なぜ日本を始め世界中でSUVが流行っているのか。
ミニバンでもなければ、ステーションワゴンでもハッチバックでもセダンでもない、まったく別のジャンルが持てはやされる理由とは?
突き詰めて考えていくと、よくわからなくなってしまいました。そんなときに興味深いWebサイトに行き着いたので、引用しながら考察していきたいと思います。(下にリンクを貼っています。)
主題となるSUVの前に、まずはミニバンの特徴について次のように述べています。以下引用します。
>実はこのスライドドアは、極めてエンジニア泣かせの代物なのだ。端的にいえばボディ剛性がどうしても低くなる。
>スライドドアを採用するのは乗降性を上げるためだ。だから床板を可能な限り下げたい。すると床板の厚みが取れない。となると立体構築した床板で剛性を確保できなくなる。さらにあまり顔をかがめずに乗降できるように、ドア上部もできるだけ天井近くまで解放したい。こうなると鴨居部分で剛性を出すこともできない。
>乗り込んだ後はウォークスルーが求められるので、剛性を稼ぎ易いセンタートンネルも使えない。つまりボディの剛性を担保する構造のほとんどが却下された状態で、「設計せよ」といわれるわけだ。
(引用終了)
空間をできるだけ多くとろうとすると、床板の厚みも十分確保できなければ、天井部もこれまた同様です。
日本車の至れり尽くせりの装備で付加価値となるのがウォークスルー。これもセンタートンネルが犠牲となるため期待ができないということです。
エンジニアにとって、ミニバンの開発は想像を絶する以上に苦労があるようですね。ヨーロッパでミニバンが流行らないのは安全性に付随する剛性をしっかり担保したいからというのが最大の理由と言えるでしょう。
続いてこんなことも述べています。引用します。
>かくして恐ろしいことに、ミニバンのユーティリティを確保するための全てのしわ寄せはクルマの基本骨格であるシャシーに集中する。(~中略~)高速走行はしないにしても、宿命的に乗り味の良いものには仕上がらない。
>ということで、セダンより広い室内空間を持ちながら、デザイン的にスタイリッシュで、走行性能面でも優れたものを作ろうと思うと、自然とSUVが浮上する。
(引用終了)
床板も天井も厚みをとれないとなると、結局はシャシーの剛性がしっかりと確保できないことに繋がり、どんなに頑張っても乗り味は向上しないのですね。
そこで、走行性能は高いものの重心の低いセダン以上に空間の広いSUVが強く求められるわけです。
ミニバンは多人数を一度に乗せられることが最大のメリットなので、主に子育て世代に重宝されています。ただ、ライフスタイルの変化があればほんの数年間で持て余してしまう可能性が高いモデルでもありますね。
続いてこんなことを述べています。引用します。
>セダンはどうしても「クルマがステータス」であった時代を引きずっている。カローラよりコロナ、コロナよりクラウンという序列のイメージは今でも消え難く残っているのだ。
>しかし、SUVにはそういうものがない。(~中略~)SUVには序列感が希薄なのだ。財力や社会的立場がクルマの選択に入り込み難い。古臭い世間体から解放された自由がある。
>なぜそんなことが起きるのか。それはそれぞれのSUVはコンセプトが少しずつ違うからだ。ユーザーは自分のスタイルに合うものを選んでいく。だから一直線上の序列に並ばない。
(引用終了)
セダンは歴史が古く、ヒエラルキーといったものが存在するのは事実。しかし、SUVはセダンより比較的歴史も浅く、社会的立場の上下に関係なく、私たちのカーライフにすでに入り込んでいるのは奏功しているのかもしれません。
今や日本車勢のセダンはラージクラスは安泰してはいるものの、マークXは生産終了が発表されたように衰退しているといっても過言ではないでしょう。
ヨーロッパではファストバックと呼ばれるまったく新しいクーペスタイルのセダンが各ブランドから登場しています。
SUVが流行っているのと同様に、セダンをセダンと割り切らない使い方が主流になってきたのかもしれません。
そのうち遠くない将来にSUVが廃れていって、これまでとはまた違ったジャンルかまたは従来のモデルが流行りを見せていくことが可能性としてあり得るかもしれませんね。
※記事引用先
ITmediaビジネスオンライン 10月1日(火) 7時5分
SUVが売れる理由、セダンが売れない理由
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