2019年のアカデミー賞受賞作品『グリーンブック』を劇場で観てきました。
1960年代のアメリカ南部の黒人差別を取り上げた社会派の映画ではあるのですが、あまり深刻ぶらずにさらりとしたタッチで、見終わった後にほっこりした温かいものが残る良作です。
『グリーンブック』(2018年アメリカ)
監督:ピーター・ファレリー
出演:ビゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニほか
脚本:ニック・ヴァレロンガほか
ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は腕っぷしが強く、ハッタリも得意で、ガサツで無学だが、家族や周囲から頼りにされていた。1962年のある日、トニーはケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある黒人の天才ピアニスト、ドン・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のコンサートツアーの運転手として雇われる。アメリカ社会に根強く残る黒人差別の中で、黒人にとってより危険の多いアメリカ南部をあえて目指すシャーリー。粗野で無教養なイタリア系用心棒と、気品があり優雅な天才黒人ピアニストという対照的な二人が、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、ツアーへと旅立つのだが・・・。
ドン・シャーリー(1927.1~2013.4)は、実在したアメリカのクラシック、ジャズピアニストであり、作曲家でもある。この映画は、実話に基づいた作品であり、脚本はトニー・リップ(ヴァレロンガ)の実の息子のニック・ヴァレロンガが手掛けたもの。息子が書いたシナリオだから、本当はもっとヤバかったかもしれないエピソードが、サラリと適度に仕上がっているのかもしれません。
1962年といえば、ビートルズがまだメジャーになる前で、黒人のミュージシャンと言えばジャズ界にはたくさんいたけれど、クラシックの世界では極めて稀な存在だったでしょう。映画の中で、何度か演奏会のシーンがあり、ドン・シャーリー役のマハーシャラ・アリが(吹き替えなしで?)ピアノを演奏するシーンがあるのですが、知的で端正なタッチで、いかにも上流社会の聴衆が好みそうな雰囲気が良く再現されていました。
もう一つ、この映画のすごいところは、1960年当時のカッコいいアメ車がこれでもかと登場してくるところ。特に、シャーリーとトニーが南部の諸都市を巡っていく足として、レコード会社から提供されたクルマが、1962年型キャデラック・ドゥビル・セダンなのですが、これがめちゃめちゃカッコいい!
キャデラック・ドゥビル(画像はWikipediaより)
映画用に厳選された上に、スクリーン上で映えるようにと特別色(ターコイズ・グリーン)に塗装されているのですが、優雅で気品に満ちた佇まいです。
映画の冒頭の方には、一瞬ですが53年型のキャデラック・エルドラドも登場していて、古いクルマが好きなよーのすけにとっては、見どころ満載の映画でした。
キャデラック・エルドラド(画像はMOBY(モビー)より)
Posted at 2019/04/12 15:35:09 | |
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映画の中のクルマ | 日記