第77弾
『エディー・トンプソン/スウィンギン・ウィズ・エディー』(1955年~59年録音)
エディー・トンプソン(1925.5-86.11)は、イギリス・ロンドン生まれの盲目のピアニストで、62年に渡米して以降、ニューヨークを中心に活動をつづけたミュージシャンです。幻といわれる超マイナーなレーベル(レジナ)に残した『ジャズ・ポートレイト・オブ・エディー・トンプソン』(1964年3月録音)が代表作とされています。この代表作は、現在はCDでも発売されているので、入手することはそれほど難しくないのですが、そもそも、よーのすけはエディー・トンプソンというミュージシャンを全く知りませんでしたので、彼のレコードはコレクションのなかにも1枚もなかったのです。
たまにレコード店を訪れて、なにか掘り出し物はないかと店中のエサ箱を点検(
「パトロール」と称しています)するのですが、ジャケットにクルマが描かれているとついつい手に取ってしまうわけで、このレコードもそういう経緯でコレクションに加わった1枚です。
これは彼がアメリカへわたる前の古い録音で、録音年月日の違う5つのセッション(すべてロンドンで録音)が収められています。いずれもトリオなのですが、一緒に演奏しているベーシストとドラマーはセッションごとに違うメンバーで、まったく知らない人ばかりです。けれども、針を落として聞いてみるといずれもリラックスした良い演奏で、ピアノ・トリオはこれでいいのだという感じがします。
スイングジャーナル社の『世界ジャズ人名辞典』(1981年5月臨時増刊)には、エディー・トンプソンが「アート・テイタム、オスカー・ピーターソン、ナット・キング・コールの3人に影響を受けた」と語ったとの記述がありますが、なるほどというか、たしかにピーターソンに似ているかもしれません。
このレコードは、NORMAという日本のレーベルがヨーロッパの古い音源を探し回って発掘し、93年にシリーズとして発売した何枚かのうちの1枚で、おそらく、もともとはセッションごとに10インチ盤として発売されていたものと、未発表のテープから編集して1枚のLPとしたものだと思います。
こういう陽の当たらなかったセッションを発掘して世に出すのは大変な事業だと思うのですが、日本のレーベルがそれをやっているというのがまたすごい。耳の肥えたプロデューサーと、同じように耳の肥えたファンがいて初めて成り立つわけですから。
ジャケットの写真は、イギリスの国旗がたくさん掲げられた街角に
ロンドン名物の2階建てバスが佇んでいるところ。残念ながら写真家の名前もデザイナーの名前も一切、クレジットがありません。ですが、ジャケットの写真としては秀逸だと思います。
Posted at 2020/08/08 21:56:22 | |
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JAZZのLP | 日記