聞きます。
後日、さらに驚かされることが起こりました。当のちえみさんが、厳しい舌がんの切除術から社会復帰され、早速、ファンの前で披露したのが、「CHIEMI SQUALL」だったのです。
――長年の謎が完全に解けました。母校の吹奏楽部が全国上位の常連だったのは、演奏スキルに加え、リーダーの選曲能力が素晴らしかったからなのだと思いました。名プロデューサーだったのです。
実録は、以上です。
ここで、「どぶろっく」師匠の登場です。
――もしかしてだけど、菊池桃子の特典だったら、「MOMOKO SQUALL」のアルバムを2枚買ってたんじゃないの~。
拙者、5枚買って、ポスターはすべて天井に貼ります。きっと不眠症になってしまい、切腹!(桃乃木侍)
Posted at 2024/07/20 09:02:16 | |
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