アルピーヌは好きなモデルで、特に往年の名モデルA110はデザインの美しさに心から見惚れます。
今回取り上げるA610は1991年にV6ターボの後継モデルとしてデビュー。
・・・というのが、せいぜい私が知っている薄っぺらい知識。
なので、610の日にアルピーヌA610について調べたことを備忘録の意味で記すことにします。
A610に関する書物が乏しい中、CG誌1991年11月号に試乗記が載っていたので、取り上げます。テスターは笹目二朗氏。以下は引用。
■動力性能
ターボ車特有のドッカンとくる暴力的な加速は3000rpmを超えていればいつでも味わえる。(~中略~)何しろ2000rpm~5200rpmの間でトルクは34mkg以上確保されているのだ。
谷田部での計測は4000rpmでクラッチをミートさせた時がベストで、きれいにホイールスピンする。それ以下ではリア荷重が大きいためかストールしがちだった。カレラ4のタイムに約0.1秒遅いだけという、事実上同じ速さを見せた。やはり立ち上がりよりもターボが効果を発揮する後半の加速が気持ちいい。
■ハンドリング
ミシュランMXX(※注 前205/45ZR16 後245/45ZR16)のグリップのよさも手伝って、パワーオンでノーズが逃げる傾向も軽減されたし、高速時のスタビリティーも大幅にアップしている。
とこう書くと安定しているだけでつまらない車になったと誤解されるかもしれない。しかし、テールヘビーのリアエンジン車という事実は、いかにうまくチューンしても基本的な素性は隠しようもない。
■制動力
ペダル類はポルシェのように床から生えており、踏み始め初期からグーッと減速を開始するタイプではないが、ある程度踏み込んだあとは剛性感あるペダルフィールを期待できる。耐フェード性は優秀。(~中略~)ABSの設定は理想的で普段はまったく存在すら感じさせず、0.9Gを超えたあたりでやっと作動した。ポルシェ同様リア荷重の大きな車特有の、ロックを知らないかのような減速感は、制動安定性の良さをことさら強調する。
■乗り心地
乗り心地のいいスポーツカー、というのも書いていて変な気もするが、スポーツカーは硬くて野蛮な乗り物という概念は今や葬り去られてしまった。(~中略~)特に舌を巻くのが大入力の受け止め方で、ボトミング性能はいまだ日本車の真似できないレベルにある。(~中略~)フランス車の例に漏れずソフトな造りのシートはサイドの盛り上がった形状を持つホールド感に優れたもので、座り心地よく横Gに対してもよく身体を支えてくれ、革張りながら滑ったりしない。
■居住性
リアエンジン車のリアシートは狭いし暑いし喧しいから、決して喜んで座り込む場所ではないが、A610の場合は911のそれよりは多少広いしヘッドクリアランスもあるから、横を向かなくてもちゃんと前を向いて乗れる。(~中略~)前席はヘッドレストが別体でシートバックも薄く、比較的小振りなので、狭いキャビンにもかかわらず狭苦しさはない。
このあたりはミドシップカーのような完全な2シーターに比べ空気の容量が豊富なせいか、息苦しさは感じないですむ。
■結論
多少の重量増加と引き換えにボディは剛性感を増し、安定性も向上した。その性能低下分を補うためにエンジンは排気量を増してパワーアップを図った。そうした結果、アルピーヌA610ターボの運動性能はポルシェ911に匹敵するまでになった。日本での価格はカレラ2の1035万円に対して895万円と充分競争力のある設定である。(~中略~)となると、アルピーヌという日本ではまだまだ知名度の低いブランドなのでマニアックな選択は賢明かもしれない。
(引用終了)
A610について知らないことが多すぎて頭の整理がつかないのですが、ポルシェ911(当時はタイプ964)とも互角に渡り合えるパフォーマンスを備えたモデルだったんですね。
A610は惜しまれつつも1995年に生産が終了。
余談ですが、A610の生産終了後、生誕の地ディエップ工場ではスポール・スピダーが生産を開始しました。
昨年2018年には、A610の生産終了後、20数年の時を経て、A110がアルピーヌモデルとして復活したのは記憶に新しいところですね。
往年のA110にはA110の良さが、現代のA110にはA110の良さがそれぞれあります。もちろん、A610にはA610の良さがあります。
20数年前とは言っても、時代を感じさせないデザインは先を見据えた設計の賜物と言えるでしょうね。それにしてもカッコいい!
Avatar blue カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2024/04/22 20:58:34 |
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