日本の美意識を代表する言葉は、侘び、寂、可愛い、ですが(ひとつ間違ってる?)
「侘び」とは、物事や事象が、加飾なくそれ本来の姿であり、そういった素の状態を尊ぶという価値観です。素の状態で、そのモノの価値を判断するということでもあります。由緒ある神社の建物が、装飾的な要素なしの素のままの木材で造営され、でも上質な檜が使われているといったこともこの「侘び」の価値観の表れかもしれません。
「侘び」の対義語は「華美」でしょう。
「寂」とは、「侘び」が時間を経るうちに遷り変っていくいく姿のことです。真新しい檜造りの社殿の色が褪せ、木材の角が丸まり、あるいは逆に部分的には艶が強まったり、決して簡単に作ることが出来ない風合い、味わいのことです。
落ち着いた褪せた色の寺院が、改修され鮮やかな朱に塗られると、ありがたみが薄れ、歴史が感じられない偽物のように感じるのは、改修で「寂」の要素がリセットされてしまうからでしょう。
「寂」の対義語は「紛い(まがい)」でしょうか。
「可愛い」とは、その本質に対して思わず好ましい印象を持ってしまうということです。一見すると気持ち悪くても、あるいは強気でつっけんどんでも、ふと見える素の状態が、一生懸命だったり、「でれ」だったりで、つい好意をもってしまう状態のことでしょう。そういう事なので、否定的な言葉でも接尾語的に「可愛い」が付くと、肯定的な(むしろ一段階深く肯定的な)意味になります。ブサ可愛い、きも可愛い・・・etc。
「可愛い」の対義語は「あざとい」です。
もうすぐ、改元ですね。年号(とその時代)のイメージはどうでしょうか(以下全く個人的な印象での断定です)
明治は、どこか革新を目指し見栄を張ったイメージがあり、侘び×、寂△、可愛い△です。大急ぎで体裁を取り繕った感じがしますので、新しい時代の幕開け、期待感が強いからでしょうか。当時の建物も立派で、寂にくい煉瓦が多いせいもあります。
大正は・・・イメージがわきにくく、明治の延長・昭和の前兆という感じで、侘び△、寂△、可愛い○(大正ロマン、という言葉一点でw)。
昭和は、侘び×、寂○、可愛い○です。昭和の後半は実際に体験しているのですが、プラスチックや合成なんとか、という「紛いもの」の時代でもありました。でもそういったものでも古くなると何とも言えない愛着感も出てきます。すごくキュートな造形の古い家電製品などもありますからね。
平成は、侘び〇、寂×、可愛い◎です・・・本質的に良いモノの価値が再発見されて来た時代です(ただし、海外からの評価がけん引しているのがやや残念ですが)。ただし寂が感じられるにはまだ時間が足りません。一方可愛いことを良しとする、あるいは多様な価値観に基づく可愛いものが認めれるようになってきました。アングラの顕在化であり、ヲタクが市民権を得た時代です・・・そもそも「可愛い」という価値観は平成時代発祥といってもいいくらいです。
令和は、どうなるのでしょう。
侘びのさらなる再発見と評価が進むといいなと思います。
※このブログは下書きのまま推敲が進まず、改元後3か月も経ってから公開しましたm(__)m
Posted at 2019/08/24 01:16:31 | |
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