CX-8は、デコレーションパネルは、ホワイト内装でもディープレッド内装でも、同じくブラックの合皮が巻かれたパネルとなりますが、私のCX-8はホワイト内装なので、近似色のホワイトの生地で巻き替えてみることにしました。
< 生地選択 >
本当は本革で巻き替えたかったのですが、ホワイト内装の色目に近いものが見付からず、今回は合皮での巻き替えとしました。
合皮ならば近似色が直ぐに見付かったかというとそうではなく、合皮でも生地見本を10数点集めて、一番似た色目を選び出すのに苦労しました。
純正のホワイト内装の色目は、単純な色ではなく、アイボリー系・グリーン系・グレー系が混ざった様な色で、なかなか微妙な色目です。
私が選び出した生地は、シンコールのL-2879(1520)という椅子張り用ビニールレザー生地で、ほぼほぼホワイト内装の本革や合皮と同じ色目だと思います。
生地選びをする前までは、ホワイト内装の色目は、イメージ的には「ホワイトアイボリー系」だったのですが、実際には「グレー系」と思った方が良いみたいですね。同様に、ディープレッド内装の色目も、実際には「ダークブラウン系」ですよね。
< 困った点 >
①パネルの構造
一般的に、こういったデコレーションパネルは、ステッチを入れた合皮を巻いてあるので、その合皮を剥がして巻き替えるのですが、CX-8の助手席側のデコレーションパネルは、「内側」のパネルと「外側」のパネルの2重構造になっていて、
「外側」のパネルにステッチの入れた合皮を巻いた後、「内側」のパネルと合体させる方法として「溶着」とうい方法が取られています。
そして、一般的にはこの様な二重構造のパネルの場合は、2枚のパネルを「ネジ止め」で固定されると思うのですが、何故か助手席側の大きなパネル側は「溶着」がされていて、「内側」のパネルと「外側」のパネルを分離させることが出来ない為、非常に困りました。
(メーターフード「右側」の小さなパネルは「内側」のパネルと「外側」のパネルの合体は「ネジ止め」がされているので、分離が容易に出来ます。)
”分離”が出来ないということは、生地の巻き替えが非常に難しいということになります。
というのは、生地を巻き替える際、生地を表面→裏面に巻き込んで接着剤で裏面に固定するのですが、「内側」と「外側」のパネルの寸法がほぼ同じなので、生地を裏面に巻き込むスペースが充分には取れないためです。
当初は、外側のパネルと内側のパネルを何とか分離して、巻き替え後に再度合体させようと考え、溶着部分を「ダイヤモンドホールビット」という、丸く輪郭を削る冶具を購入して、何箇所か溶着部を削り落としたのですが、溶着部分が23箇所もあり、これらを全て外しても元の位置関係で再度合体させる事が難しいことに途中で気付いたのと、溶着箇所 全てを再度固定するのも大変だと思ったので、方法を見直しました。
その方法は、「外側」と「内側」のパネルの溶着による固定はそのままにして、
「外側」パネルの裏面に生地を巻き替えるスペースが足りない箇所だけ、部分的に内側パネルを切落して、巻き込みスペースを確保する・・・」
という方法です。
具体的には、以下の様な箇所の内側パネルを超音波カッターで切り落としました。
この方法をとっても巻き替え作業は大変ですが、こうするしか方法が見付かりませんでした。
(内側のパネルの一部を切落すといっても、端まで溶着箇所があるので、削れる場所は限られるため、巻き替え作業は通常よりかなり苦労します)
メーターフード右側のパネルは「外側」と「内側」のパネルの固定が「ネジ止め」なのに、何故左側のパネルは溶着なのでしょうかね。
ドアパネルやニーパッドなども「溶着」されているパネルが多いのですが、やはりコスト削減の為なのでしょうか・・・。
②パネルの合皮剥がし
(以降の説明の写真は、1枚の写真に入りきる右側のパネルを使用します)
純正の合皮を剥がすべく、パネルの裏面から合皮を引っ張りますが、(魚の「カワハギ」の皮を剥がすかの様に)、合皮の「薄い表皮」だけが捲れて、合皮の「クッション材」はパネルに貼りついたまま残ってしまいます。
しかもステッチ部分の糸がパネルに食い込んでいるの様で、なかなか剥がせません。
