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2011年07月07日 イイね!

和田智著「未来のつくりかた Audiで学んだこと」を読んだ

和田智著「未来のつくりかた Audiで学んだこと」を読んだ今日紹介するのは元Audiのシニアデザイナー/クリエイティブマネージャー(現在は独立されたそうです),和田智さんの本.もとは日産のデザイナーとして初代セフィーロなどを手がけたとのこと.Audi在籍時は現在のAudiデザインのシンボルであるシングルフレームデザインを作り,現行A6,Q7,そしてA5をデザインされた方です.

筆者のドイツ製品やかつてのソニー,ホンダへのあこがれ,Audi時代のエピソードが,日独比較文化論を交えつつ書かれています.そこから独立の経緯,さらには22世紀に続く新しいモビリティ社会の創造,東京のグランドデザインへと話は進みます.

(部分的)要約
・近代資本主義による行き過ぎた競争と力のビジネスは人の傲慢さと異常な格差を生んだ.今は時代の転換点.
・力のビジネスにおいてはデザインも「勝つための手段」であり,市場で勝つために押しの強いデザインが要求され,そのために手段を選ばない傾向にある.
・美しいクルマ,文化的に価値あるクルマを創造することが自動車会社の本当の目的だが,今では収益目標達成のためのシステムでしかない.
・こんな時だからこそ,「こころ」のコミュニケーションが大切で,お金のためや力の論理でなく,pureなspiritをもってvisionのあるクルマを作っていかないといけない.
・デザインとは過去の声を今を通して未来へ創造していく(美しさや文化の)継承行為.
・デザインは時間と空間によって磨かれなければならない.
・美しさとは自然の摂理.普遍的なもの.「おもしろい,かわいい,新しい,変わっている」は長続きしない.
・子供は誇り高い父親から多くを学ぶ.お父さんの乗りたい車を選ぼう.
・デザインには人間が大事でナショナリズムはいけない(イサム・ノグチの引用)
・本質に向き合うドイツ,本質に背を向ける日本

感想
・デザイン論というより和田智というデザイナーの生き方,意思表明.
・根底には普遍的な美しいデザインが行き過ぎた市場主義により消えてしまうという著者の危機感が感じられる.
・想像だが,巨大市場中国での成功が必須で,そこで売れるエゴの強いクルマが求められ,市場からの圧力で変質していく会社や業界の空気を著者は感じ取ったのでは.
・押しの強いデザインっていうのはBMWのことのような気がする.
・筆者が論理的,哲学的に美しさを求めてデザインする姿勢はとてもヨーロッパ的.というかこれがカーデザインの国際標準と考えるべきか,大衆車メーカーとプレミアムメーカーの違いととるか.
・文中によく出てくるVision,Spiritという言葉,Visionは先見という意味でも使われているが,「こころ」や「理想像」という意味合いでも使われている.Spiritも魂としてだけでなく,やる気や愛情と受け取れる部分もある.
・Audiでは日本人であることを意識してデザインしたことはない,といっているが,独立した今,日本の美しさ,日本人にしか理解できない感覚をどのようにデザイン化するかを論じているのは不思議.でも一方では日本人としては当然かな,とも思う.

人によってはヨーロッパびいきとか,理想主義すぎると取る人もいるでしょうが,以前のブログでも書いたような今の世の中への違和感も含めて ,ある意味私にはとても理解しやすかった.一応息子が物心つく頃にはスポーツカー親父でいるという,ささやかな威厳も保ててますし(笑).

一方で「美しさを求めない」というメーカーはやっぱおかしいだろ,と素直に思いましたね.美しくなくていい風潮ができると,美しいものを大切にする文化がなくなり,ひいては美しさが理解できなくなる,ということを和田さんは一番恐れているんだと思います.特にそれが日本で顕著であり,それを何とかしたい,ということのようです.

私はごく最近のAudiよりもバウハウス的な頃の方が好きですが,BMWも変わりつつあるし,クアトロも後輪への駆動配分が増えたし,MTモデルさえあればありかなと思い始めています.Audi RS4アバントは右ハンMTあるし家族用として非常に興味があるんですけど,2台合計14気筒,7400cc,760馬力以上(!)は昨今の情勢からやはり気が引けます.

今度はそのうちケン奥山さんの本を紹介すると思います.
Posted at 2011/07/07 22:30:24 | コメント(2) | トラックバック(0) | 読書 | 日記
2011年07月03日 イイね!

中村史郎著「ニホンのクルマのカタチの話」を読んだ

中村史郎著「ニホンのクルマのカタチの話」を読んだ先日,モータージャーナリストの金子浩久さんのブログで取り上げられていた本です.

日産のデザインディレクター,中村史郎さんが日産のデザインについて書かれたものです.

Z,マーチ,キューブ,GT-R,ジューク,コンセプトカーのインフィニティ エッセンスのデザインについて,および800人の多国籍デザイナーを統括するお仕事などについて書かれています.




