さよなら、Ｇ君

高校の同級生から携帯に着信。

おや珍しいなと思いながら出ると、
「あんまりいい話やないんやけどな…」
と切り出します。

彼にも保険の契約をもらっているので、あ～解約かと思いながら続きを聞くと、
「Ｇが亡くなったんや」
「え!?」


通夜と葬儀の予定を連絡してきてくれたのですが、聞けば遺族の意向で家族葬にしたため、限られた人にしか伝わってないらしい。

彼は高校３年のクラスで一緒で、人気者でした。私はクラス会の幹事をしているので、代表のつもりで参列することにしました。

参列者の中に知った顔が無く、奥さんと話すこともできなかったので、なぜ亡くなったのかはよくわかりませんでした。

後で連絡してきてくれた友人に尋ねたところ、内臓出血らしきものだったとのことでした。

実は彼にも１０年以上前に生命保険の申し込みをもらったのですが、既往歴でかなり厳しい条件が付き、申込みを取り下げた経緯があります。

もともと健康状態が良くなかったところに加えて大変な酒好きだったことが彼の寿命を縮めてしまったようです。

離婚していたため一人娘が喪主を務めていました（別れた奥さんも参列していた）。

頑固で融通のきかない性格は我々全員の知るところだったのですが、家庭では決して良い夫良い父親ではなかったようで、お嬢さんの会葬お礼にそのあたりの苦悩が語られ、正直驚きました。

奥さんが出て行ってしまったというのも、やはり彼に大きな要因があったのでしょう。そんな訳で元嫁の実家近くに建てた自宅には普段独りで生活していたようで、木曜と金曜の夜に浴びるように酒を飲み、月曜に出勤しないので職場の依頼で元嫁が見に行ったら亡くなっていたということでした。


私も早や５１歳となり、同級生の葬儀に何度か参列したこともあります。

しかしＧ君の遺影を見ただけで泣けて仕方がありませんでした。


酒が本当に好きで飲み会は決して断らなかった彼。

いつも何かに怒って文句ばかり言っていた彼。

知り合って３０年以上経ちましたが、いったい私は彼の何を知っていたのでしょう。

誰にも看取られず、たった独りで彼は逝ってしまった。

彼の冥福を祈りたいと思います。