当初は、合皮を「全て」剥がして、薄いスポンジシートを合皮の下に入れながら巻き替えるつもりでしたが、作戦を変更し、パネルに貼り付いたクッション材をそのまま活用する事にしました。
とはいえ、合皮のステッチ部分の裏側は、合皮が二重になるので、その合皮が収まる様に巾12mm程度の溝を掘って合皮を埋めるべく、その巾でクッション材を削りました。
この純正パネルの合皮は変わっていまして、下の写真で判るかと思いますが、通常は合皮が上下で分割されていて、縫製後にステッチが入れられるのですが、実際のパネルの側面を見ると生地の縫製箇所が途中からなくなって平らになっています。
つまり、この合皮は前述の様に上下の生地が「縫製」されてステッチを入れられたものではなく、「縫製」したかの様に見える「成形」がなされた合皮がパネルに接着されているのが判りました。
そのせいでステッチがパネルに食い込んだ状態になっていると思われます。
(前車のGJアテンザワゴン中期(2015年モデル)のパネルは、「縫製」→「ステッチ」→「パネル貼付」で巻き替えもし易かったのですが、その方法から今回の様にパネルの製作方法が見直された様です)
((前車GJアテンザでのパネル巻き替え関連ブログは
こちら ))
< 型取り >
生地の型取りをするべく、余っている合皮を利用して、大まかな型取りをします。
最終的に巻き替える際には、もっと細かく輪郭を調整する必要が有りますが、とりあえず裏面への巻き返しの長さを考慮した形状で型取りします。
< 縫製とステッチ入れ >
純正と同様に、パネルの上下で生地を分割し、縫製し、ステッチを入れます。
ステッチも本当ならミシンで入れたいのですが、過去の経験から、ミシンでステッチを入れるよりも手縫いで入れた方が2本のステッチのピッチもしっかり揃うし、出来栄えが安定するので、ステッチを手縫いで入れました。ステッチは、ビニモMBTの#1糸のカラー№39を使いました。
< 巻き替え >
巻き替え作業を考慮し、合皮の生地目(生地の伸びる方向)はパネルの上下方向にしました。
パネルの巻き替えでは、ある程度生地を引っ張りながら生地をパネルに密着させ、極力「シワ」が出ない様にしながら裏面に巻き付ける(貼り付ける)のですが、その際、(過去の経験からして)生地の目は上下に走っていた方が作業がし易いと思った次第です。(左右の巻き返し部分の面積よりも上下の巻き返し部分の方が圧倒的に面積が大きいので、そう判断しました。)
(前述の通り)、巻き替える生地はある程度「型取り」した形状になってはいますが、実際の巻き替え作業をしながら、微妙に輪郭形状を修正し、切り込みを入れたり切り欠きを入れながら巻き替えていきます。
角部の細かな処理、パネルから合皮生地を剥がす前に写真を撮っておいて、巻き替え時にはその写真を見ながら作業するのが良いと思います。
接着剤は、靴底を貼り付けるのにも使われている、(ちょっと臭いがきついですが)強力接着タイプの「ゴムのり」である「DIABOND」を使用しました。
ゴムのりでしっかり固定するには、接着する「両面」にボンドを塗り、ある程度ボンドが乾いてから接着するのがコツになります。
巻替え後には、純正のパネルと同様に、裏面にTESAテープを貼って、ビビリ音がしないようにしました。
< 装着 >
巻き替えた大小2枚のでコーレーションパネルを装着しました。
ホワイト内装の車には、やはりこのパネルの色目の方がぴったりすると思うし、イメージしていた通りの 「純正然としたものが出来た!」 と個人的には満足しています。
ちなみに、エンジンスタートスイッチのある巾の狭いパネルの巻き替えも検討しましたが、ここはブラックのままの方が、ブラックとホワイトとのツートンになり、バランスが良いかも?と思い、今回は巻き替えを止めました。
※この巾の狭いパネルの右側は、単体での購入が出来ず、周辺のパーツと一体での購入となるため、非常に高額となり不経済なのも、巻き替えを諦めた理由の一つにあります。(単体購入できる左側のパネルも11000円程度だった気がします)
< 最後に >
もっと他にも大切なポイントを説明するつもりでしたが、一部の写真を消してしまったので、手抜きの説明になってしまいました・・・。
とはいえ、最後まで目を通して頂き、有難うございました。