要約すると,
・日本独自のデザイン言語でニホンのクルマをデザインしたい.
・日産は多様なモデルがそろう動物園のようなもの.デザインの一貫性は追求していない.
・日本市場ではもともとブランドアイデンティティは求められていなかった.
・日本文化はもともとスピードを追求していない.海外は馬車から,日本は牛車からクルマへ.
・日本の美意識は2次元,3次元の立体感覚はない.
・キューブはアンチスピード,リラックスしたマイルームを表現
・セレナは日本の狭小住宅をクルマにした.
・GT-Rは美しさを求めていない.他とは違う表現方法で存在感を追求した結果.
・GT-Rのデザインにはガンダム的要素も多分にある.
・ジュークはアニメ的なロボット感,生き物感
・インフィニティのコンセプトカー エッセンスはひらがなの曲線の美しさ
・良いデザインでも売れなきゃだめ.

感想
・キューブ,GT-R,ジュークなどについてはデザイナーの意図が見え,独自性が出ていることは評価できる.
・特に2代目キューブでは伝統的な日本文化はきちんと分析されてデザインに反映されている.
・ただそれは既存のクルマのイメージの否定.日本的な居心地の良い移動手段の表現なだけ?
・ごくごく1部を除いて基本的に美しさを追求していない.美しくないクルマっていいの?
・存在感,かっこよさを出すにはガンダムやアニメがモチーフになること.普遍性がなさ過ぎ?

好き嫌いは置いといて,日産という数を売らなきゃいけない大メーカーにもかかわらず,実際にいくつかのモデルで独自性をカタチとしているのは素直に評価しようと思いました.

ただ,この本を読んだ後街中を走るクルマを見ると,小さなスペースを有効利用して快適にするという日本の狭小住宅の発想は,背の高い軽やミニバンそのものなんですよね.買う気になったことがないので目に入ってませんでしたが,日本独自のカーデザインそのものですよね.ガラパゴス化てこういうことかぁ〜と改めて思いました.ただそれを自分が受け入れられるか?また海外でも日本独自のデザインとして理解させられるか?というのは,う~ん,どうなんでしょう...もっと別のアプローチってないんだろうか...素人だからなんとでも言えるけど...

いろいろ考えさせられる本でした.

p.s. あと2人の日本人カーデザイナー,和田智さんと奥山清行さんの本も読んでるところです.3人とも結構違うなぁ〜と.またそのうちブログに書きます.
Posted at 2011/07/03 22:53:52 | コメント(2) | トラックバック(0) | 読書 | 日記
2011年06月25日 イイね!

Petrolhead(に育てるため?)の最初の1冊 vol.2

Petrolhead(に育てるため?)の最初の1冊 vol.2以前紹介したオースチン・ヒーリー スプライトMk1の絵本「バルンくん」,それなりに子供も気に入っているようで,「バーバー」とエンジン音のまねをしています.これに気をよくして次なる1冊を用意.今回はバルンくんとその友達2台のおはなし.

友達2台とは,アルファ ジュリエッタスプリントとポルシェ356.この3台がサーキットに行って競争するというはなし.ただの競争なら普通ですが,絵本の文章が車ヲタクのツボを刺激します.

ガォーン!ガウーッ!真っ直ぐではポルシェくんが速いぞ!
ブロオオオーン!大きなカーブはアルファくんが速い!
バルルルーン!小さなカーブはバルンくんが速いぞ!

乳幼児向けの絵本で,エンジン音の違いも的確に表現しつつ,RRのトラクションによる加速性能,FRのバランスのいいコーナリング,そしてFRライトウェイトスポーツの敏捷さを子供に教えられる絵本は,おそらく他にはないと思われます(っていうか,あること自体が奇跡か?).

最後にはゴール前のシケインで軽量な主人公バルンくんがリードして勝つのですが,ポルシェ使いが乗ったらコーナーも最速なはずだ!とかのツッコミもあるとは思いつつも,ちっちゃくて軽いカニ目が勝っちゃうところがなんかいいじゃないですか.

最後に「またはしろうね.さようならー」と夕陽に照らされる3台を見ていると,こんなクルマ遊びできたらサイコーだろ~な~と思う親の私.

いつか「パパーなんでポルシェは直線速いのー?」と聞かれるのか,聞かれてもいないのに説明して「パパ何いってんのー?」といわれるか.うーん,後者っぽいかな...どうなんだろう...

それにしても作者のこもりまことさん,筋金入りのpetrolheadですね,間違いなく.
Posted at 2011/06/25 14:55:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | 読書 | 日記

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Ian*です. BMWから走りの良さを学び、そのスポーツ性の究極として直6NA&MTのBMW Z4Mクーペへ。同時に、その佇まいと世界観に惚れてレンジロー...
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